azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「バースデー・ワンダーランド」ネタバレ有り感想。世界観、声優、テーマ性…色々微妙。

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傑作揃いの2019年アニメなのですが、多作であるが故の失敗作、ということがあるのは致し方のないところなのかもしれません。

「バースデー・ワンダーランド」も、僕の中ではその「失敗作」の中の一つでした。

「バースデー・ワンダーランド」は、監督が原恵一ということで非常に期待し、楽しみにしていた作品だったのですが、映画サイトの評価が芳しくなかったんですね。

「いや、そんなわけないだろう。原恵一だぞ」という思いもあったんですが、いささか不安であったこともまた確か。

そして結果、その嫌な予感が当たってしまったんですね。映画サイトの評価恐るべし。よく観てやがんなぁ(^^;;

まー、微妙な作品でしたねぇ。つまんなくもないけど、面白くもない。

お洒落過ぎて却ってダサい

主人公の住んでいる家から物語は始まるんですけど、その家がすごく可愛くて綺麗な家で、こういう家に住みたいなぁ、と思わせる感じの家でした。

でも、なんとなくそのお洒落さ加減が、大泉洋原田知世が共演した「しあわせのパン」を彷彿とさせるものだったんですね。お洒落を狙い過ぎて、却ってダサいという(^^;;

そんな感じで、いきなり先行き不安だったのですが、まぁその不安は当たってしまうわけで。

その後、向こうの世界に行ってからは可愛いのオンパレード。世界観的にはなかなか良かったとは思うんですけど、ちょっと「可愛い」に寄りすぎな感もあったし、よくある定型と言えばそんな感じでもあったし、なんか微妙なんですよね。

そんな感じで、全編「可愛い」で占められてるような映画でもあったので、てらいなく「可愛い」を諸手を挙げて受け入れられる人なら、いいんじゃないですかね。

で、基本ファンタジー異世界を舞台にした映画なのですが、そのファンタジーの感じとかが、完全に子供向けかなぁ、とも思ったんですけど、今時むしろ子供の方がこういうの喜ばなさそう、とも思いました。

なんというか、ファンタジー感やら、ギャグの感じとか、色々と上滑りを起こしている感じでしたねぇ。なんとなく、色々と古いというか。

食うシーンをナメるな

食べるシーンもよく出てきたんですけど、その肝心の食べる表現が下手でしたねぇ。

この「食べるシーンが多い」ということからもわかるように、どうも全体的に宮崎駿の真似をしたがっている印象がありました。でも、全然できてません。

新海誠の「星を追う子ども」で感じた印象とほぼ似たような印象を受けました。あれも宮崎駿を強く意識して、できていない映画でしたからね。

やはり「生活」と言うか、「生きてる」感を出すのはやはり相当に難しいことなんでしょうね。「食べる」って「生きる」そのものじゃないですか。実写ですら食事シーンを上手く撮るのって難しいと思うけど、ましてやアニメで、絵で表現するとなると、これは実は至難の業なのかもしれないですね。

改めて宮崎駿のすごさを感じました。

azzurri.hatenablog.com

声優が失敗

声優を務めた松岡茉優や杏も、あんまり良くなかったですねぇ。二人とも好きで、特に松岡茉優は何作も実写で観てて、「いいなぁ」と思っていただけに、これは個人的に非常に残念でした。

やはり、舞台出身ではない役者はアニメの声優はキツいのかもしれませんね。

「そら見ろ! いくら実写で良くても、アニメの声優は勤まらないじゃないか!」と、声優原理主義者をニコニコさせるような結果となってしまいました。

テーマ性が古い

またテーマとして、産業革命後の社会から農耕社会への回帰、のようなものが語られるのですが、そのテーマ性もぶっちゃけ古い。

でまた、それを直接セリフで語っちゃってるんですね。それって、「説明」であって、「表現」じゃないじゃないですか。テーマは作品全体を通して「感じられる」ようにしないと、観ている人に説得力を与えられないように思います。

また、その他にも冒頭の小学生特有の仲間外れ感なども結局回収されずに終わってしまったり、全体的に非常に甘い作りであったように思います。

この映画観て、なんとなく思い出したのが「猫の恩返し」でした。あれとよく似ているかもしれない。

ダンディーな水先案内人」や「猫」といった要素、そして主人公のモラトリアムな感じも似ているような気がします。

だから、「猫の恩返し」的な失敗作、と言えるのかな。