「鬼滅の刃」全巻感想もようやく半分を越え、今回は第14巻。全部で23巻なので、遂に残り10冊を切りました!
残りあと一桁と思うと、ゴールが少しだけ見えてきたようにも思いますが、まだあと9冊という思いもあります。
あと少しだな、と感じれるのは、やはり残り5冊を切ってからでしょうかね。
というわけでこの第14巻なんですけど、前巻に引き続いて基本的にはバトル巻です。でも、今回はバトルの合間に結構人のドラマが描かれていて、読み応えはあったと思います。
ただ、今回上弦の鬼を一匹やっつけるのですが、鬼のドラマはなかったですね。そこはちょっとだけ物足りなかったかも。でも今回は柱のドラマがありました。
そういや、鬼と柱、双方のドラマが描かれたことはなかったかも。一バトルについて、描きこむドラマは一つ、ということなのかもしれませんね。
そうそうページ割いてられないということかもしれません。テンポが悪くなるというか。
引き続きバトルにもギャグ要素
前巻の感想で、バトルの中にもちょいちょいギャグを挟むことが目に付くようになった、と書いたのですが、今回はもっと大胆にギャグを取り入れるようになりました。
先ずはやっぱり無一郎と6位の鬼の口喧嘩ですかねw サブタイトルもそのまま「悪口合戦」!
いや、すごいですね。振り切ってきましたね。で、この悪口合戦、さすが時透先生、常に押し気味に進め、最終的に勝ちます。
悪口合戦の勝利、それは相手をブチ切れさせることです。
こういうのって、先に怒った方が負けですからね。相手の最もプライドを持っているものにケチをつけて、見事クリティカルヒットを与えます。さすが、人をムカつかせたら右に出るもののいない時透先生です。
この悪口の応酬もなかなか面白かったと思います。吾峠呼世晴って、やっぱり口喧嘩強いんでしょうか。時透先生の悪口がなんとなく女性っぽさがあって、そう思ってしまいました。
また、マイLOVE甘露寺さんは、鬼に「あばずれ」と言われ、最初はまさか自分に向けられた言葉であると信じられなかったくらい、気分を害しました。
いや、全く無礼千万ですね。甘露寺さんをあばずれ呼ばわりするとは、やはり鬼です。所詮は鬼です。甘露寺さんの可愛さを理解できないとは、むしろ同情します。
でも、鬼にあばずれ呼ばわりされて怒る甘露寺さんも可愛いよな。
ちなみに甘露寺さんには弟がいるそうです。
炭治郎、説教する
ちょっと今回思ったのは、炭治郎、鬼相手に説教するんですよね。その感じがすごく、良いなぁ、と思って。
先ずは、4位の鬼が血鬼術で出した鬼(?)に向かって。他の鬼を無理矢理取り込んで、むちゃくちゃパワーアップして、むちゃくちゃ怖いんですけど、その鬼がむしろ炭治郎たちを悪人呼ばわりするんです。
それに対して、被害者ヅラするな、と説教するんです。炭治郎強ぇな、と。
次に、その鬼の本体が逃げ倒しているんですけど、その本体に向かって、責任から逃げるな、とこれまた説教するんです。
あんまり少年漫画のヒーローが「説教」するの、って見たことないですよね。理不尽なことを言ったりやったりする敵を叩きのめすことはあっても、説教ってあんまり聞かないと思うんですよ。
こういったところも炭治郎の特色というか、個性的なところで。やはり、真っ直ぐで曲がったことが嫌いだから、一言言わなければ気が済まないし、そんなこと言っても鬼は聞く耳持たないと思うんですけど、言わずにはいられないのでしょう。
そういうところも、炭治郎の魅力だと思うのです。
時透無一郎、自分を思い出す
で、今回の14巻の前半では主役級の活躍をするのが時透無一郎です。
前巻の感想で、俺こいつ嫌いだなぁ、とブチかましたワタクシですが、無一郎にものっぴきならぬ事情があったんですね。
実はこの無一郎、元はむしろ優しくて、純粋な男の子でした。それこそ炭治郎みたいに。木こりの子だったらしく、山で炭を作っていた炭治郎と、そういうところでも共通点があると思います。
そんな無一郎が無機質で杓子定規な人格になってしまったのは、鬼との戦いの後、傷ついた後遺症(だと思う。明言はされていませんでした)で記憶喪失になってしまったようです。だから、過去の記憶がないんですね。
そして、記憶を失った後、性格が真逆になってしまったのは、おそらくは双子の兄・有一郎の性格を引き継いてしまったものと思われます。有一郎は無一郎とは違い、非常に冷たい、無機質な性格だったようです。
なぜ、兄貴の性格を引き継いだのか、詳しいことはわかりませんが、やはり兄を慕ってのものだろうと、僕は思います。兄を守り切れなかった悔恨というのもあったかもしれません。
両親もとても明るく、前向きな人たちだったようなのですが、なぜ兄の有一郎だけが無機質な性格になったのかというと、おそらく、両親の死が悔しかったのだと思います。結局、何もできなかった自分が悔しかったのではないだろうかと。
そして、無一郎に対して無駄に厳しかったのは、無一郎を守ろうとしての所業であったそうです。
神様も仏様も結局は守ってくれない、ということを両親の死から学んだのでしょう、そういった信念の元、自分が無一郎を守らなくては、と思い、それゆえ気が張り詰め、余裕がなかった、ということだったようです。
ひょっとしたら、真面目すぎて、優しすぎたのかもしれません。
そして、前巻では天才と謳われた無一郎ですが、実はとんでもない努力の人だったのです。確かに、鬼殺隊に入る前に、一人で鬼を倒してしまうくらいですので、元々天才ではあったのかもしれません。
しかし、刀鍛冶の人が心配になるくらい、日々鍛錬を怠らず、常にギリギリに張り詰めた状態だったようです。
そこまで無一郎を追い込んでいたのは、兄を奪われた鬼に対する怒りでした。鬼に対する復讐で動いているという点でも炭治郎と似ていると思います。
一見真逆に見える二人ですが、意外にも共通点が多く、また、無一郎曰く、炭治郎の目は父親と同じ赤い目だと言います。日の呼吸の使い手であるところも共通していますよね。
無一郎の過去の記憶を呼び起こしたのは、やはり炭治郎だったと思うのですが、それはやはり、無一郎にとって、炭治郎が自分とよく似た男の子だったからでしょう。炭治郎が無一郎の記憶を思い出させるトリガーとなったのは必然だったのかもしれません。
そして、ここでも煉獄さんが良い味出しました。わずか一コマの登場なのですが、柱になったばかりの無一郎を激励し、そのことを無一郎は覚えていたんですね。そして煉獄さんを思い出して涙するくらい、無一郎にとっても思い入れの強い人だったのでしょう。
甘露寺さんはやっぱりナチュラルパワー
前巻の感想で、甘露寺さんはスタン・ハンセンのようだ、と書いたのですが、ホントにフィジカルエリートでした!
もう、生まれながらのパワーファイターで、しかもよく食べる。子供の頃から、お相撲さんよりも食べてたらしいです。
おそらく、フィジカル的には柱でも随一なのではないでしょうか。
見た目は可愛い女の子なのですが、その細腕にはハルク・ホーガンばりの筋肉が内包されているそうです。質の良い筋肉にも程がありますよね。さすが甘露寺さんです。
しかし、それ故に悩みもあるそうです。
嫁の貰い手がない。
まー、大正時代ですからね。これほどのパワーファイターを嫁に貰うのはなかなか難しかったかもしれません。
今ならね、その素養を生かして、むしろ国民的アイドルになれるかもしれないですが(柔道とかプロレスとかTVチャンピオンとか)、生まれてくる時代が早すぎたかもしれません。
でも、柱の中では(多分)アイドル的存在っぽいし、俺は好きです。好き。
そう、そんな感じで鬼殺隊の中では(多分)アイドル的ポジションにいる甘露寺さんですが、彼女にとっても鬼殺隊は大事な場所であるらしいです。
上記の理由で、嫁に行けるよう(この時代では多分嫁に行けるということが女性にとっては最重要事項だったのでしょう)、自分を殺して生きてきたのですが、鬼殺隊に入って初めて、ありのままの自分が認められたのです。
だから、彼女にとっては鬼殺隊とはアイデンティティそのものの場所であると言える思います。
多くの鬼殺隊メンバーにとっては、鬼殺隊とは鬼を退治するための手段だと思うのです。それは炭治郎でさえもそうでしょう。しかし、甘露寺さんにとっては鬼殺隊そのものが、自分の存在理由なのでしょう。
逆に言うと、甘露寺さんほど鬼殺隊を大事に思っているメンバーはいないかもしれません。
そこら辺、甘露寺さんと他のメンバーとでは鬼殺隊に対するスタンスは結構違うように思います。
様々な謎
そして今回、一つの謎が明かされ、新たな謎が出てきました。
解き明かされたのは、玄弥の鬼疑惑。
これは、やはりどうも玄弥は鬼ではないようです。じゃあ、なぜ玄弥は鬼みたいなのか? それは、玄弥は鬼を食うことによって、一時、鬼の力を得ることができるのだそうです。
鬼を喰う。
すごいな! 玄弥!
そんな人間いないだろう、と思ったら、やはりそんな人間はいなく、玄弥は特異体質なのだそうです。
すごいな! 玄弥!
実は鬼殺隊にとって玄弥はものすごい逸材だったりするのです。
そして、新たな謎とは、痣です。
今回の戦いの中で、無一郎の顔に、炭治郎のような痣が浮かび上がってきました。
また、甘露寺さんにも胸のところに(エロい)痣が浮かび上がりました。
そして、甘露寺さんの痣は鬼曰く「鬼の紋様に似てる」のだとか。
鬼との戦いの中で浮かび上がる痣とは一体何なのか?
炭治郎が夢によく見る、あの侍の顔にも痣がありました。
その侍の遺伝子を持つ者の証なのでしょうか?
次巻、明かされるそうですなので、期待大です。