以前、テレビをザッピングしてたら、ケーブルの映画専門チャンネルで「Streets of Fire」やってて、「そういや、『やるやら』でナンチャンがこの映画の悪役の真似してたなぁ」と、懐かしくなって最後の方だけ観たことがあります。
そしたら、ラストのライヴシーンが殊の外カッコ良かったし、悪役レイベンがやっぱりカッコ良かったので印象に残っていました。
それから数年後、劇場で公開されるということで観に行ってきました。予想通り80年代を詰め込んだ燃える映画でしたねぇ。「いい感じ」でダサいんですけど、最終的には燃えて感動しました。
主題歌めちゃアツい!
まー、何つってもやっぱ主題歌の「今夜は青春」カッコいいですねぇ。
俺が中学の頃大好きだったドラマ『ヤヌスの鏡』の主題歌にもなって、やはり名曲だと思うし、歌手も上手い。と思ったんですけど、後々音楽を担当した人のインタビュー見たら、複数の歌手を電気的に合成したらしいです(^^;; そりゃ上手いはずだ。
でも、すごくエモーショナルで熱い曲です。ただ、以前CSで見かけた時の訳は「私は男の子を産みたい」「そしてこの子をこの街の王にする」みたいなとんでもない熱い歌詞だったと記憶していたんですけど、果たして記憶違いでした。
で、この曲が流れながらのラストシーン、主人公の別れ、旅立っていくシーンも良かったですねぇ。
音楽の要素がデカい
とにかくこの映画は音楽が重要な要素で、音楽シーンを撮りたいがために作られた映画だったのではないかと勘ぐってしまいます。
冒頭のライヴシーン、酒場のロカビリーライヴ、街で出会ったドゥー=ワップグループのアカペラとラス前のライヴ、そしてクライマックスの主題歌。
どれも名曲です。確かに、あの80年代特有の重いスネアはダサいですが、どことなくインドストリアルな印象があって、工業的であり、物質社会的であり、そこから金が全て、という閉塞感に繋がっていくようにも思います。
画面から感じられる閉塞感
この映画は全体的にはどことなく閉塞感があって、メインとなる街もあまり裕福そうじゃないし、ボンバーズ(このダサいネーミングセンスが最高)の本拠地に至ってはスラム街です。
おまけに外のシーンではほとんどが電車の高架下。非常に狭苦しい。
ベトナム戦争を経て、また冷戦の最中の80年代のアメリカが抱えている閉塞感がそこにはあるような気がします。そして、この80年代特有の閉塞感を打ち破ろうとするパワーがみなぎっていました。あのスネアの重さにはそれをも感じるような気がします。
様式美
そして何と言っても、これぞ様式美、というのが良い。
歌の振り付けから、悪役のボンバーズ、そのアジトのバーで踊る男娼、流れ者の超絶イケメン主人公。
そして極め付けは悪のボス・レイブン! いかにもな容貌なのだ。めちゃカッコ良かった。この人が「フロリダ・プロジェクト」の管理人のおっさんと同じ人だと思うと非常に味わい深いです。
あの管理人さんは若い頃かなり悪かったのではないかと、そういえば思い当たります。なんか迫力あったもんなぁ。
そして、最後の決闘で使う武器はナイフではないんです。
スレッジハンマー。
すごいですね! もう、めちゃめちゃマッチョ! そのスレッジハンマーを使っての肉弾戦なので迫力が違う!
そして変にアクションなど入れずに普通にスレッジハンマーを振り回し、殴り、蹴り、投げるので非常に生々しい。
もちろん、撮り方も上手いんでしょうけど、下手にワイヤーアクションを使うより迫力があるように思います。
そんな感じで非常に様式美と音が素晴らしい映画なので、映画館で観れて良かったです。