「鬼滅の刃」全巻感想、今回は第15巻です! 四捨五入すると20巻に突入です!
いやあ、遂に20巻が見えてきましたねぇ。
それと同時に、面白くなってまいりました!
物語の方もね、いよいよ加速してくる、その前段階といったところなのですが、キャラクターがですね、もう完全に一人歩きしている感じですね。
もう作者の管理(という言い方が妥当かはわかりませんが)を離れて、独自に動いてる、生きてる感じがします。
それは、メインキャラ以外もそんな感じなんですね。
だから、いわば、この物語の世界が完全に構築されたんではないか、という感じです。
でまた、展開的にも割と激動の巻。
一冊の中に様々なエピソードが描かれていました。
上弦の鬼との戦いが決着
最後の最後まで息が抜けない展開となっていました。
「もうダメだ」と、最後の方はね、思いながら読んでましたが。
この「もうダメだ」感を出すのが、さすがに上手いですね。
当然、腹の中では読んでる人みんな、勝利を信じてますよ。わかってると言ってもいいでしょう。
でも、それでもなお「もうダメだ」と思わせてくれる。
その展開力、スピード感。相変わらず素晴らしいですね。
それに今回、割と本気で「もうダメだ」と思わせる要素もありまして。
「鬼の討伐」という勝利は信じて疑わないものの、今回はそれとは別に「禰豆子を救う」というのがありました。
夜明けが近くて、このままだと禰豆子は日の光で燃えてしまう!という危機があったんですね。
で、実際禰豆子は燃えてしまうんです。
ここがですねー、ええええー!って感じで、もうダメだ、どころじゃないですね。ダメだったんですけどね、燃えてるから。
この後どうなんダァー!?ってなって、戦いの最後の方はハラハラしっぱなし。
でも、個人的には言っちゃうと、それでも大丈夫だろう、というのは心の奥底でありましたけどね。
23巻(最終巻)の表紙に笑顔の炭治郎と禰豆子が描かれていますからねぇ。
禰豆子が進化?!
そして案の定(ハラハラはしましたが)、禰豆子は無事ですw
で、なんで禰豆子が大丈夫だったか、って言うと、「日の光の中でも大丈夫なように進化したから」。
とんでもないウルトラCですw
でももちろん、大きな流れの中の展開としては作者の中では無理なく決まっていたことなのでしょう。でもそれは読者には知らせない。意地悪ですねーw
で、禰豆子が日の光の中でも大丈夫になる、というのは珠世さんは予期していたそうで。まぁ、順番的には後出しジャンケンですが(笑)展開的には予定通りでしょう。
その理由はまだ明かされませんが、兎にも角にも禰豆子は日中も出歩けるようになります。
ただ、このことが更なる鬼舞辻無残の苛烈な攻勢を招くことになるというのです。
一つ良かったことが起こると、それは更なる悪いことの引き金になってしまう、というこの展開。さすがですねー。
鬼舞辻が青い彼岸花を欲しがるのは、それが自分が完全体、つまりは日中でも出歩けるようになるための薬に必要だからです。
しかし、禰豆子が日の光の下に出れるようになった今、薬は必要ありません。鬼として、ある面では自分よりも進化した禰豆子を、多分欲しがるのでしょう。
今後はいよいよ鬼舞辻が禰豆子の元へ直接乗り込んでくるかもしれません。いよいよ全面対決ですね。
また、いち早く禰豆子の「覚醒」を予期した珠世さんにも動きがあります。より正確に言うと、動かれた、というか。
産屋敷のカラスが珠世さんの隠れ家に接近するんですね。
どういう経緯で産屋敷サイドが珠世さんの情報を知り得たのかは定かではありませんが、結構組織デカいですからね。そこらへんは諜報部隊みたいのがいるのかもしれません。むしろ、いる方が自然かな。
ただ、この産屋敷が放ったカラス、本当に産屋敷のものかどうかは、まだわかりません。次号、要注目ですね。(多分、本物の産屋敷のカラスでいいと思うけど)
痣とは何ぞや?
今回の戦いの中で、炭治郎の他にも、無一郎、甘露寺さんの二人に痣が発現します。
炭治郎が見る夢の中に痣のある剣士が出てくるのですが、この痣が発現する、というのが殊の外重要なことだそうです。
鬼舞辻をかつてあと一歩のところまで追い詰めたのは痣のある剣士だったそうです。だから、鬼を倒す力と何か関係があるのではないか、ということだと思います。
そして、柱合会議では急遽、なぜ痣が発現したのか、二人に私見を述べさせます。
ここでの二人の対比が面白いですね。
感覚的な、シゲオ長嶋的な擬態語のオンパレードで説明しようとする甘露寺さん(可愛い)。対して無一郎は理路整然と、具体的な数値も交えて説明し、「条件さえ満たせば痣は誰にでも出る」と結論を下します。
甘露寺さんのアホっぽいけどナチュラルな強さと、一見天才的な無一郎の、実は努力に裏打ちされた知的さが鮮やかに描き出されているように思います。
こういう、設定的な説明シーンにも、それぞれのキャラを際立たせる感じが、見ている人に飽きを感じさせなくて上手いですね。
やっぱり、どうしても説明シーンって退屈になってしまうきらいがありますからね。
そして、鬼舞辻の過去も語られるのですが、どうも鬼舞辻、元は貴族であったそうなんです。なんとなく、意外な感じでした。
義勇さんの過去
そしてこの巻では、水柱・冨岡義勇の過去が語られます。
自分は鬼殺隊の選別試験には受かっていない、という衝撃告白。まぁ、実際には規定としては受かっているのですが、助けられて生き延びただけだ、というのです。それでは実質受かってないのと一緒だ、とこう言うわけです。
だから、義勇さんは自分は柱ではない、と言い、他の柱に対しても引け目があるそうなのです。
だから、なんとなく皆と交わらず、一歩引いたところにいたのですね。でも、どことなく偉そうな態度で、何人かから「バカにするな」と反感を買っていますが。どういうことなんでしょう。
で、しかも、義勇さんを助けたのは第1巻に登場した錆兎だというんです。ここで意外な繋がりが出てきました。
そして、痣騒動が起こる中、自分には関係ないとばかりにションボリ状態の義勇さんを元気づけるのが、もちろん炭治郎です。そして、炭治郎にそんなお願いをするのは産屋敷のお屋形様なのです。さすがに人の上に立つ人は目配り気配りが違います。
で、この炭治郎。相変わらずアホです。このアホアホ鈍感パワーが義勇さんみたいな人には効くんですよね。
呼びかけに無視し続ける義勇さんにも関わらず、ズカズカと家の中に入ってしまう炭治郎。
寡黙な義勇さんを勇気づけるには、ざるそば早食い競争がいいだろう(喋らなくていいから)、と勝負を持ちかける炭治郎(義勇さんは勝負を受けてくれます)。
アホです。
しかし、そんな天然ナチュラルアホパワーは時に、不意に、うっかり核心を突いてしまうことがあります。
錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか、と問いかけます。
その問いかけは、かつて他ならぬ錆兎から問いかけられたものでした。
義勇のお姉さんが繋いでくれた命をお前が繋げ、と言われていたんです。
そのことを思い出したんですね。
姉と同じように、錆兎に命を託されたことを思い出すんです。それで、義勇さんは立ち直り、柱稽古に参加することを決意します。
その流れからのざるそば大食い対決です。
始終、炭治郎のペースに引きずられていた義勇さんでした。
すげえなあ、炭治郎。
柱の下で猛特訓
それで最後、柱稽古に入っていくわけなんですけど、稽古なんて生易しいものじゃ断じてないですね。特訓ですよ、特訓。いや、サバイバルかな(^^;;
そんな、辛い辛ぁーい特訓が鬼殺隊メンバーを待っているわけなのですが、炭治郎はかつて関わった柱の方々とはすっかり仲良しになっているのでした。
宇随天元とその一行(三人の嫁)には「久しぶり」と歓待されます。
かつてあれだけ冷たく、生意気だった時透無一郎はすっかり自分を取り戻し、元のやさしい無一郎として、炭治郎をひいきしすぎなのでは、というくらいの笑顔で接します。いや、「懐く」と表現した方が良いレベル。しかし無一郎、覚えの良くない他の鬼殺隊には元の冷酷な無一郎で接するのです。ここらへんはまだお兄さんの影響力にあるのかな?
そして甘露寺さんは、パンケーキでご歓待。しかし、稽古する鬼殺隊のメンバーに「レオタード」に着替えさせ(炭治郎も着ます)、サブミッションばりの柔軟体操をさせなす。
しかし、甘露寺さんに密かに恋心を抱いている(に違いない)蛇の人(名前忘れた)からは嫉妬120%の敵意を向けられ、しごきにしごかれます。
また、弦也の兄貴(名前忘れた)は獰猛極まりなく、弦也との兄弟喧嘩の仲裁に入るついでに大乱闘となり、接近禁止を命じられてしまいます。
この二人は相変わらず様子がおかしいですね。特に、弦也の兄貴! こいつはマジでやべー。でも、この人にも過去に色々あったんですよね。そのことは、弦也の過去話で垣間見られました。
いやー、この兄弟には幸あって欲しいですね。弦也の兄貴も更生(?)して欲しい。
そして次巻、あの入道の柱稽古に突入します。いやー、この入道柱、怖そうだ!
善逸再登場
そして、この巻で嬉しかったのは、善逸がひっさびさに登場し、相変わらずだったことです。いやあ、ブレねーなー、善逸。
日の光の中にいる禰豆子を見て狂喜したり、柱稽古の話を聞いて悪態つきまくったり、柱稽古に耐えきれずに逃げ出したり、相変わらず期待を裏切りません。
でも、鬼との戦いの際、炭治郎の回想の中で、打開のヒントを与えたのもまた善逸でした。
普段はなかなかにしてどうしようもないんだけど、いざという時に活躍する。
やっぱ善逸、いいなぁ。
でも最近、炭治郎にも似た魅力が出てきたんだよなあ。この巻で言うと、義勇さんとのやり取りはなかなかにして秀逸でした。
アホな炭治郎、好きだなあ。真面目で強い時とのギャップがいいですよね。
さてさて、次巻も更に楽しみです!