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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「PSYCHO-PASS Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」」ネタバレ有り感想。真打は狡咬さん!

 

今回はPSYCHO-PASSの三部作の最終話「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に__」」について書こうと思うのですが、真打はこの人しかいません。もちろん狡噛さんです!

やっぱ狡噛さんだよなあ。PSYCHO-PASSの真の主役はこの人だと思ってます!

そんな狡噛さんが主役のcase3の俺的ポイントは以下の三つ。

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予告編

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舞台は近未来アジア!からの平和の形とは?

今回の舞台はアジアで、僕が求めるPSYCHO-PASSに求めるディストピアとしての未来の東京もしくは日本、ではないんですねー。前の劇場版と同じです(^^;; 前の劇場版がイマイチだったのはそのせいもあったんですよねー。

しかしながら、今回は面白かったです。国連がなく、今とは違う形でアジアが分断され、民族紛争が激化しているという、これもまたシビュラシステムが支配する日本とは違う形で起こり得るディストピア近未来でした。

そんな世界観の説明が、今回劇中でわかりやすかったことも、面白かった理由の一つかもしれません。先ず、アジアは現在の世界とは異なる国や地域に分かれています。そして、国連が存在しない。それにより、政府と過激派武装組織での争いが絶えず、民衆は困窮を極めています。

今回咬噛さんが行くのは最初は南アジア、その後チベットヒマラヤ同盟王国。いずれも架空の国です。しかし、そこで行われているのは、むしろ現在中東で問題になっているISとその被害国を彷彿とさせました。実際、武装組織が民衆を虐殺するシーンは「バハールの涙」の一場面に酷似しています。

今回の映画はおそらく、世界で行われているテロ・武装組織問題へと斬り込んでいるのだと思いました。そしてその一つの解決策た、ある傭兵部隊が仕掛けたマッチポンプによる平和条約の締結でした。

確かにこの策は偽の平和で、それ故火種を残すのでしょう。実際、本作品では、ある国の首脳は鉄道の利権問題だけが残っている、というような発言をしていました。

しかし、新キャラの女の子・テンジンが言ったように、偽の平和でも民衆にとってはありがたいんですね。偽だろうが何だろうが平和は平和。多くの人が死ぬことはありません。

シビュラシステムは是か否か

しかしこの「偽の平和」はシビュラシステムにも通じるものがあるように思います。それを是とするか否とするかは解釈にもよるでしょうし、その人の立場にもよるでしょう。

これはひょっとしたらPSYCHO-PASSという作品全体の主題かもしれません。

それを今回、架空のアジアを舞台として、日本の外から見ることによって、違う角度で描こうとしたのかもしれないですね。謂わば、PSYCHO-PASSという作品を別角度から照射したものなのかもしれない。

またシビュラと言えば、case2の感想の時にも書きましたが、犯罪係数が高い人間ほど人間臭く、「生きている」感があり、魅力的な人が多い。逆に犯罪係数が低いシビュラ的優等生の方は人間味がなく、むしろ狂っている感じにさえ見えてしまいます。

狡噛さんはこの作品で現地の人に「傭兵にしてはまともだな」と言われます(逆に傭兵からは「あんたホントに変わってるな」と言われる)。

日本では犯罪係数が上がり、シビュラにより潜在犯認定された狡噛だけど、そんなものがない世界ではまともなんです。

この台詞はシビュラというものを暗に言い表しているように思えました。

狡噛の内面を辿る旅

今回の作品は一期のラストから直接繋がる、復讐を成し遂げた狡噛さんの内面を辿る旅だったのではないかと思います。

槙島を殺したことに対する、自分の中の決着がついたのかどうなのかは、わかりません。

ですが、狡噛さんはテンジンに人を殺したら殺す前の自分には戻れない、と言います。そして今回の狡噛さんは意図して人を殺したのは傭兵組織のリーダー・ギレルモだけでした。

人を殺せる場面はあっても、敢えて殺さない。そのせいで逆に撃たれて瀕死の重傷を負ってしまう。そうまでしても人を殺さなかったのは、人を殺す前の自分に戻りたかったからなのかな、と思います。

そして、そういった個人的な復讐の連鎖の切断への意志が、大局での復讐の連鎖と絡み合っていくんですね。

戦争というものは憎しみの連鎖、復讐の連鎖によって続けられてきた側面もあると思います。この話も最初はそういったイデオロギーの違いによる復讐の連鎖で、戦争やテロという大局での争いが続いています。

そしてその流れの中で、テンジンは両親の復讐をしようするんです。でも狡噛さんは彼女に、自分の個人的体験からでしょう、復讐はするな、と言うんですね。

槙島を殺してから、自らの復讐心に苛まれてきた狡噛さんはその答えを出せずにいた。しかし、復讐をしてはいけない、という結論にだけは辿り着いていました。そしてそれを彼女に教えた。

その言葉を思い出し、また父親から残された「恩讐の彼方に」の文庫版も思い出したのでしょう、テンジンは銃を撃つことなく、あまつさえナイフをつきたてられて重傷を負ってしまう。

それでも狡噛さんに平和条約締結を止めないでくれ、と懇願するんです。偽の平和でも平和は平和、と言って。

彼女の両親は傭兵組織が起こしたマッチポンプにより殺されているんですね。謂わば平和条約締結のための犠牲になったんです。それでも復讐をしなかった。

なぜ父親が「恩讐の彼方に」の文庫版を娘に残したか。それを彼女は理解したのだと思います。

復讐の連鎖の切断が、個人から発せられ、大局へと至り、また個人に戻ってくる。この流れって、何か示唆的だと思うんです。個人からでも発していけば、大局は動かせるというか。

そして、彼女に復讐をするな、と言った狡噛さんは彼女のために復讐をしに行くのですが、そういった流れからすると、必要のないシークエンスかもしれません。でも、そこが狡噛さんの業というか。一回でも復讐したら、その絡みつく網からは逃れられない怖さを表しているのかもしれません。

テンジンの気持ちを汲み、自分が汚れ役になった狡噛さんですが、最後にギレルモを殺した時は、色々なことに腹を括ったのでしょうか。人を殺すこと、復讐をしてしまった自分。それらを受け入れていこうとする諦めにも似た覚悟の表れだったのでしょうか。


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