アニメ版のゴジラの噂を初めて聞いた時は、「何だそりゃ?!」と思いましたw しかし、そう思いつつも、何とも言えないワクワク感があったのもまた確かでした。
そうこうするうち、タイトルは「GODZILLA 怪獣惑星」であると知って「タイトルが英語のGODZILLA?!」「惑星って何だ?」と、またワクワクし、予告編を観てその期待は非常に大きくなっっていきました。
そして、期待大で遂に劇場で本編を観たら、予想を越えてきましたねぇ! ものすごく良く出来たディストピアSF映画でした。
冒頭から掴まれた!
先ず物語冒頭、パシフィック・リムの影響大のイントロからして掴みはOKでした。
カマキラスのシルエット、ドゴラ、セリフによるアンギラスの出現、地球外人類の介入(しかも2人種!)、そのうちのひとつの地球外人類が開発したメカゴジラ(そして起動しない! ここはエヴァっぽい)、そしてそれら突如出現した怪獣の頂点としてゴジラが登場! このイントロのエピソードだけで一本映画が作れそう! できれば作って欲しい!
怪獣ついでに言えば、二万年後の地球に生息する飛行生物もカッコ良かった。ギャオスをちょっと彷彿とさせる、メタリックなゴジラ型リオレイアといった感じ。
ゴジラの巨大感など、絵が良かった
そして最後の最後に真打ちとして登場する、もう一匹の、というより二万年前に現れたオリジナルのゴジラなんですが、推定身長300m! すごいですねぇw デカすぎだろ!w これだけのとんでもないウルトラスケールで出てきたのにはびっくりしましたねぇ。確かに過去最大のゴジラにして、歴代最強の怪獣なのではないでしょうか?
そして、全編に渡ってゴジラの巨大感が非常によく出ていたと思います。絵なのに、いや、かえって絵だからこれだけの巨大感を出せたのかもしれません。真ハリウッド版やシン・ゴジラと比べても少なくとも「巨大感」だけ見れば勝っていたかもしれません。
また絵も素晴らしかったですねぇ。絵や動きの感じは「楽園追放」や「虐殺器官」に似ていました。ポリゴンを使った2D寄りの3Dといった印象。絵や動きの精巧さ、セットの緻密さやスケールの大きさはハリウッド映画のようでしたねぇ。
何と言ってもストーリーが最高
また、ストーリーも大変面白かったです。さすが虚淵玄ですね。実は脚本が虚淵ということを聞いてから、俄然期待していたのです。
ゴジラの襲撃で地球を追われ、他の地球外人類と共に流浪の民となり、宇宙船で宇宙を彷徨う設定が秀逸。
閉塞された希望のない世界、世代間抗争、他人種同士の腹の探り合い、姥捨山のような人減らし。それに対する危機感と反抗。
これらの状況、何より人の心理を実に丁寧に描いていました。
また、ゴジラの不死身性に対する考察にも科学的見地から説得力のある解釈がなされ、実に面白い。まぁ、詳しくは難しくて、よくわかりませんでしたがw
地球外人類の科学技術の高さも物語の進行を楽にしているように思えました。その技術が、数学や神学に特化して発展した種族と、戦闘的なハード的な面で発展した種族の対比も面白かっです。
神学と言えば、神の比喩的な視点から語られることの多いゴジラですが、そういったゴジラと神学・宗教・教義を絡めるのは非常に親和性があると思われ、面白い演出だと思います。
ゴジラの新たな恐怖と人類の悪
またゴジラと言えば核、戦争の比喩としても語られることは、切っても切れない関係性であり、思想面でも深いものを求められるのは、ゴジラ映画の宿命とも言うべきものかもしれません。
そして、その点が希薄だったり、描き方が足りなかったりした場合はハリウッド版でも、日本のゴジラでも、批判されることが多いです。で、今回のゴジラはどうかというと、その点に対する言及はありませんでした。
しかし、ゴジラは人類を物理的に追い込んだだけでなく、モラルの低下や希望を奪ったりと、心理的な面で人類に大打撃を与えた、という設定です。ここは面白いと思いました。
また、ゴジラは人類の負の象徴として描かれることが多いけど、今作での主人公は、人類が巨大な敵・課題に対して「諦めた」ことが人類の悪である、と言うんですね。
この点も面白い。諦める、というのが最大の悪だ、と言うんですね。確かに諦める、ということは進化や適性を放棄する、つまり、種の存続を放棄すると同義とも取れるわけですから、人類人科全体として見た場合、最も悪である、というのは考え方としては、そう間違ったことではないように思えます。
そしてこの点は、様々な課題に直面している今の世界に対する警鐘とも取れるように思えました。