azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「Ryuichi Sakamoto | Opus」ネタバレ有り感想。それはまさに「映画」!!

念願の「Ryuichi Sakamoto | Opus」を観に行きましたー!

いやこの映画、ホントに観たかったですからね。この映画以外は今年はもう観なくてもいいくらいに思っていたくらいですから(実際はその前に一本既に観ていましたが)。

前回観た「Ryuichi Sakamoto Playing the Piano 2022+」はライヴでしたが、今回の「Ryuichi Sakamoto|Opus」は映画です。

というわけで、新たな気持ちで観に行ったのですが、やはり「映画」でしたね。



予告編

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今回も109シネマズプレミアム新宿!

場所は以前と同じ、もはや教授映画の本拠地と言っていいでしょう、109シネマズプレミアム新宿でした。お値段はバカ高ですが、それも納得のラグジュアリー映画館! 今や僕が一番好きな映画館となってしまいました。

映画館に着いて、ウェルカムドリンク&ポップコーンは後回しにして、窓の下に見えるTOHOのゴジラに挨拶をしてから7番スクリーンへ。

前回「Ryuichi Sakamoto Playing The Piano 2022 +」の時、最後列の左端に座ったら、教授のド真っ正面だったことに味をしめ、そしてもっと前に行ったら臨場感も増し増しになるのでは、と思ってCLASS S席に近めのF列左端に陣取りました。

しかぁーし! 今回はえらい端っこ感が出てしまった…。

角度の問題を忘れていたんですねw 後方へ行けば行くほど角度が広くなるのです。盲点だったァー!

それに、音を堪能するには(どの席からもちゃんと聞こえるよう調整されているらしいのですが)、やはり真ん中が良いんですよね。そういった意味で、今回は座席的にはちょっと失敗した感じですねー。

ただ! やはり教授は左側に来ることが多く、ド真っ正面から教授と相対することはできました。

上映前に幸宏が…!

で、本編の前には当然予告編なのですが、なんと、幸宏の映画「Saravah Saravah!」の予告が! もう、泣きそうになりました…。それに、やはり音が良い。

続いて、上映前に教授からのご挨拶。このライヴを撮影した時に撮られたものでしょう。改めて、こういうのまで撮ってたんだ、と驚きました。それほどまでに、この映画館へ情熱を注いでいたことがわかります。

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映画

本編が始まると、先ずは教授の後ろ姿から。徐々にアップ。背中越しに楽譜、そして鍵盤、更には手、というようにカメラは捕らえていく。皺だらけの手は、それでいて無骨。

映画は、基本的には焦点が合っているところが見せたいところだと思います。ただ、たまに焦点が合っていないところを見て欲しい場合もあったりするので、一概にはわかりません。だからこの時も、焦点の合わなくなった楽譜の方をやっぱり見せたいのかな、と少し考えてしまいました。でも多分、この場合は焦点が合っているところが見てほしいところなのでしょう。そう思うことにしました。

それから、一曲目中盤も過ぎて、ようやく教授の表情が映されます。

やはり、今回は「映画」として作っていると思いました。この冒頭の演出などは、溜めて溜めて、そして表情、という、いかにも映画的のように思いました。

また、曲の部分によってはダンパーの音がやけに大きく、まるでバスドラのように響きます。音にも演出を加えているようにも感じました。そういう「演出」は「Playing The Piano」にはなかったと思うからです。

音楽だけが音楽じゃない

今回はそういったピアノ以外の「音」が特に聞こえる気がしました。

以前、教授はベルトルッチと仕事をした時、最初はシンセサイザーで音を作ったそうなんです。そしたら、ベルトルッチに「演奏者の椅子のきしむ音がない」みたいなことを言われ、割と喧嘩になったこともあったそうです。

ただそれから、おそらく教授も変わったのでしょう。ベルトルッチからの影響か、そういった音符以外の音も重視するようになったのでしょう。そこにこそ、実は音楽的な響きがある。

そもそも、教授は若い頃からジョン・ケージにも影響を受けていました。ジョン・ケージもそういった環境音の重要さ、作られた人工的な「音楽」だけが音楽じゃないことに気づき、それを提唱しました。年を重ねるごとに教授もそういった考えを益々強くしていった感があるのだと思います。

今回のライヴも、ピアノは十分に音を伸ばし、ゆったりと演奏する。近年の隙間を音符で埋め尽くすヒステリックな音楽とは真逆です。

今回僕は僕以外の他の観客のいる映画館で観たわけですが、教授の伸ばした音は減衰し、音量がなくなっていきます。そしてその隙間には、館内の環境音。座る位置を変えた椅子の音だったり、飲み物やポップコーンを食べる音だったり、観客の息遣いだったりが聞こえてくるはずです(現実はマナーということもあり、そういう音は幸か不幸かほぼ聞こえなかったのですが)。

そういった環境音も感じて欲しく、教授はゆったりと弾いたのかもしれない。なんとなく、むしろ、アンビエントのように思う。

そして僕はと言えば、コロナ渦を経て、久しぶりに映画館で映画を見た時、以前はあれだけ嫌いだったそういう映画館内の環境音を「ライブ感」として楽しめるようになっていたことに自分自身驚きました。

「みんなで観てる」という妙な一体感。これがまた楽しいんです。だから、マナーはもちろん大事だと思うけど、行き過ぎは良くないのではないか、とも今は思います。たまには笑ったり、お茶をすすったり、ポップコーンを美味しく食べたりしてもいいのではないか。そんな風に思います。

指揮

そして、教授の息遣いも時に大きく聞こえます。また、教授は弾いている最中に、指揮者のように手を振ります。教授の敬愛するグレン・グールドも演奏中、たまに指揮棒を振る仕草をしました。あと、鼻歌も歌っていました。教授も影響を受けているのかもしれません。

演奏が終わる時は、ほぼ毎回、指揮するように手で締めて、ダンパーを切ります。ここで面白いのは、手を鍵盤から離しても、ダンパーは踏んだまま。音を慈しむように伸ばし、そして最後にハーモニクスを出すようにしてダンパーを切る。その余韻の感じが面白い。

絵の工夫

やはり「映画」なので、ピアノ演奏という、楽器の中でも特に動きのない楽器の撮影ということで、様々なところに工夫があったと思います。視点のこだわりがその一つでした。

教授の座る椅子はもちろん、マイクなどの機材をアップにしたり、ピアノの蓋に映る楽譜を写したり、教授の眼鏡に映った楽譜まで映していました。

教授をシルエットにする時も、背景に照明を強く当てて、教授を影のように浮き上がるようにしたり、そうかと思えば逆光にして、あの見事な綿帽子を光らせてみたり。その時、無精髭も顔の形に浮かび上がって、それもまたカッコ良かった。そんな感じで、とにかく工夫がすごかったです。

それを見て、教授とスタイリストの人との対談記事を思い出してしまいました。そのスタイリストの人の話では、教授はピアノを弾くとき座っているから、できるだけ上半身に動きが出せるスタイリングをするのだそうです。例えば、シャツが照明に当たった時、綺麗に皺が出るようにする、とか。

動き

しかし、こうして映像をよくよく見ると、実はピアノ演奏にも結構動きがあることがわかります。指の動きはもちろん、体の方も結構動いています。そもそも表情があります。演奏家は、一流になればなるほど表情があるように思うのです。

明るい曲調である「水の中のバガテル」の時は、教授もこころなしか楽しそうな表情でした。

続けて「美貌の青空」を演奏するのですが、インプロビゼーションのところで演奏が止まります。緊張が走る。何度も確かめるように弾き直し、演奏終了。そして「もう一回やろうか」の一言。

どうやら、ライヴのアウトテイクだったらしいのです。今回は「Playing The Piano」では演奏されなかった曲も多くありました。「Playing The Piano」では全部で14曲。そして今回の「OPUS」では20曲。6曲多いわけです。プリペアードピアノも前回はなかったのですが、この曲がまたカッコよく、どこか東南アジアの民族音楽を思わせるものでありました。

映画

ただ、NHKのドキュメンタリーを観た後だと、かなり違った感じに見てしまいます。相当辛かったと思います。途中、休む場面も二回ありました。

1回目の休みの時は辛そうな表情を浮かべていたのですが、2回目の時は東風の練習をしていました。イントロのところを何度も間違えていました。

そういった、ライヴの裏側、教授の人間的なところも映し出していたのです。こういったところ、やはり「映画」という感じです。

「映画」とは、人間を見るものなのかもしれない。それは、例えば動物紀行ものとかでもそうだと思います。多分、そういう映画でも、見ている人はそこに自分自身の似姿みたいなものを見ているのかもしれない。スクリーンに登場する人物を見て、そこに自分を見る。映画とはそういうものかもしれません。

「ライヴ」か「映画」か

前回の「Playing The Piano」を「ライヴ」としての完成形と見るか、この「Opus」を曲数も多く、教授を「描いた」「作品」としての完成形と見るか、なかなか難しいところだと思います。

個人的にはどちらも大好きです。

今回の映画では、「音の演出」も踏まえた上で、今回の映画で改めて教授のピアノの音の綺麗さを堪能したし、楽曲の素晴らしさ、美しさも堪能したし、演奏する姿も堪能しました。

あとやはり、この映画はこの109シネマズプレミアム新宿で観るべき作品だと思います。やはり音が良い。誰かが言っていたのですが「正しく無音」である。これはなかなかできないと思うんです。音がホントにクリア。余計なものがないというか。

そんな感じで、座席は少々失敗したかもしれないけど、十二分に堪能し、この余韻に浸ろうと、ウェルカムドリンクのアイスコーヒーとポップコーンをラグジュアリー空間で楽しもうと思ったのですが、なんと開演前限定だという。

映画自体は堪能したけど、ラグジュアリー映画館は残念ながら堪能し切れなかった…。やはり下調べは大事です。思い込みは良くない。



 

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