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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「星を追う子ども」は新海誠の魔力が使えていない!!


星を追う子ども

 「星を追う子ども」を観てきました! 僕の大好きな監督である新海誠の最新劇場用長編映画ということで超期待大だったのですが…結果は今ひとつでした(^^;;


 つまらないか、というとそうでもなく、「面白くなかった」という方がしっくりきます。そう、別にそんなにつまらない話ではなかった。地下世界という設定事態は今更感満載のベタなものではあるが、かつて先進的な文明を誇っていた地下世界が現在では黄昏時を迎えている、という点はある程度ひねった設定ではあると思う押し、生と死というテーマに真正面から取り組もうという姿勢も評価できると思う。


 ちなみに今回の話では失った人の再生は是か非か、という現実ではありえない事象がテーマとなっている。しかし、更に突っ込んで見てみると、おそらく新海誠は「失われてしまった過去にいつまでも囚われてはいけない。前を向こう」ということを言いたかったのではないだろうか。だとしたら、このメッセージは前作の「秒速5センチメートル」と同様のものである。また、このテーマは主人公であるところの地上人だけでなく、地底人同士のやりとりでも発せられる。やはり「過去に囚われず、前を向く」というのは新海誠が作品を作る上での大きなテーマであるように思う。


 ではなぜ面白くなかったのかというと、おそらく細かい点での物語りの作り方や脚本があまり良くなかったからではないだろうか。先ず、これといった悪役がいない。新海誠の作品はこれまでも悪役が出てこなかった点で特徴的であるが、今回の作品のようなファンタジー色の濃い冒険ものでは主人公の強力な壁となる敵の存在があった方がわかりやすいと思う。それが今回なかったため、主人公のやりたいことはわかるものの、それがハッキリと「感じる」ことができなかった。それを明確に浮き上がらせるためには悪役の存在は必要だ。


 また、主人公の気持ちが今ひとつ伝わらなかったもう一つの理由が、思ったことを全て言葉にしてしまっている点だと思う。不思議なもので、多くの場合言葉を発すると途端にそれがどんなに本音であってもウソ臭く思えてしまう。また、思ったことを全て言ってしまうと、あたかも内面のない人間のように見えてしまい、人物の深みが出ない。人間、やはり一番大事に思ってることは口にはしにくいものだ。


 あと、森崎先生は旅の目的を最後まで言わなかった方が良かったかな。その方がミステリアスだし、最後に明かされた方が森崎先生にも感情移入できたようにも思う。それにこの物語で「悪役(主人公に相対するもの)」になりえたのは彼だけだ。その彼の物語上の姿勢が、悪役になりきれずフラフラしてたから、この作品が今ひとつの作品になってしまった、と言っても過言ではない。


 そもそも新海誠の魅力はその精緻な表現力で現実世界をファンタジー世界にする魔力にある。普段見慣れている世界が新海誠のフィルターを通すことで似て非なるもうひとつの世界として見ることができるのだ。しかし、今回の作品では新海誠は現実世界ではなくファンタジーの世界をそのまま描いてしまった。それでは彼の魔力は使えない。


 あと、やっぱりちょっと入っていけなかった原因は、ほぼジブリだったこと(^^;; NHK用に作られた短編アニメ「猫のしっぽ」からその兆候はあったんだけど…。