「T'en va pas(邦題:哀しみのアダージョ) 」という曲がすごい好きです。初めて聴いたのは「文學ト云フ事 」という、昔フジテレビの深夜でやっていた番組のEDでした。原田知世 が歌っていて、番組の雰囲気にも合っていたし、曲の感じが知世ちゃんのボーカルの感じともすごく合っていて、すごい好きでしたね。何というか、耽美的で、変な言い方だけど少女性をすごく感じて、この曲聴いて「嗚呼、原田知世はいつまでも少女なんだなぁ」と思ってしまいました。フラ語ってのがまた良かったんですよね。で、他にも大貫妙子 が歌っているバージョン(「彼と彼女のソネット」)がすごく有名で、坂本美雨も歌ってて 、多くの名カヴァーを生んでいる曲なんですけど、本家を聴いたのは初めてこの曲聴いてから随分経ってからだったと思います。多分ユーミン のラジオだったと思うんですけど、やっぱりそれもすごく良くて、ずーっと欲しかったんですけど、ようやく聴きました!
元々はElsa というフランスの女優さんが13歳の時に「悲しみのヴァイオリン」という映画のサントラとして歌った曲です。で、その人の「哀しみのアダージョ~ベスト・オブ・エルザ」というベスト版に入っているということで、買ったんですけど、まぁ、「T'en va pas」が群を抜いていい曲で、あとは、まぁ、良質なポップス、といった感じですかねぇ。おそらく、デビューしてから三枚のアルバムからのシングルカットを集めてあると思うんですけど、最初のアルバムの曲は多分その当時15歳で、まだ少女性が残っていて、なかなか良かったんですけど、その二年後、2nd.からの曲はまだ17歳だと思うんだけど、すっかり大人っぽくなってしまって「普通」になってしまいます。良質ではあると思うんだけど、「こういう人いるよなー」って感じで。しかし、二年でこうも変わるもんですかねぇ。やはりこの年頃の時間ってのはデカいですね。
で、まぁ、このアルバム、英語版の「T'en va pas」も入っているんですが、あんまり良くないんですね。微妙に意味がわかるからなのか(全部はわからん)、英語という言語があまり耽美的ではないからなのか、何か、若干「普通」になってしまっている感じがします。あの耽美で少女な感じが薄まっているんです。やはりフラ語って耽美的なんですかね~。あと、「耽美的な言語」ということで言えばイタリア語やスペイン語なんてのもそうだと思いますが(俺の個人的なイメージです)、フラ語って何か、可愛いですよね(俺の個人的なイメージです)。
あと、今回「T'en va pas」の歌詞の訳を初めて読んだのですが、すごく良くて、歌詞の内容はユーミンのラジオで聞いていたのでわかってたんですけど、お父さんと別れたくないっていう、お父さん、行かないで、というね。その娘の父に対する感じがすごく良くて。特に気に入ってるのが「夜が怖い、夜が終わらない」という一節。子どもの不安な気持ちや寂しい気持ちがすごくよく出てると思います。やはり「夜」って子どもにとっては恐怖だと思いますからね。それに、何か、ちょっと耽美的。あとメロディがね、すごく綺麗で耽美的で。コード的には割に単純な循環コードだと思うんですけど、やはり本当にいいものはシンプルなんですねー。しかも、この歌詞を13歳の女の子が歌って、しかもフラ語で(^^;; そりゃいい曲になりますよね! あとピアノの印象が強いですね。歌詞を一部引き算してピアノで代わりに歌わせるあたりがアレンジのセンスの良さを感じてしまいます。ピアノという楽器も耽美なところがありますよね。
そんなわけで、耽美な大名曲だと思うんですけど、僕は映画を観てないので何とも言えませんが、これだけの名曲を娘に歌われちゃあ、お父さん、離婚するわけにはいかないんじゃあないでしょうか(笑) 実際どうなったかわかりませんが(笑)