「坂本龍一 は非常に読書家であるらしい。そんな坂本龍一がどんな本を読んでいるのか。ファンとしては興味があります。「Invitation」という雑誌で「坂本龍一選書2007」という企画があったので、早速買ってきました。10年くらい前にも「ダ・ヴィンチ 」で教授が選ぶ10冊みたいな企画があったんだけど、その時からどれくらい変わっているのか、というのも興味のあるところでありました。
で、読んでみると今回は全部で16冊選んでいて、文化論、小説、漫画などなどジャンル的には多岐に渡っています。そういう、ジャンルにとらわれず色々なものを読むところは前回の「ダ・ヴィンチ」の時と変わっていないのですが、哲学書の類が減って、代わりに環境問題に関する本がグッと増えていました。漫画は前回は「YAWARA!」と「バナナフィッシュ」を選んでいたのに対し、今回は「火の鳥」を選んでいました。また手塚治虫著書としては講演集のCDブックも選んでいました。そういったところはやはり最近の教授の環境問題への動向を表しているようです。他には外国の人から見た日本や、日本人の祖先についての本も多かったです。ここらへんのチョイスを見てみると普段教授は「日本についてなんて興味ないよ」みたいな態度を取っているように見えますが、その実、日本について非常に関心がある、もっと言ってしまえば日本大好きっていう感じがします。
そんなわけで、意外に思える本もあったり、「読んでそう」っていうものもあったりという感じなのですが、ジャンルにとらわれないところ、その種類の多さ、外から見た日本という視点、といったところは教授が作っている音楽と共通するようなところがある感じで、それはなかなか面白かったです。教授のアルバムって色んな曲が入ってるし、日本的なメロディを使うことも多いけど、それは一回クラシックという謂わば「西欧的な」視点を通してのもののような印象もあるし、やっぱり教授の考え方の基本的なところが表れている感じだと思います。