毎回楽しみにしている「ダンジョン飯」。
竜に食われた妹を救出する、という切実なミッションのためにダンジョンに潜っているはずのパーティなのですが、毎回どこかのほほんとした、レジャー的雰囲気も漂っていたりもします。
しかし、今回感想を書く第10〜12話は、そういったこれまでの「味」を踏襲しつつも、シリアス面が顔を見せはじめ、そしてキナ臭さも濃くなってきました。
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第10話
いきなり巨大ガエルとの遭遇というキモ展開w
しかも、チルチャックが巨大ガエルに『咥えこまれて』半分食われかけるという更なるキモ展開! ぐえー! チルチャックは、暫定でここまでの話の中で一番の災難ですねー。チルチャックに幸あれ。
しかし、チルチャックは機転を利かせ、元々その場に仕掛けられていた罠を利用して巨大ガエルを撃退。こういう頭脳戦(と言ったら言い過ぎか?)での勝利って、やっぱりカッコいい。
しかし次の階層へ行くには毒性の植物テンタクルスが繁茂する階段を降りなければならなりません。が、カエルはこのテンタクルスが繁茂する階段に生息していました。どうやらこの毒に対する耐性があるらしい。
そこに目を付けたライオスが、カエルの皮を剥ぎ(キモい)、それを縫って防御服にして進むことに。さすがは魔物マニア。朴訥としているようで、ここという時に機転を利かせますよね。
でもこの防御複、見た目は割と可愛いんだかマヌケなんだかわからない感じなのですが、よく考えたら着ぐるみなどではなく、生きていた巨大ガエルです。実は実写とかにしたらめちゃくちゃキモい品物なのかもしれません。つーか、キモいでしょ。
ライオスの防御服作りと同時進行で、例によってセンシがカエル料理を作ります。そういえば、以前飲み屋でカエルの唐揚げを食ったことがあるのですが、見た目もあまりカエルカエルしてない感じで調理してくれたこともあってか、めちゃくちゃ美味かったことを覚えています。
味は丁度鶏肉と魚の真ん中って感じでしたね。まさに両生類だなぁ、って思いました。だから、今回の料理は特に美味そうに見えてしまいましたねぇ。スパゲティとニョッキはニンニクと鷹の爪が和えてあって、絶対に美味いやつだと思います。
そしてこのアニメには珍しく、突然の視点変更。前回登場した考古学者と島主の食事会の場面に変わります。
元々は、今ライオスたちが潜っているダンジョンは、エルフの管轄だったらしいのです。しかし、ドワーフとのいざこざがめんどくさく、エルフが(多分)トールマンに丸投げしたものらしいんですね。そしてあのダンジョンを作ったのは、そのエルフの可能性が高いらしいです。
でも、西のエルフは、迷宮は我々の遺産なので返せ、と言ってきてるらしいんですね。今になって、なんでそんなことを言いだすのか、という感じですが。
で、その理由なんですけど、考古学者の話では、不死の術をエルフが欲しがっているから、ということになるらしいです。前回の話に出てきたやつですね。魂を肉体に固定する、という迷宮にかけられた術です。
これはかなり禁断の術のような気がしますし、かなり陰謀めいた感じになってきました。なんだか、いよいよ話がキナ臭くなってきましたねー。
そしてまた、その術をかけたのは迷宮の主である「狂乱の魔術師」だというのですが、なんとなくリック・フレアーとアブドーラ・ザ・ブッチャーを混ぜたようなネーミングに感じてしまいます。ブッチャーは呪術師だし。
それにしても、この考古学者と島主の話から類推すると、どうもこの作品の中でもエルフは偉そうな感じなんですね。だとすると、マルシルはエルフとしてはかなりイレギュラーな存在なのかもしれないなー、と思ってしまいました。なんか、全然違いますもんね、マルシルって。
そして視点はライオスたちに帰ってきて、元のダンジョンに戻ります。テンタクルスの階段を抜けると遂に第五層、レッドドラゴンのいる階層に到着。いよいよファリン救出と相成ります。
しかし、そのレッドドラゴンの痕跡はあるものの、どうも様子がおかしい。普段寝てばかりいるはずのレッドドラゴンが徘徊しているようなのです。しかも、狭いところを好んで通ろうとしている。
しかし、それはそれとして作戦を立案し、いよいよレッドドラゴンとの対決という段になるのですが、その前に、さっきの巨大カエル料理で腹ごしらえ。今度はもちろんトンカツ! やはりそう来ますよねー。勝つ、というわけで。縁起を担ぐのであります。
第11話
今回は珍しく、というより初のガッツリバトル回。
レッドドラゴン打倒の作戦決行!
もう、開始3分とか5分くらいで、いきなりのレッドドラゴン登場! 出し惜しみなし! ここら辺の展開の早さ、いいですねー。
ライオスたちは事前の作戦を決行するも、レッドドラゴンの予想を上回る強さと、ハプニングと、立てた作戦の甘さで、ことごとく失敗。この「作戦が全部失敗」っていうのがまた良いですよね。「どうなっちゃうんだー?!」って思わせて。
そういう絶体絶命をどう挽回するか? そりゃもちろん肉弾戦しかないでしょう!
それぞれがそれぞれの役割を熟知し、実行し、仲間に託す。そしてそれぞれに、まさに肉を切らせて骨を断つ! 王道の燃える展開だし、その展開も実によくできていたと思います。ちょいちょい笑いもまぶしつつ、パーティの面々の、普段見られないシリアスな顔も見せてくれて。
最後はライオスが敢えて左足をレッドドラゴンに咥えさせ、ぶら下がって下顎の下にある逆鱗を剣でぶっ刺して勝利!
最後の大勝負の時のライオスはいつになくカッコ良かったです。食や魔物に関しては完全な変態ですが、元々はイケメンでカッコいいんです。
しかし、その勝利の代償に、ライオスは左足を失ってしまいます。と、思ったらマルシルの魔法で元通りに(但し、斬られた足は必要なようで、マルシルの「探してくる」という、お使いくらいのノリの軽さがまたこの作品らしい)。
重傷を負ったチルチャックとセンシもマルシルの魔法で治るのですが、治癒痛とかいう反動的な痛みがあるらしく、それがまたかえってめちゃくちゃ痛いという。
なんか、こういった、重傷を負っても割とポップに治ってしまうのがこの作品の、ひいては最近のダンジョンものらしさなのかもしれません。多分ゲームの流れを汲んでいるのでしょう。復活の呪文とかポーション的な。よく知らないけど。
そして、いよいよファリンを助けるためにレッドドラゴンの胃を解体します。そして胃袋に至るまで、レッドドラゴンの体を掘り進むのですが、その巨大生物の中があたかも洞窟のようであるのが、「ピノキオ」のクジラの体内を思い出してしまいました。
また、レッドドラゴンの体の中が「暑い」というのがまたそれっぽい。倒したばかりでまだ体温があるだろうし、なんせ火を吐く大怪獣ですからね。
そしてやっとの思いで胃袋を取り出すのですが、中には何もない。腸も探してみるけど、そこにもファリンはいない。
もうダメか…、完全に消化されてしまったのか…、と思ったところでライオスです。困ったときのライオス。さすが主役。
何か気づいたらしいライオスが取り出したのは、レッドドラゴンが火を吐く時の燃料にするための器官(らしい。←ウロ覚え)。
すると、その中にファリンのものと思しき金髪と、髑髏があったのです。というところで次回!
ただ、レッドドラゴンから負った傷で気絶していたライオスが見た夢の中で、ファリンが別れの挨拶をしていたのが、強烈な伏線になっているのかも…。
第12話
前回、ファリンであろう髑髏を発見したライオスでしたが、さすがにこの状態からでは蘇生は難しいらしい。
ファリンを生き返らせることは厳しいか…、というところで、マルシルが「自分がやる」と申し出るんです。マルシルが、禁忌となっている、いわゆる黒魔術の研究者であることをカミングアウトします。
後のシーンでも言及があるけど、どうもこの黒魔術というのは相当にヤバい代物らしくて、それをマルシルは、いわば「平和利用」するために研究しているらしいんです。
ヤバい力ではあるけど、それだけに強い力でもあり、確かに上手くすれば有用かもしれない。往々にしてある話ですね。
しかしそれは、「平和利用」の名の下にとんでもない化け物を生み出してしまう危うさもあると思いまし、それもまた往々にして話されることですよね。だから、行き過ぎた科学・開発批判なんかも結構頻繁に出てくるわけです。
マルシルには、なんとなくそういったマッド味を感じます。優等生の怖さとも言えるかもしれません。広く浅くは見聞を広めて、フラットな思考を得ることができそうな気もするけど、深さを追求してしまうと、ややもするとカルトに行ってしまいますからね。深い分、周りが見えづらくなるというか。
ま、そんな感じでですね、ここはマルシルに託そう、ということになり、ファリンの骨を全部集めることになります。
しかし、レッドドラゴンは魔狼も2匹ほど喰っていたらしく、その骨との判別作業も必要となります。ところが、なんとなくその作業がですねー、ジグソーパズルっぽくなってきてしまい、しまいにはライオスはちょっと楽しくなってきちゃったっぽく、変態性能天気性を発揮します。すかさずチルチャックが「楽しんでんじゃねーよ!」と突っ込んでくれたから良かったですが。
こういったところが、なんとなく「ダンジョン飯」らしいし、実際にこういうことがあったら、そうなりがちだとも思うし、そういったところも、なんかリアル。人間の感覚って、どこか怖く、そういったところも描いている感じがする気がします。
そしてなんとかファリンの骨を集めるのですが、更に蘇生させるには他の動物の大量の血肉が必要らしい。そこで倒したばかりのレッドドラゴンを使うとマルシルは言い出すのですが、それもこの世界の常識では考えられないことらしいんですね。
マルシル、手段は選んでられない、といったところですね。ファリンに対する想いの強さがわかります。
それもあってか、今回のマルシルはいつになくシリアスで、どこか怖い。前回のライオスも普段とは違うシリアスな顔を見せたし、ここはそれくらい大事な場面だ、ということがわかります。この緩急、ギャップ演出も観ていてメリハリがあって素晴らしい。
そしてまた、ここで「黒魔術」「竜の血肉での蘇生」と、後の伏線になりそうなものが二つも出てきた感じですねー。
しかしながら、蘇生自体は見事成功。ファリンは無事元の姿で蘇生され、感動の再会となりました。なんだか、視聴者であるこっちもホッと安心しました。
しかし、基本的には元通りのファリンではあるんですけど、やたら魔力が溢れていたりします。そして極めつけは、迂闊にもガスが充満しているレッドドラゴンの死体付近で調理を始めたセンシ(笑)を守るために使った防御魔法が、とんでもない強力なものだったりします。おかしいくらいにファリンの力が強くなっているんですね。
また、これまでの回想の中でのファリン、つまり過去のファリンは、大体目を閉じている(ように見える)のですが、復活後のファリンは常に目が開いて、金色の瞳を見せています。これってやっぱり「覚醒」した、っていう演出なんでしょうか? 既に、今後の不安要素の片鱗が垣間見えたようにも思います。
そしてラストシーンではダークエルフっぽい女がレッドドラゴンの死体の前に現れ、マルシルの書いた黒魔術の魔法陣を見下ろす、というところで次回。
ちなみに、前回は料理シーンは一切なかったのですが(それくらいアクションに振り切っていた)、今回はちゃんと料理シーンがありました。もちろん、倒したレッドドラゴンの料理です!
なんとなく鳥っぽい味なのかな、と思いきや、何にも似てない味らしく、ライオスは「これが竜の味だ!」と言って、むしろご満悦でした。そしてファリンも魔物料理に興味津々で、この兄にしてこの妹、といった感じ。やはり血は争えないといったところでしょうか。こうなると親の顔が見てみたいものです(確か回想シーンで出てきたけど)。