azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「言の葉の庭」は新海誠の魔法が復活!!


azzurriのショッピングレビュー-言の葉の庭


新海誠最新作「言の葉の庭」を観てきました。前評判は良かったものの、前回の「星を追う子ども」が自分の中では残念な感じだったので、今回ちょっとおっかなびっくりで観に行ったのですが、なかなか良かったです。


何より良かったのは物語の舞台が現代の日本に戻っていたこと。それにより、あの美しい背景美術が現代の新宿という街を異世界のように美しい都市として現出させました。この映画の魅力、ひいては新海誠というアニメ作家の最大の魅力はそこにあると思います。現実とは似て非なる美しい世界。それがあってこそ新海誠の物語は光ると思うからです。今回は新海誠の魔術が復活していたので、ファンとしては、そこが何より嬉しかったです。


特に雨を中心とした水の描写が秀逸だったと思います。東京は江戸以来、水の都市であることを再確認させてくれます。また、雨がちょっと好きになる映画でもありますね。新海誠の背景美術は微細で美しい一方でどこか硬質でちょっと突き放した、ある種冷たいような質感もあるのですが、それが雨、水の描写にはぴったりのような気もします。


物語としては、最後の詰めがちょっと唐突な印象も受けたり、所々甘さも感じてしまったのですが、概ね満足して観ることができました。何より良かったのは主役二人が恋愛的に結ばれなかったところですね。この物語は「人生の雨宿り」のように思うからです。


高校生の男の子にしろ、教師の女性にしろ、そのベクトルは全く正反対であるものの、人生の雨に打たれ、先に進めない状況でありました。男の子は夢に向かって一刻も早く羽ばたきたいが、色々な意味であまりにも若すぎる。女性の方は職場でのトラブルが尾を引いて職場復帰か、退職か、そのどちらにも踏み出せないでいる。


そして二人がほのかに恋愛感情を抱き合い、お互いがお互いを必要とすることで、晴れ間を見出し、次の一歩を踏み出すことができた。でも二人は雨宿りにたまたま居合わせただけで、進む方向が違う以上、一緒にいることはできない。だから二人の恋愛的な別れは必然だったように思います。ただし、袖振り合うも他生の縁、二人の人としての関係は続いていくのです。


そんなわけで、人生でちょっと足止めを食らってしまった時期、ゆったりと、しかし真剣にこれまでのこと、そしてこれからのことを考え、良い出会いをした二人の、良い話を見たなぁ、と僕としてはとてもハッピーエンドで、良い気分に浸れる映画でした。


また、この日は上映後、監督のトークショーがありまして、その中で、僕のツイッターでのつぶやきが読まれたことは非常に良い思い出となりました。


新海作品と言えば、僕の中では、空に向かって大きく、真っ直ぐに伸びるもの、例えば「雲の向こう~」ではUNIONの白い塔、「秒速」では種子島のロケットです。そして今回の「言の葉の庭」では新宿のNTTのバベルの塔が真っ直ぐに空に向かうイメージの象徴だと思います。


トークショーで、高校生へのメッセージをお願いされた監督は、手の届かないものに手を伸ばして欲しい、と言っていました。それは取りも直さず監督自身の生き様であると思います。空に向かうイメージ、各作品に映し出される、その背景画こそが、新海誠の作品の一貫したテーマなのでしょう。