TVシリーズで人気を博したエウレカセブンですが、その映画化は大体「公式による二次創作」或いはリミックスやリアレンジ、という感じでした。
だから、あんまり、何というか…ね、アレな感じで(笑)
「ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」もそんな感じではあります。しかし、今回の映画は非常に良くまとまっていたし、今までの映画の中では抜群に面白かったと思います。
予告編
ひねりを加えたリミックス
時代設定やキャラ設定など、TV版オリジナルとはかなり異なります。今回は2028年の東京(だったところ)が舞台で、主役はアネモネ。ただし、今回は TV版とは地続きではあるらしく、パラレルワールドにしてその後の話という、ひねりを加えたリミックス、といった感じ。
アネモネの生い立ちを中心としたストーリーや、過去作とのリンクも効果的だと思うし、過去作を使ったパラレルものとしては非常に良くできてると思います。
テクノ-クラブ系へのサブカルオマージュも健在
そしてこの作品の持ち味でもあるテクノ-クラブ系のサブカル的な要素も所々に散りばめられていて、それも楽しめました。
アネモネの父親の名前がケン・イシイって(笑) まんまやんけ! ひねれ(笑) いやぁ、観ててニヤニヤしてしまいましたが。
個人的にはクライマックスの戦闘シーンで「Ballet Mechanic」のカバーが流れた時にはシビれましたねぇ!
この曲は坂本龍一のアルバム「未来派野郎」に収められた曲なのですが、個人的にこの曲が非常に好きで。すごくカッコ良い上、すごく綺麗なメロディラインを持った名曲なんですけど。
それもあって、映画館の中で一人でアガッてました(笑) もちろん静かにしていましたが、心の中はホントに大盛り上がりで。音を出さずに口ずさんじゃったりして。
特に今回のカバーは、やくしまるえつこと砂原良徳という、非常に教授とも関係の深い人たちが作ってて、どういう経緯でこのコラボが実現したかはわからないのですが、この曲を発注した人はホント、わかりすぎてるくらいわかってるなぁ。
今回は怪獣映画?
また、今回も所々にエヴァを意識した、或いはパクった要素がありましたが、今回はゴジラの要素も強くあったように思います。
ゴジラの影響を特に強く感じたのは、エウレカとUN軍との戦闘ですね。非常に緊迫感があって、細かく丁寧に、迫力のあるシーンに仕上がっているのですが、何となく怪獣映画っぽい。怪獣映画好きとしては、この点もたまらなかったですね。
特に、エウレカの最後の攻撃は完全にビオランテをカリカチュアしたものだと思うんですけど、それは「ゴジラvsビオランテ」好きな僕の思い込みでしょうか?(笑)
思えば、「甲鉄城のカバネリ 海門決戦」の時もビオランテの影響を感じたんだよなぁ。
それを思うと完全に僕の空目のような気もしてきた…。
この作品による未来予測
また、黒人のエンジニアっぽい人の「この国は都合の悪いことは改竄する歴史がありますからね」というのは、何というんでしょうね、非常に刺さるセリフでしたねぇ(笑) 未来においてはそれが伝統化している、という感じで。よく未来を読んでいるなぁ、とちょっと思いました。
描写として印象に残ったのは、アネモネがアプリを相手に「会話」をしているところですね。まぁ、近未来SFではよくあるっちゃあよくあるシーンではあるのですが。
最近の小学生って、キーボード入力はおろか、フリップ入力すらせずに、音声認識で文章を書く子が増えているらしいと聞いてびっくりしたんですが、アプリをキャラに見立てて、音声入力するのって、かなり未来を予測しているなぁ、と思いました。
将来的には、手で入力するのは特殊な技術になりそうですね。