「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は前評判も悪くて、全然期待してなかったんですよね。
しかも、岩井俊二原作だったし(^^;; 個人的に岩井俊二の映画で面白いと感じたことはなかったと思います。でも、僕の大好きな新海誠は岩井俊二大好きなんですよね(^^;;
だから、主演二人の声を菅田将暉と広瀬すずが担当するということだけを楽しみに、観に行ったんです。
しかし、これがめちゃ良かった。
場が良い
先ず、とても絵が綺麗だったですね。
あと、舞台の作り方も良かったと思います。特に円形の校舎が良かったですねー。教室も窓際は丸くなってて、なんだか面白い建物でした。
確か、もう廃校になっちゃったけど、こういう形の校舎って実在したんですよね。以前テレビで観たことがあります。その校舎を参考にしたのかな?
街にはやたらと風力発電の風車がありましたけど、個人的には自然エネルギーへの志向と、この作品のキーワードとなる花火の象徴が込められているように思えました。多分合ってるよね?w
お約束的アニメ的キャラがいない
高校生たちの人物の造形もね、個人的にはすごく好きでした。みんな、等身大の高校生で、所謂アニメっぽい嘘臭さがなかったですね。
やたら優等生でイケメンな完璧超人だったり、ロリ巨乳メガネだったり、ドSで高飛車な美人だったり、そういう定型化された「いかにも」な登場人物はいなくて、非常に好感が持てました。
…まぁ、元が実写映画だから当り前か(^^;;
演出が細やか
話の内容もファンタスティックなSFで、あるアイテムをきっかけに、現実から少しはみ出た異世界に行く、って感じなんですけど、この設定が超俺好み!
この「半歩だけ」異世界な感じが良いんですよねー。片足だけ突っ込んでる感じ。全部じゃなくて。思えば、僕のそういう「半歩だけ」SFが好きなのはドラえもんの影響もあるのかもしれません。
演出の方もですねー、ストーリー上、繰り返しの場面が結構あるんですけど、1回目を単純に繰り返すんじゃないんですね。
カメラアングルなどを変えて見せ方を変え、全くの同じ世界ではない、少しズレた平行世界であることを表したりして、結構きめ細かな演出が施されていました。
ここらへんはさすが新房昭之ですね。
やはり主役二人のキャストが良い
もちろん、主役の二人はさすがと言っていい出来で、声も良ければ芝居も上手い!
ちゃんとアニメの声になりつつ、変に作らないリアルさがありました。この点に関しては他の声優陣もそんな風に演じていて、ここらへんは監督の演出なのかもしれない。そういった演出にみなさん見事に応えていましたね。非常に力のある声優が揃っていたと思います。
で、その中でも特に広瀬すずがすごくて。
彼女の演技力はマジで半端ない!
声だけであそこまで表現できるものなんでしょうか。
また彼女は歌声も披露していて、ま、それ程上手くはないんですけど、かと言って決して下手ではなく、声の良さもあって(いい声してますよね)なかなか良い歌を歌っていたと思います。
しかも曲はあの名曲、松田聖子の「瑠璃色の地球」!
歌詞も作品の世界観に合っていて、この選曲はナイスすぎましたねぇ。
若い夏の切なさがナイス
全体的には、高校生特有の、消えていってしまう夏休みの時間を描き切っていたと思います。
また、女の子が男の子よりも先に大人になってしまうあたりもうまく描いてい
ました。
そしてまた、ちょっと取り残されつつも、男の子の方も少し成長していく、そんな切なさみたいなものが、見事に表現されていたと思います。