僕は恋愛映画が嫌いです。映画だけじゃなくてドラマも嫌い。多分舞台も嫌い。なぜなら、僕の中で創作物のテーマとして「恋愛」が一番レベルが低いと思うから。だって、人がイチャイチャしてるのをわざわざ金払って観るのって、圧倒的に馬鹿げてますよね?
というわけで、恋愛映画ってとんと観てないし、そもそも観たことないんじゃないかなー。でもまあたまには観てやるか、と思って観たのが「アバウト・タイム」です。ぶっちゃけて言うと高橋幸宏がツイッターでお勧めしていたからです。じゃなきゃ観に行かなかったでしょうね。
で、この「アバウト・タイム」。とても良かった(笑) 高橋幸宏感謝です。さすがユキヒロ! あんまりにも素晴らしくてパンフレットも買ってしまいました。そして読んでみると監督のコメントが。
「この映画はファミリーをテーマにしたものだ」
恋愛映画じゃなかったんですねー(^^;; どうりで面白いはずだ。でも、あの予告編の作りを観たら、大抵の人は恋愛映画だと思うんですけどねー。あの予告編を観て来なかった人も多いんじゃないかな?
基本的にはタイムトラベルもののファンタジー。実は観ている最中から、『これは恋愛映画ではなく、人生譚だ』と思ってました。どこか、この間観た3Dドラえもんを彷彿とさせました(こちらも素晴らしかったです)。特に、タイムトラベルを使って好きな子と結婚してしまうシーケンスは共通。バックトゥザフューチャーとも同じですね。バックトゥザフューチャーと違い、派手な演出はないものの、こちらは人の心に焦点をより強く当てているように思います。タイムトラベルものは恋愛と絡まるのが王道のようだし、実際面白い。
そう、「恋愛」という「要素」は創作という点で大事だとは思っています。それをメインに据えちゃうと他人がイチャイチャしてるのを観るだけの不快な作品に成り下がってしまうのですが、「要素」としては不可避なものだとも思います。
主人公も、無能ではなく、むしろよくできる子なのに、どことなく頼りない点はのび太に似ている。また、相手役の女の子がすごく可愛かった。また登場人物でいうと、お父さんがカッコよかったですね。どことなくロック。
自分の中で良かったのは、初恋の人と浮気しそうになる場面。しかしそこはタイムトラベル能力を使って試してみることなく、自分の意志で浮気をしなかった点。そこは一度だけで勝負したところが素晴らしい。また、好きになる女の子との出会いが相手の顔もわからない真っ暗な中でのパーティだった点は秀逸。外見ではなく内面で惚れたのですから。
またこの作品ではタイムトラベルを使って一日の大切さを描いていますが、それは比喩だと思います。なぜなら、何度も同じような体験をすることは日常的にあるからです。そこから学ぶことの大切さ、視点を変えて良き目で見ることの大切さをタイムトラベルを通してわかりやすく諭しているのだと思います。
自分は悔いなくその日一日を生きているのか?
また、自分の大切な人を本当に大切にできているのか?
改めて問いかけているようにも思います。
また、主人公の実家が素晴らしい場でしたね~。海沿いの綺麗な家でした。そこでの個性的で魅力的な家族のあり方は本当に素晴らしい。ああいうところに住んでみたいと思わせる。そういった旅としての欲求も満たしてくれる、久々に見た映画でした。
好き、という点では、今年観た映画の中では1、2を争うくらい好きでした。