2019年アニメで、決して大作ではないけれど、非常に印象深かった作品が「センコロール コネクト」です。
元々、「センコロール」という作品が2009年に公開され、今回はその二作目となるのですが、1と2を抱き合わせて公開し「センコロール コネクト」となったのです。
映画はなかなかにしてわけのわからないものでしたが、なかなか面白かったです。
ドラマや人、そして世界観を丁寧に描いているので、ほぼ説明のない異形のものを出しても観客が置いてけぼりにならない、という感じでした。
というわけで、この「センコロール コネクト」の感想は以下のような具合です。
わからないことだらけ
先ず、主人公であるテツが「センコ」と呼んで、連れている謎の生物がいるのですが、それが何なのかよくわかりません。
センコは「タコ」と呼ばれる怪獣の一種なのですが、これが何なのかはハッキリとは最後まで語られません(^^;;
物語中「タコ使い」とでも呼ぶべき人物が何人か出てくるのですが、なぜ彼らがタコをコントロールできるのか、なぜタコとコネクトできるのか(タコを操るためにはタコと「コネクト」しなくてはならないらしいです)、全くわかりません。
また、タコに関しての組織があるらしくて、そこは動物の研究をしている機関っぽいのですが、それも詳しくはよくわかりません。
タコに関しては、ほとんどのことがわからないまま進行し、そして終わります。
ちなみに、このタコのデザインが不気味で無愛想で気持ち悪い(^^;; でも、なんとなくの味がある。エウレカセブンに出てきたコーラリアンを思い出してしまいました。
↑これがセンコです。抱っこは大丈夫です。
でも、しっかりした作りだから全然楽しめる
ただ、それでもこの映画で行われていたことはわかるんですねー。
「異形使い」が日常に潜んでいて、そこへ侵略者がやってきて、それを倒す。
ざっくり言うとそんな内容です。
また構成としては、初めは三すくみで、それが互いの利害が絡み、タッグを変えつつ、最後はしっかりまとめている。作りとしては上手いと思います。
そして、何より人間がよく描けていたと思うんです。特に女子がよく描けています。特に主役の子。女性の鋭いところ、天然で冷酷なところ、天然で男を引っ掻き回すところ、などなど。
登場人物の心情や気持ちの流れが丁寧に描かれると、実存感が出てくるんですね。そうした人物たちがそれぞれの立場などからぶつかっていくと、ドラマが生まれる。
そういったドラマを丁寧に描いていくと、設定でわからないことがあっても、飽きさせず、映画の中に埋没することができる。それがこの映画は良かったと思います。
一人で作った?!
そしてまた、カットの一つ一つが洗練されていました。すごくセンスの良い画作りをするなぁと。
特に冒頭、タコが朱鷺色の空に現れるシーンが素晴らしかった。観客をいきなり物語世界に引き込む説得力があり、いきなりのクライマックスはスピード感にも満ちていました。出し惜しみしないところが素晴らしい。
そして特筆すべきは、この作品をほぼ独力で作ったらしいんですよね。確かに、観ていて手作り感はあったんですけど(前情報ゼロで観ました)、一人ってのはちょっと信じられないくらいです。
一人でアニメを作ったと言えば、僕のハイパー大好きな新海誠の「ほしのこえ」が有名ですが、クォリティから言うと、こっちの方が高いかもしれません。
あと、音楽もカッコよかったですね。 こちらはSupersellのryoが担当したそうで、非常に印象的な音楽でした。主題歌もSupersellが担当したそうです。