azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」ネタバレ有り感想。日本のSFアニメっぽい。

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ヴァレリアン 千の惑星の救世主」はですねー、リュック・ベッソンということで観たんですけど、なんかあんまり前評判は良くなくてですねー、あんまり期待しないで行ったんですね。

そしたら、観たらこれがまためちゃめちゃ面白かったです! 超俺のツボにハマりまくり!

こういうSFが観たかったなー、っていう感じです。なんとなく、昔観た「クラッシャー・ジョウ」に通じるものがあるように感じました。

主役二人が若い(つーか子供)!

主役二人の男女が凄腕の捜査官で、少佐と軍曹なんですが、その割にはティーンみたいな見た目です。そのアンバランスさが、子供の活躍が大好きな日本のアニメっぽかったですねw そういうところも観慣れてる感じもあって、僕好みだったかもしれません。

ここらへん、国民性出ますよね。日本人って、子供であることを求められるようなところがあると思います。いつまでも若く見られることにものすごい価値を見出したり。例えば、「いつまでも子供の心を忘れない」って表現は何よりも大事なことのように語られるじゃないですか。

一方、海外、特に欧米の社会は全く逆みたいですね。早く大人になることを求められる。そして、早く大人になりたがる。だから、男は若いうちからヒゲ生やしてみたり、髪型なんかもアップにする人多いですよね。あれ、髪を上に上げることで大人っぽく見えるかららしいんです。一方、日本人の男は前髪垂らしたがりますねw

また、日本のヒーロー像も昔から少年であることが多かったように思います。例えば、牛若丸だったり、桃太郎だったり、ねずみ小僧だって、あれ「小僧」ですからねw あとヒーローじゃないけど、「AKIRA」なんかも、子供が非常に脅威として描かれています。日本には昔から子供を、大人とは違った、もっと言ってしまうと、人とは違ったもの、神聖視するようなところがあるように感じます。

その一方で、すごく子供を大事にするところもあったみたいですね。江戸時代に海外からの使者が来て、日本の町を歩いたら、子供がすごく屈託無く笑ってるのを見てびっくりしたらしいんです。多分良い意味でw あぁ大事にされてるんだなぁ、って思ったみたいですね。

そういえば、これだけ童謡が多い国も珍しいらしいみたいです。子供のために曲を作るってこと自体がそもそもあんまり多くはないようです。よく考えれば、これだけ子供のためのアニメや特撮を何十年も何本も作り続ける国も珍しいですよね。これも、もちろん金儲けってのもあると思うけど、基本的には子供を大事にしよう、っていう精神性があるように思います。

そんなわけで二人とも見た目若くて(年齢設定は幾つかはわからない)、日本のアニメっぽいんですけども、原作はフランスの漫画だったりします。

あと、二人の衣装も良くて、危険な極秘任務なのにアロハとか観光するような格好でやってきて(潜入捜査だからそれでいいんですけど)、そうかと思えば基地では軍服やパワードスーツを着てすごく凛々しい。そのギャップ感がすごく良かったです。

ちなみに、タイトルは男の子の名前の「ヴァレリアン」ですが、原作では女の子の名前も入っていて、「ヴァレリアンとローレリーヌ」というらしいです。

多人種の平和的な共生

SFの世界観も素晴らしくてですねー、異次元を行ったり来たりする都市や、宇宙中の多人種が暮らすスペースコロニーは、旧作をなぞっただけの新作ブレードランナーや最近のスターウォーズよりも『新しさ』を提出しているように思いました。

後々調べたら、原作は「スターウォーズ」にも影響を与えているということで、なるほどちょっと似てはいました。多人種が当たり前に共生している点なんかは、確かに「スターウォーズ」を彷彿とさせますね。

またこの設定が良くて、多人種がそれぞれの特徴を生かし、平和的にうまく共生しているんですね、この映画の中では。それって、ある種の理想郷であるんですけど、個人的には現実の世界の遠回しな皮肉のようにも思えてしまいました。

この「多人種の平和的な共生」は冒頭にも現れていて、デヴィッド・ボウイの「スペイス・オディティ」をバックにISSに様々な国の宇宙飛行士が年を追う毎に訪れ、果ては宇宙人が次々と訪れて握手を交わし、共生するようになるんです。

この感じがねー、すごく良いんですね。何か、リュック・ベッソンの言いたいことが、この冒頭に全て集約されてる感じで。

もはや宇宙人は侵略者ではなく平和的に共同作業をする仲間として描かれている。その感じは、なんとなく「未知との遭遇」にも通ずるSF観だと思います。

楽しいSFだけどテーマ性もある

基本的には、宇宙を舞台にした胸踊る活劇大作で、非常に楽しいSF映画だと思うんですけど、現実に即した深いテーマもあるとも思うんです。

過去に住処を奪われた星の住人と、奪った張本人の司令官の陰謀が話の軸なんですけど、それは過去何回も繰り返されている戦争の比喩のように思えてしまいました。

そして、この映画では、奪われた人々は基本的には「許す」と言うんですね。そしてヴァレリアンとローレリーヌは罪を償うと言う。

この許しと謝罪が、現実の世界の戦争に対してのメッセージなのかもしれない、ように思います。まぁ、そう簡単に許せるとは思えないのもまた事実ですが…。

また、実は主人公側が侵略者、破壊者であったという点は「海のトリトン」やウルトラセブンの「ノンマルトの使者」にも通じると思います。ただ、侵略者を主人公側全体ではなく、一部の悪人に留めているので、そのテーマが弱まってしまっている印象はあります。しかしこれは娯楽大作なので、ギリギリのバランス感覚でやっているのでしょう。その点も含めてよく出来た作品なのではないか、と思います。

ちなみにですね、出演者も豪華で、無駄にイーサン・ホークが出ていた時はホント嬉しかったです。「真実」とは当然ながら全然違う役柄ですw

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