「ダンジョン飯」にすっかりハマッてしまって、毎回楽しみにしております。
正直最初は全然興味がなかったんですけど、実際観てみましたらば、これがすごくよくできてる!
まさに前言撤回! 掌返し!
今回は4~6話の感想を書いてみました。徐々にダンジョンの深層へと潜っていくわけですが、それとともに食材(!)もなかなかにしてエキセントリックなものになっていきました。
そして、世界観もより深くなっていってる感じです。
PV
第4話
今回はセンシがゴーレムを畑にしているという変態回。まさにセンシの料理変態ここに極まれりw
なんか途中、音楽とかもほのぼの路線で演出していたのですが、実はものすごい変態的なことしてるし、その演出が実はかえってその変態性を浮き彫りにしているのが笑えるw
それにしてもセンシは、ホント、なんていうか、ああ言えばこう言うw 屁理屈の達人である。
その表情の読めないギョロ目のポーカーフェイスと押しの強さも相まって、本当は言い負かされているのに、言い負かされている感を感じさせない。そんな感じで口論に勝ち続けてきたような人である。実に厄介です。
しかしその生活力、料理の腕前は確かだし、センシなりのこだわり、生き様は説得力があります。
センシは魔法が嫌いだそうなのですが、「なんでも便利にしてしまうと、それと共に失うものが必ずある」ということらしいんですよね。なんとなく、それは今の世の中にも結構当てはまる感じがするし、もっと言っちゃうと、その繰り返しを人類は続けてきたのやもしれません。
また、センシがなぜダンジョンの中での生活にこだわるのかというと、そうすることによってダンジョンの生態系、もっと言ってしまうとダンジョン内のシステムを崩すことなく維持することができる、のだそうです。まさに現地主義。郷に入っては郷に従え、です。
それに、こういう視点を入れることによって、非現実一点張りだったファンタジー世界にリアリティを入れることもできると思います。地下へ潜っていくスタイルといい、どことなく「メイドインアビス」を思い出してしまいました。
そして後半はドワーフ族とのいざこざ的な話になるのですが、暴力一辺倒のドワーフ族のおっさんが息子に「歴史の勉強」と称して、都合よく解釈された迫害の歴史を語り、自分たちの暴力を正当化するシーンがあります。
それに対してマルシルはことごとく言い返していきます。様々な種族が集えば、文化、思想も違うし、必ず軋轢は生まれる。そういったことも、それぞれの、それぞれなりにいささか都合良く捻じ曲げた歴史解釈がなされるのもまたリアル。
このアニメはダンジョンの中に生々しい生活を持ち込む、ということが根本的なコンセプトなのかもしれません。その象徴が「食」だったのではないでしょうか。食とは生命の基本なのだから。
そういうところ、コンセプトの段階から実によくできた作品だと思います。
第5話
今回は遂に昆虫食! 来ましたねぇ。『現実』世界でも話題の昆虫食。当然、この作品が取り上げないわけがない。
しかも、ただの昆虫ではざいません。なんせ、そこはダンジョン。金銀財宝に擬態するという虫で、このアイデアも秀逸。
早速センシは食える虫と食えない虫で選別するのですが、最後にチルチャックの、食えない方は捨ててもいいか、という問いに、よい、と答えます。チルチャックは捨ててしまいます。そりゃそうです。
しかし、その捨てていい理由とは、「本物の財宝は食えない」から…。
飯バカここに極まれり!
あまりのことに思わず笑ってしまいましたw
後半はゴーストを退治した時に使った魔除けの聖水がシャーベットになっている、という甘味でした。
ただ後半はどちらかというと、ライオスの妹へのそれぞれの思いを描いた感じ。
そして、今ここにいない人を悔いたり、憧れたりしても仕方がない、今いる人たちで苦境を脱するしかない、という人生訓的内容でした。
こういったストーリーを挿入してくるあたり、なかなか作品に深みを感じます。
実はこういう物語を読んだり観たりする人の心理って、何かを教えてもらいたい、というのがあるという話を聞いたことがあります。わかります。僕も、そういった啓蒙的な台詞とかシーンとか出てくると、はた、と膝を打ってしまったりしますし、そういうシーンに出会えると、何か嬉しいような気持ちにもなります。
そういった無意識的な欲求に応えられる作品が名作になったり、支持を得たりするのでしょう。
第6話
今回は、言ってみれば「地続きの前後編」といったところでしょうか。夕食と寝床をどこにするか、ということがテーマで、前半はライオス、後半はチルチャックが主役の回。
ライオスは相変わらず食に対するこだわり、食への欲求がすごすぎて、呪いの絵の中にある食料に目をつけてしまいます。
これにはさすがのセンシも呆れ気味なところから、いかにライオスが変態かということがわかろうというものです。
そして、呪いの絵の中に入るのはいいものの、絵の中とはいえ、状況的にとても食事をするような雰囲気ではなく、なかなか食えません。
三枚目にしてようやく腹一杯、美味しく食べられるのですが、絵の外に出たら腹持ちが全くなくなってしまうという案の定の展開。ライオスは全くバカで変態です。
しかし、絵の中がそれぞれ一つの世界として繋がっていて、それぞれに劇的な状況であり、その世界を生きる人々の人生を想像させる作りが、実は地味に良かったですねぇ。
最後、その絵の世界の登場人物であるエルフ(多分魔法使い)に、ライオスが怒られてしまうというオチまで用意されていました。
後半は宝箱に擬態するミミックという魔物とチルチャックの因縁の話。
鍵を開けるのが専門のチルチャックが、らしくなくミミックのいる小部屋に閉じ込められるという話でもあります。
なんせチルチャックは開錠専門なので強いわけではありません。そしてこの作品におけるミミックはヤドカリとかカニの化け物なので非常に強いです。
そんな大ピンチの中、戦闘的には無力であるチルチャックが罠の知識を総動員して対抗する、というなかなか知的な戦闘展開で、ある意味非常に王道的冒険モノ展開が楽しめました。
もちろん、最後はこのミミックを蟹よろしく茹で上げて食す。今回もまた、実に美味しそうでした。