「イカリエ-XB1」という映画をご存知でしょうか?
その当時のチェコスロバキアのSF映画なんですけど、そもそもSFというジャンル自体が黎明期の頃に作られた映画だったんですね。
後のハリウッドの巨匠たちにも影響を与えたとも言われております。
そんなSF映画の元祖的作品「イカリエ-XB1」の俺的ポイントは以下の通り!
予告編
クラシックテクノとでも言うべき音楽が良い!
先ず音楽が良い。クラシックテクノというような感じ。
ちょっと前衛的で不協和音が常に鳴っている感じで。
特にダンスシーンでのレトロフューチャーテクノジャズとでもいうような音楽が良かったですねぇ。
またこのシーンのダンスも近未来ダンスを意識してか、かなり無機質にして独特なもので、それも面白かったです。
東欧圏独特?のデザインが良い!
またセットも素晴らしかったですね。
全編セットだと思うんですけど、かなり大掛かり。
基本的な要素は直線や円などのシンプルな形なんだけど、それらを組み合わせることにより複雑なデザインを作っていて面白い。
こういったデザインは東欧共産圏独特のもののように思うんですけど、どうなんでしょうか。文化的には資本主義諸国とは隔絶されてるので、また違った独自進化をしていて興味深いです。
また、セットや衣装の中に結構光を仕込んでたんですね。そうすることで近未来感を創出する意図があったように思うし、またそれが功を奏していたように感じました。
CGのないこの時代、現物だけで近未来感を出さねばならないわけで(まぁCGという概念自体がないんでしょうけど(^^;;)。そういった状況特有の創意工夫に満ちている点も観ていて飽きなかった点でもあると思います。
モノトーンSFっていいですね
また、白黒というのもかえって良かったように思います。
その当時の技術の粗さを隠すだけでなく、なんせ映像そのものが暗かったり粗かったりしますからね。全然クリアじゃない。よくわからないから、ある種不気味に感じるんですね。暗いところで何かよくわからないことが行われている。
だから、その分観る人がそういう足りないところを想像力で補わなければならない。そういう観る側の想像性もSFには重要なのかな、って思います。
元々ウソッパチの世界ですからね。作る方も観る方も想像しないと楽しめないんですよ。だから想像力のある子供の方がSF好きでしょ?
それに、モノトーンは色彩的にもこの作風に合ってると思います。
この作品は個々の乗組員の悩みや葛藤を描いた群像劇であり、また人類にとって未知の領域に足を踏み込むわけですから、基本的には全体的に緊迫感のある話なんですね。だから、白黒の暗い映像はそういった緊迫感をより煽る効果があるように思います。
まぁ、8K時代の我々から見て、って話ですけど(^^;;
時代先取りしすぎ?
それ以外にもですね、極限状態での人間のエゴや核兵器に対するアンチテーゼなど、現代にも通じる批判精神もあったり、それから何と、宇宙での出産シーンもあるんですねぇ。非常に斬新です。
そして最後は地球外文明との接触で終わるのですが、それが非常に希望を感じさせる終わり方だったんですね。こういうSFって、えてしてディストピア的というか、悲劇的な形で終わるじゃないですか。
でもこの映画はハッピーエンド的に終わるんで、もちろん、時代性や共産圏というお国柄というのもあるんでしょうけど、そういった観終わった後の感じが良いのも、個人的には良かった点ですね。