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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「国境の夜想曲」ネタバレ有り感想。群像劇のようなドキュメンタリー!!


アマプラで、どの映画観ようかなー、と色々探してたのですが、その時ふと目に留まったのがこの映画。

「国境の夜想曲」。

なんとなく気になって、軽く調べてみたら(観る前はあまり前情報は仕入れたくない派です)、かなり評価が高い。なんと、ヴァネツィアで三冠を獲ってるという。


もうすぐ配信終了だし、これは観なくてはいけないな、と思って観てみました。

なんというか、久々に「映画を観た」と感じました。

 

予告編

youtu.be

ドキュメンタリーかフィクションか?

さっきも書きましたが、あまり前情報は仕入れずに観ました。仕入れた情報と言えば、中東の国の国境付近での話である、ということくらい。正直フィクションかドキュメンタリーかもわからず。

だから最初は、ドキュメンタリーっぽいけどフィクションなのか?と疑問に思いつつ観ていました。

というのも、非常に映像美というか、美しく、そしてスタイリッシュな絵が多かったからです。

どことなく先日観たタルコフスキー(「ノスタルジア」でした)に似ているようにも思いました。それもあって、フィクションかな、と思いました。

あと、それぞれの画面の中の人物が、どこか劇的であったり、カッコ良かったり(特に家族のために働いていたアリという少年は超絶美少年だった)、何と言っても、前戦の、かなりエゲツないところまでカメラが入っていたりしていたのです。

そういう、色々な要素が重なって、フィクションかもしれない、と思うようになっていったのです。

それでいて、やはりどこかフィクションでは得られないような迫力みたいなものがありました。

だから、どっちだろうと思っていたのですが、観終わった後調べてみたら、フィクションだったという。

前情報なしに観たら、ドキュメンタリーなのかフィクションなのかわからない(俺だけか?)。それは、とりもなおさず、この映画が非常に高い芸術性を獲得していることの証であるようにも思います。

群像劇のよう

そういった、色んな要素から、とんでもない映画だな、と正直思いました。

特に戦場のシーンでは、かなり突っ込んだところまで行っていたし、なんなら昔の水曜スペシャルみたいにカメラが先に現場にいて、出演者を待っていたりしてました。

そしてまた、それぞれの登場人物を順繰りに描いていて、それこそ群像劇のようでした。前線の兵士、家族のために働く少年、子供を殺された母親、娘を拉致された母親、街の恋人、不良っぽい少年たち、精神科病棟で祖国を憂い改革を訴える演劇を作ろうとする人たち、ISISから逃げることができた子供達と彼らを癒そうとするカウンセラー。

子供たちのシーンは特に強く印象に残っています。衝撃的な、露悪的な描写はなかったのですが、ISISから保護された子供たちの絵、そしてインタビューが、かえって衝撃的で生々しく、事の悪質さ、重大さが想像をはるかに超えていることを思わせました。

それでいて、そんな中でも人々の比較的普通な平穏な暮らし振りも見えてくるのです。

簡単に言えるメッセージはない

画面としては、横に広いというか、遠景から撮った絵を多用している印象でした。またそれが非常に美しくて、土地の広大さ、スケールの大きさを表してもいました。

また、自然の描写が多かったのも印象的でしたね。地平線、風になびく巨木、雨、雷、川、ぬかるみなどなど。

やはりこの映画はメッセージ性の強い映画だと思います。そういうメッセージ性の強いものを世に出し、問うには、やはり芸術性が高い、美しく、観たくなるようなものにしなければならない。そういうことに強く意識的だったように思います。

また、映画を観終わって、この映画について色々調べている中で、イニャリトゥ監督とのリモート対談の動画を見つけました。

イニャリトゥ監督は、簡単に言えるようなメッセージはない、と言っていました。まさにその通りだと、僭越ながら自分もそう思いました。

さっきは、メッセージ性が強い、と書きましたが、そのメッセージとはなんなのか、それはわかるとは思います。それは観た人の多くがそうでしょう。しかしながら、この映画のメッセージはこうです、と紋切型には到底言えない。

また、この映画の監督は、国境というのは通常分断の場だが自分にとっては出会いの場だった、とコメントしていました。言われてみれば、人物たちはカメラに対して非常にリラックスしているようにも見えました。

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