「二ノ国」を観たんですけどね。
前評判が壊滅的に低かったので全然期待してなかったんです。
しかし、それがかなりなスパイスになっていたからか、意外にも結構楽しめましたですね。少なくとも退屈はしなかった。
ただまぁ、じゃあ映画として手放しで褒められるかと言ったら、やっぱりそんなことはなく(^^;; 傑作揃いの2019年アニメの中では残念な部類に入ってしまうと思います。
粗々しいものの、無理のない作り
作りとしてはですね、粗くはありますw
脚本的な細部は粗々しかったですね。かなりざっくり感があったり、無理があったりした、というのが正直な感想です。
ただ、粗くはあるんですが、その一方、伏線を張り巡らせていたり、次から次へと展開していったりはしていました。
ご都合主義的なところもあまりなかったですね。あったことはあったんですけど、それは異世界転生モノでよくある類の主人公のチート補正で、そういったところは観客も求めているところだと思うので、ご都合主義にはカウントしなくてもいいのかなと。
それに、この映画は「シリアスな異世界転生モノ」という感じですからね。チート補正は必然といったところでしょうか。
物語の流れの中で「ちょっとこれはないよなぁ?」と思うようなご都合主義はなかった、もしくはわかりにくかったと思います。
だから、粗っぽさに笑ってしまいつつも、飽きることはなかった、といった感じですかね。
基本的には異世界転生モノなので、その意味でも全体的には子供のために作られた映画なのかなと。中高生というよりは、これから中高生になる小学生向けというか。
だから、子供向けだから、大人から観ると随分と粗々しい脚本になってしまっているのかもしれません。
逆に言うと、子供の世界は容赦がないですから、ある程度の粗々しさは必要なのかもしれません。
副主人公が足を引っ張る?
ただ、副主人公の男の子がですねー、あまりにも魅力なさすぎて(^^;; そこには全く感情移入できなかったです。
しかも最後に、この子と主人公が異世界で繋がった同一人物だということになるんです。役柄的には、主人公の親友、といったところですから、その設定自体は有りっちゃあ有りなんですけど、いかんせん、魅力がない(^^;; 主人公と同一人物になるには、言ってみれば役不足なんですね。
だから、えー!こいつが主人公と同一人物かよー、となってしまう。
主人公と同一人物であるのなら、反目し合うのは全然いいんですけど、もっと魅力的に仕上げて欲しいですよね。
それにですねー、この設定自体が唐突感がありすぎる(^^;;一応伏線は貼ってありましたが、印象としては唐突です。
そもそも、この二人はどちらかというと対照的な仲良しコンビという感じなので、同一人物と言われてもあまり納得できないですね。見た目も似てない。まぁ、コインの裏表だから同一人物でも対照的、というのは有りなんでしょうけど、やっぱり対照的過ぎると、あまり納得できないですねー。
基本的なアイデアとしては悪くはないのですが、「こういうの面白くないですか?」という思いつきをまんま使ってしまった、感じですかね。
期待していたテーマではなかった
また、話として期待したのは同一人物の、この場合、一ノ国の女の子と、二ノ国のお姫様と、命が繋がっている同一人物のどちらを救うか、という二者択一のドラマでした。
しかし、微妙にそうではなかったですね。
副主人公は悩むことなく一ノ国の女の子を取るし、主人公は「二者択一ではない」というカラクリにいち早く気付いてしまっている。いずれにしろドラマは生まれなかった、ということです。だって、そこに葛藤はないわけですから。
このテーマは「あした世界が終わるとしても」が描くことを逃げてしまった(?)テーマで、予告編ではそこがガッツリ描かれるのか?!と期待したんですが、この作品でもそうではなかったので、それは非常に残念でした。
声優は脇が超豪華
あと声優についてなんですけど。
今回、割と大作アニメ映画にありがちな非声優の若手俳優を主役に抜擢していたのですが、主人公二人の男の子は良かったと思います。
しかし、ヒロインの女の子とお爺さんを演じたムロツヨシは良くなかったですねー(^^;; 声優原理主義者が手を叩いて喜びそうな展開ですが、ホントにポンコツだったと思います。特にヒロイン二人を演じた永野芽郁はホントにひどくて、次声優やる時はめちゃめちゃ修行するか、もう二度とやらないかのどちらかにした方がいいですね。
ところが、です。
脇を固める声優陣が豪華すぎ!
王様の伊武雅人は基本役者なのですが、宇宙戦艦ヤマトのデスラー役で一世風靡をしたことがありますし、さすがに上手かったです。
しかも、山寺宏一! 梶裕貴! 宮野真守! そして俺の好きな津田健次郎! そしてそして、マイフェイヴァリット声優であらせられる坂本真綾!
すごすぎでしょ。
主役よりも脇を安心して観ることができるという……まぁ、映画ってそういうもんですけどね。