azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「search」ネタバレ有り感想。斬新な手法を使いつつ、しっかりした作り!

『search』という映画がありまして。非常に前評判の高い映画だったんですけど、実際観てみたら、評価に違わずとても面白かったです。

ま、とにかく斬新! コロンブスの卵的でもあり、時代の必然でもあり、といった感じの斬新さですかね。

いずれ誰かがやっただろうけど、その「誰か」になった本作の監督は、やはりすごいと思います。

もちろん、撮り方が斬新なだけでは面白くなりません。映画の根幹であるストーリー、脚本も素晴らしかったですね。

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斬新な作り方

先ず、よく言われるように作り方が斬新!

全編PCの画面だけ!

すごいですねぇ。PC画面を映画館のドでかいスクリーンで延々見させられるという興味と恐怖が観る前にあるってのが、その時点でなかなかのスリルw もちろん面白かったのですが。

ま、それまではね、ビデオカメラというハードの技術が上がって、それを逆手に取って、素人の手持ちカメラ風に撮った作品がですね、一頃斬新だともてはやされましたが、それも多く作られると斬新でも何でもなくなっちゃって。

そんな飽和状態になりつつあった時にこの手法が打ち出されました。いわゆるエポックメイキングというやつです。まさにアイデアの勝利! アイデアは汲めども尽きないですね。

PCの動画がテレビ放送を凌駕するくらいの画質を獲得して、素人の動画撮影自体が以前にも増して身近になった現代の世相をいち早く反映したものと言えると思います。

まさに技術の進歩にいち早く着目したからこその演出で、ほんの5年前遡っただけでも、この手法は使えなかったかもしれません。ここらへんのアイデアはさすがインド人監督といったところでしょうか。IT大国のインドっぽい。

でもですね、時には強引にPC画面にしてみたり、結構無理矢理なところも散見されてて…(^^;; 「全編PC画面で行くんだ!」と打ち出したもんですから、無理くりPC画面にするために四苦八苦だったじゃないですかね、実は。弟の家に隠しカメラを仕掛けるというアイデアは苦肉の策から生じたウルトラCでしょう。他にも「それテレビ画面で良くね?」という場面が、まぁ正直多かったですねー。特に後半。

ストーリーが面白い

そんな感じでアイデアは良かったものの、強引にPC画面にこだわり過ぎた演出も目立ったきらいはありましたが、それでも飽きさせなかったのは、もちろんストーリーがよく練られていたからだと思います。

失踪した娘を探す過程で、知られざる娘の姿が浮かび上がる、とうのは『渇き』と酷似しているますが(まぁよくある類型なのかもしれませんが)、それと比べてもよく出来ていると思いました。

娘の捜索は二転三転、弟と禁断の愛か?と思わせて(それで決まりかと思いました)、そんな中での犯人発覚、また更にSNSの友達が犯人か、と思いきや実は最後の最後、捜査主任の女性が犯人だったという。しかしこれでもまだ終わらない。殺されたと思われた娘は実は生きていて、一応のハッピーエンド。「一応」と付けたのは、捜査主任が息子を守るために一人の男を殺してしまったからです。これさえなければ、一応、被害者は誰もいない状況で、まぁ、丸く収まったので惜しい。

全体的には家族の絆が強まるための試練の物語、という感じでしたね。最初のドキュメンタリータッチの流れはやっぱり悲しく、何と言うか、うなだれてしまうようなもの、と言ったらいいのか、非常に辛いものであり、しかし最後は「良かったね」と、この父娘に幸あれ、と笑顔になれる。

でもよくよく考えたら娘は叔父さんと一緒に麻薬やってたんだよな。そのお咎めについての描写がなかったのはさすが麻薬大国アメリカといったところでしょうか(ちょっと毒づいてみました)。

暴走オヤジ大活躍

それにしても暴走気味のオヤジがすごい! ここがこの映画の面白さのポイントを大きく担ってると言っても過言ではないです。

どうも設定的にIT企業に勤めているらしいんですけど、結構なテクを使って娘のMacの中にある個人情報(ID、パスワード)を探しまくりアクセスしまくりw すごいですねぇ。

挙句、犯人と思しき若者を映画館にまで出向いてブン殴ってしまいます。怖ぇよ、オヤジ!

ただ、「娘が失踪した父親の心理」と考えると割とすんなり納得できるし、むしろ自然とさえ思えます。それに、このオヤジが事件の真相に近づき、最後には犯人を特定している。大活躍ですね。なんだけど、ちょっと残念なのは、この特定の仕方、逮捕に至るまでは説明不足だったかもしれません……俺がわからないだけだったかもしれないけど(^^;

ただ、このオヤジが真相に近づきつつあり、警察の方が後手後手になっている、というのは不自然かもしれない展開だけど、それもそのはず、捜査主任が犯人であるのだから。警察は真相になんてたどりつけない。この設定もなかなか良くてですね、ミステリーにありがちな「素人の方が捜査力がある」という不自然さをこの設定は回避している上、意外性もあって面白かったと思います。

あからさまなフラグ

ただ、途中でこのオヤジが「あなたが捜査主任で良かった」と言ってしまうんですね。これは作劇上、かなりなヒントになってしまっていて、終わってみるとあからさまに過ぎたかもしれません。

正直、この台詞を聞いた時「何かあるなぁ」と思ってしまいました。ただ、犯人とまでは思わなかったですけど、何か重大な過失を犯すのでは、とは思いました。

いずれにせよ、「この人が捜査主任で良かった」ことはないなぁ、とは予測できちゃいましたね。

とはいえ、観劇後の気分は悪くはなく、ハッピーに収めるあたりはアメリカ映画の良いところだと思います。これが現実だ、と肩肘張って、ひたすらグロく、バッドエンドにもっていった「渇き」と比べると、僕はこっちの方が好きですね。優れてるとすら思います。

今後はこういうPC画面をメインにした作りの映画が後を追うように出てくるとは思いますが、その先立をつけた作品としては申し分のない映画だったと思います。傑作と言っていいのではないでしょうか。

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