azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「天気の子」は新海誠が結論を振り切った清々しい映画!!

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楽しみにしていた『天気の子』を観てきました。ぶっちゃけた話、僕は前回の『君の名は。』の方が面白かったですが、まさかの二作連続のディサスター映画で、3.11以降の監督の考え方が如実に出ているようで面白かったです。もちろん、今回もまた、雨、雲、青空、町の描写などなど、新海誠特有の映像美が大爆発していて、そこはホントに最高だったし、作品としても面白かったと思います。
 
正直、「そんなわけないだろー」と思うシーンも多々ありましたねー(^^;;(特に前半)。特に帆高と陽菜の出会い、という物語上重要なところがご都合主義的だったので、割と中盤まで引きずってしまいました。思春期の男子の都合の良い願望でしかなく、説得力に乏しかったですからね。
 
ただ、冒頭の幻想的な、アニメ映画かくあるべし、とでもいうような現実には絶対にありえなくて、それでいて魅力的なシーン(特に降ってくる雨粒が静止する瞬間、そしてそれが空へと「落ちて」いくシーンは美しかった)からの、船のシーンを通して歌舞伎町をこれでもかと言わんばかりに写実的に描く冒頭のコントラスト十分の流れは上手かったと思います。先に幻想的なシーンを見せてから現実を描いたシーンに移行することによって、現実のシーンがよりリアルに生々しく感じられました。
 
そしてまた、現実を非常に写実的に美しく描く反面、現実とは少し色彩を変えてきてるように感じました。現実を丁寧に絵で表現すればするほど、異世界に近づいていく、とは以前今敏監督がインタビューで語っておられた言葉ですが、多分新海誠監督もそれを知っていて、しかも少しアレンジすることで更に異世界になっていく。ここらへんは新海誠が得意とするマジックですね。現実が我々の知っている現実とはちょっと違う、パラレルワールド的に感じられるというか。
 
また、今回は「明るいオカルト」とでも言うべき作品だと思うのですが、そういった非現実的なものを描く際、大事になるのはリアルの描写だと思うんです。そこを徹底的に現実感を描くことで、非現実への世界へ観客がすんなりと行けるんですね(男女間の出来事は現実感はなく中二感満載だったけど)。その点でも新海監督の描く精緻な現実描写は効果を発揮していると思います。
 
また、この映画の小道具というか、要素も効いていましたねー。今回のテーマは、天気を司る現代の巫女、だと思うのですが、全てがそこを中心に回って作品世界が構築されています。雑誌「ムー」への記事提供、頻出する龍のオブジェ、廃ビルの上の稲荷神社、お盆などなど。しかもそれらの場の設定も素晴らしい。特に廃ビルの屋上に祠があるのが良いですねぇ。祠という古来のものが、ビルという文明の上にあり、しかもそこは廃墟で、且つ草の生える空中庭園となっている。この二重三重に正反対のものが配された場は何とも魅力的です。
 
でも、話としては後半に入るまでは割と普通だったかなー、と思います。観ててあんまりわくわくはしなかったですかね。でも、帆高が警察と須賀さんに囲まれるシーンからは一気に最高でした。特にここのシーンは、打算と妥協で汚れてきた大人に対して、バカではあるが汚れていない少年の純粋性が爆発していて素晴らしい。涙が出そうになりました。俺も歳取った証拠かな(笑) 少年の純粋性を描かせたら新海誠の右に出る者はいないのではないでしょうか。
 
またここから陽菜を助けるシーンの絵の説得力がすごい。絵の説得力で全てを持って行ってしまうのは宮崎駿新海誠だけなのではないでしょうか。少々ご都合主義だったり、退屈な展開だったりしても、最後は絵の力で根こそぎ持って行ってします。でも俺、実はこれこそがアニメ、映画の醍醐味、映像作品の醍醐味だと思うんですよねー。だから俺は、それができる稀有な映像作家である新海誠が大好きなのかもしれない。
そして主人公が好きな女を取り戻すために世界(といっても東京近郊だけだけど)を破壊することを厭わなかった選択が素晴らしかった。新海誠が選択を一方へ振り切ったんです。妥協点なんか一切ない。落としどころもない。この思い切りの良さは清々しくすらありました。
 
エピローグの描き方も良かったですねー。東京は雨が降り続き、ほとんどが浸水してしまったのですが、それは元の形であると、登場人物のお婆さんが帆高に語りかけます。そしてそこに人々は当たり前のように暮らしている。新海誠の災害に対する考え方がわかるように思います。自然には抗えない。そこに仮住まいさせてもらっている。そして、災害に見舞われても、時が経てばそこは住めば都である。そんな気がします。
また、今回声優が皆素晴らしく良かったんですけど、特に小栗旬が素晴らしかったですね。