「さよならの朝に約束の花をかざろう」を観たのですが、とてつもなく良かった! これはおそらくまだ四月の段階だけど、今年一番の名作になりそう(俺の中で)。
監督は「あの花」や「心が叫びたがってるんだ」の脚本を担当した岡田麿里。今回が初の監督だそうです。
監督は「あの花」や「心が叫びたがってるんだ」の脚本を担当した岡田麿里。今回が初の監督だそうです。
様々な角度から観ることができる懐の深い作品だと思うのですが、一つだけ挙げるとするなら、個人的にはエリアルの人生の物語だと思って観ました。彼の人生を見届けるために、人間に比べてとてつもなく長い生涯を持つというイオルフという種族を設定したのかもしれません。我々観客は親(代り)となったイオルフの少女・マキアの目を通してエリアルと接し、エリアルの成長を見て、エリアルとお別れをする。
ただでさえ映画は登場人物、特に主人公に感情移入する(少なくともそのように作られている場合が多い)のですが、エリアルの成長がとても丁寧に描かれ、どんどん大人になっていくのを観ると、身内のような気持ちになってしまうんですね。もっと言ってしまえば家族というか。そうするとエリアルが悩んだり葛藤したりしているともう、ホントに胸を打たれる。
で、観ている時にこういう感情は他の作品でも感じたよなー、と思って思い出したのが『北の国から』と『6才のボクが、大人になるまで。』でした。ああいう幼い頃からリアルタイムで人物の成長を描いた作品を観た時と同じような感情を呼び起こされたんです。これはすごいことで、実写で本当に人が成長をしていくのをドキュメント的に活写した作品と似たようなことを絵と脚本、そして演出で成し遂げてしまっているわけですから。
それにしても、なんでリアルタイムに人生を描く物語は、ああも人の胸を打つのでしょうか? さっき言ったみたいに身内のような気持ちになるというのもあるし、多分自分を投影もしているのだと思います。これはより長く生きている人の方が強烈に感じるかも知れません。俺にもこんな時代があったのかな、とか、随分親に迷惑かけたかなー、とか。或いは子供がいる人だったら、ウチの子と同じだなー、とか。とにかく自分に近しく感じて、自分の人生を振り返る契機になるような気がします。だからこそ、あれだけ胸を揺さぶられるのかもしれません。
あとは、実の親子でなくても親子になれるということ、そしてそうするにはお互いが必死になって親子の縁を紡がなくてはならないこと、逆に血を分けた親子は離れていても親子であり続けるということ、別れを恐れていては出会いはないし、別れの悲しさはその人への愛の深さであること、などなど多くの深く突き刺さることを描き切ってると思いました。