「運び屋」良かったぁー!
役者引退とか言っていたはずのイーストウッドが案の定の大復活。監督主演ということで絶対観たくて、行ったんですけど、またまた名作誕生でした!
イーストウッド監督作はホント名作揃いだけど、イーストウッドの演技もホント名演揃い。
そんな「運び屋」の俺的刺さったポイントは以下の4つです!
予告編
イーストウッドの不良ジジィは最高
家族に見放され、麻薬カルテルの運び屋に身をやつした孤独な老人の話、とざっくり言ってしまうとそんな話なんですけど、全体的には楽しい映画です。
なんせ、その老人がイーストウッドですからね、一筋縄でいくはずがないw
イーストウッドの老人はホントに言葉遣いが汚いし、不良です。ヤンキーですw
差別用語なんかも平気で使うし、しかも、てらいなく使ってくるから始末が悪い。でも、そこを嫌味なく演じてしまうのだからイーストウッドはイケメンですよね。
麻薬カルテルの若い連中とも仲良くなっちゃうし(花を作っていた時、中南米系の若者をバイトで雇っていた関係でスペイン語にも通じている、という設定が絶妙な伏線)、あまつさえ、仕事ぶりを気に入られてカルテルのボス宅に招待されて、綺麗どころの姉ちゃんたちとやりまくったりもする…(^^;; とんでもねぇジジィだなw
シリアスでバイオレンスになりそうな内容を、楽しみのある人情劇に昇華できているのは、やはりイーストウッドの役作りによるところが大きいと思います。
イーストウッドの不良ジジィは日本のお父さんのよう
イーストウッド演じるアールは、仕事に没頭するあまり家族をないがしろにしてしまうし、家族の記念日は忘れがち。
割と男にありがちな性分の持ち主なんだけど、どちらかと言うと一般的なアメリカ人のイメージよりは日本人のお父さんのイメージに近いのではないでしょうか。
しかも、この映画に登場するアールの家族は奥さん、娘、孫娘と女系家族。そんな設定もアールの男性性をより際立たせています。だから観ていてアールに同情してしまいましたね(^^;;
一生懸命働いてるのに家族には評価されるどころか見捨てられてしまう…。こんなに辛いことはないですよ。確かにアールも外での評価をより重視してはいたのですが…。
イーストウッドの不良ジジィは幸せ者?
しかし、奥さんの臨終の際には麻薬カルテルに殺されるかもしれないのに、奥さんの元へと向かい、看取ることはできました。最後の最後にそばにいることができたんですね。
最後の最後に奥さんから人生で最も愛してると言ってもらえた。娘も作ったし、孫娘にも恵まれた。
アールは自分の人生は失敗ばかりと言っていたけど、よくよく見てみると、とても幸せな人生のように思えます。
ただ、最後の法廷のシーンで自分は有罪だ、と告白するんですけど、それは運び屋としての罪だけではなく、今まで家族に迷惑をかけてしまったことに対する自分なりの罪のことを言っているようにも思えてしまいました。
イーストウッドとブラッドリー・クーパーのシーン
一番印象に残ったのはコーヒー屋でのイーストウッド扮する老人の運び屋・アールとそれを追うブラッドリー・クーパー扮する刑事の邂逅のシーンと、そして最後にアールが逮捕された時、二人が再会して話すシーン。
この2つのシーンの会話がホントに良かったですね。
特に最後のシーンが良かったんですけど、このためにコーヒー屋で二人を合わせたのかもしれないのかな、と邪推してしまいます。ここらへんの構成の妙も素晴らしい。
もちろん、それ以上に会話が魅力的です。やはりイーストウッド、人生経験の深い老人が悔恨と共に繰り出す台詞は重みが違うし、胸への刺さり方も違う。イーストウッドの名演も光るし、イケメンクーパーの存在感も素晴らしかったです。