azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「鬼滅の刃」第三巻ネタバレ有り感想。善逸は眠りの小五郎?トミーとマツ?!


鬼滅の刃」全23巻を一巻ずつ感想を言っていくというマラソン企画、今回は第三弾、つまり第三巻についての感想を述べようと思います!

ということなんですけどねー…、三巻は、ぶっちゃけた話、ちょっと停滞気味かな(^^;;

ま、前回、第二巻の感想で、急に面白くなってきた、と言ったばかりなんですけどね。「鬼滅の刃」は巻によって出入りが激しい感じですね。

変化といえば、様子のおかしい(笑)新キャラは出てきたんですけどね。

しかし、特にこれといった展開は見られず(まぁ、新キャラが出てきたこと自体が大きな展開とも言えるけど)、ま、ちょっとですね、一旦小休止というか、中だるみというか。

まぁ、そんな風に感じてしまいました。そんな第三巻。

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鬼舞辻登場編は面白い

ここは面白かったですね。前巻からの流れというか、その決着編ですかね。

まぁ、鬼舞辻率いる十二鬼月のうちの二人との戦いなんですけど、この二人がとにかく強い。というより、厄介。特に男の方が変な矢印攻撃仕掛けてきて、これがめんどくさい。

女の子の方はパワー系というか、手毬を超強力なドッジボールみたいにして投げ込んできたり、サッカーボールのように蹴っぱくったりって感じで、まさに悪魔の手毬唄ならぬ鬼のドッジボールという感じです。

ただでさえ強力な十二鬼月なのにそれが二人も! と思いきや禰豆子と御耽美二人組のおかげで分断成功。男の方が女の手毬に変化を加えてるのがめんどくさかったんですけど、女一人になるとストレートしか投げられなくなるので、そこがちょっと与しやすくなった感じですかね。

それと禰豆子の理由のわからない急激な成長が十二鬼月相手に善戦した最大の要因だったんですけど、この謎もね、後々明るみに出てくるという感じなんでしょう。

ただ、男の矢印攻撃に炭治郎は手を焼きます。なんとか勝つことができるんですけど、その代償は大きく、肋骨と脚を骨折してしまって、あと女が一人残ってるのにどうなるか!って思ったら、鬼の美人女医さんが血鬼術を使って自滅に追い込む、という展開。こういった頭脳戦は工夫を感じて、読んでて飽きないですよね。

そんな感じで勝利を収めるものの、実は今回の敵は十二鬼月ではなかったそうで、更に鬼の美人女医さんの口から、「弱すぎる」という衝撃の一言。じゃあ、本物の十二鬼月はどんだけ強いんだー! そしてそれを操る鬼舞辻はどんだけ化け物鬼なんだー!という感じで、早くも炭治郎の前に暗雲がたれこめるのでした。

どうやら敵鬼二人は鬼舞辻におだてられ、騙されていたようで、捨て駒として利用されただけだったみたいなんですね。

それだけでも、敵とはいえ暗澹たる気分になるのに、鬼舞辻の呪いに殺された手毬の女は、最後、子供のように手毬を欲しがります。この女も、子供の頃に鬼にされたのかもしれません。炭治郎が手毬を側に持って行ってやります。炭治郎も言うのですが、非常に救いがない。

鬼舞辻がどういう奴か、非常に浮き彫りになってくる感じですね。

様子のおかしいキャラ

とまぁ、鬼舞辻登場編はなかなか怒涛の展開で、暗澹たる気分になりつつも、一つ物語として急発進したかな、という感じなんですけど、ここからちょっと俺的には停滞感が…。

我妻善逸という新キャラが出てくるのですが、非常に様子がおかしいキャラで。

とにかく臆病でありながら、道行く女の子に結婚を申し込むという、よくわからない人で。そのどうしようもなさっぷりは炭治郎ですら呆れ果て、果ては小さな男の子からも説教を食らう始末です。

それでいて、眠ると人が変わったように強くなる、という「眠りの小五郎」のような側面もあるんですね。そういった、何かがきっかけで急に強くなる、というキャラ付けは古来からよくあって、「噂の刑事トミーとマツ」のトミーなんかはその典型ではないでしょうか。

そんな感じでフックがありまくりの新キャラなんですが、ただ今回のエピソードはそれだけではなく、謎の猪男まで出てきます。

まったく化け物の風体なんですけど、なぜか日輪刀を持っている(しかも、多分二本)。日輪刀を持ってるから鬼殺隊なの?と思いきや、何の躊躇もなく炭治郎に斬りかかる。かと思えば、鬼を一人殲滅する。

本当に、「敵か味方か」を地でいくようなキャラです。ちなみに、この三巻ではまだ名前もわからない。そういった意味では非常にエキセントリック少年ボウイのカーボウイを思い出した人も多いかと思います。

そんな感じで、今回の話は新キャラ登場のためのエピソード、という感じなんですけど、一人は鬼殺隊の試験の時からいたメンバー、もう一人は敵か味方かわからない謎の化け物、という、ちょっとした多重構造での新メンバー加入、という話で、そこはちょっと凝っていますよね。

ちょいちょい挟まれるギャグ

それで、善逸編に入ると、ちょっと肩の力が抜けるというか、割とギャグがちょいちょい挟まれるようになります。

善逸に対する炭治郎のリアクションが、それまでの彼のキャラにはない、割とSめのツッコミの効果があったり、炭治郎がやたら長男ネタをブッ込んできたり、鼓の鬼と戦っている時も、ちょっとコミカルな描写が挟まれたりと、結構入れてきます。

ここらへんは銀魂が好きという、吾峠呼世晴のパーソナリティが出てるのかもしれません。

ただ、その感じが…ちょっと、スベッてる感じが…(^^;;

まぁ、そこらへんは評価が分かれるところなんでしょうけど。

絵が雑

あとですねー、絵が再び雑になってきましたねー。いや、一巻の時よりも雑な感じがします。下手っつーか、雑。

まだ三巻なので、ひょっとしたらアシスタントさんとかついてないのかな、という懸念もなくはないですが、それにしても、他の漫画家さんの初期に比べても、割とな感じを受けるんですけど、どうでしょうか?

二巻で浅草来て、大正浪漫な耽美な絵になってきたなー、と思ったんですけどね。

この雑さが残念で、例えば、善逸が寝ると強くなる、っていうのはすごくこのエピソードのサプライズな見せ場だと思うんですけど、絵が雑で、そこに至る表現が効果が出ていない感じがするんです。

だから、善逸が急に異常な強さを見せつけても、なんかあっさり過ぎ去ってしまった感じなんですね。

もっと、描き込んで表現してくれれば、もっと「あ! 善逸ってすごいんだ!」って思えたと思うんですけど、それは頭で理解せねばならず、「強く感じる」っていう風ではなかったように思います。

他にも絵が雑なために、印象が低くなってしまう点が多々あったかもしれなく、逆に言うと、ちゃんと描き込んで表現できていれば、もっと印象も変わったかもしれず、三巻のこの絵の雑さは、ちょっと残念ですね。

ただ、そうは言っても、やはり「ここぞ」という時の微妙な表情は、さすがですね。

以前、手塚治虫の特番観てて、手塚治虫は自分の漫画の絵が嫌いだった、っていう話がありまして。漫画は誰にでもわかりやすく描かなくてはいけないので、そのためには「記号」にしなくてはいけない、というんです。

例えば、笑ったら口を上弦の月みたいにするとか、怒ったら眉毛をV字にするとか、そういう記号だ、っていうんですね。だから、自分の漫画の絵は記号だから、あんまり好きじゃない、というような話しだったと思います。

で、吾峠呼世晴も、もちろんそういうきらいはあるんですけど、ポイントポイントでは、そういう記号から外れた、言葉では言い表せない「感情」を絵にしている。そういう表情を描いている。

そういうのって、実はあんまりなかったように思うし、もちろんやってる人もいるけど、なかなか難しい技術だと思うんですね。

でも、吾峠呼世晴はそれが上手いような気がします。

グロすぎじゃね?

それから、やっぱこの漫画、グロいですね。

手毬の女が鬼舞辻の呪いで殺されるシーンや、鬼に喰われた人、もちろん、鬼がやられる場面など、絵が下手だからまだ若干マイルドにはなってるかもしれませんが、なかなかにグロい。

でもこれは鬼滅だけじゃなくて、最近の漫画全般に言えることかもしれません。特に少年誌に多い印象。割と残虐シーンが多くて、これはなんか、そういうムーブメントなんですかね? グロくしたもん勝ちっていうか。映画なんかもそうですよね。これはちょっと個人的にはいただけないですね。

鬼は現代人?!

あと、炭治郎って、最後、鬼を倒すとき、何か救いのようなものを差し伸べますよね。

これが一つ、それこそ作品全体の救いみたいなものにもなっていて。

炭治郎が倒していく鬼って、大体被害者ですよね。まぁ、鬼舞辻に鬼にされてるわけだからどうしてもそうなってしまうんですけど。

ただそれって、やっぱりどうしても現代の人、特にネット(ネットじゃなくてもいいけど)で誹謗中傷をばら撒いてる人を想起させてしまうんですね。

特に今回、鼓を持った鬼なんかはそうで、誰からも認められない人が鬼になってしまって、そこで元々は十二鬼月になったんですけど、それも人をたくさん喰いきれない(怖いな)からという理由で鬼舞辻に、その地位をはく奪されてしまうんですね。

鬼になってようやく認められたと思ったら、またダメになってしまう。そしてまた鬼舞辻に認められようと人を喰いまくる。なんだかすごいやるせなくて悲しい悪循環というか。

なんだかそれって、ネットで誹謗中傷垂れ流してる人物像と重なってしまうんです。認められなくて、誹謗中傷して、それに「いいね」いっぱいもらって、「いいね」が少なくなったら、また誰か攻撃する。その繰り返し。

それはネットじゃなくても、他人をやたら攻撃する人とか、特に何も行動を起こさなくても、腹に一物抱えてたりとか。

だから、炭治郎が鬼を殺す時、そういった人の「鬼」の部分をなくしてくれているようにも見えなくもなくて、だから炭治郎が鬼を倒す時、すごく悲しそうな表情してたり、一言声をかけたり。

多分、彼は鼻が鋭くて、その臭いで感情までがわかってしまう、ある種エスパー的な能力も持っているから、鬼の人生みたいなものも、わかってしまうのかもしれませんね。だから、悲しそうな表情したり、一声かけたりする。

だから、炭治郎が鬼舞辻を目指すということは、その鬼舞辻の被害に遭った元人である鬼を倒していくってことになるわけで、要は自分と同じ被害者と戦わなくてはいけないわけだから、ものすごく辛い戦いが、しかもこれから続いていくんだなぁ、ということを思うと、やはり、なんか、やるせないですね。いやぁ、吾峠呼世晴、性格悪いなぁ(^^;;

 

 

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