azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「すずめすずなり」ネタバレ有り感想。すれ違いの中のやさしさ!!


買え!

 

すずめすずなり 」という漫画がありまして。これ、めっちゃくちゃいいー!! 何て言うか、こう、のほほんとした雰囲気の中に現代の都市に生きる人たちの寂しさが浮き彫りになってるっていうか。それでいて、やさしさが溢れているっていうか。いやー、素晴らしいですね。

 

先ず、設定がですね、なかなか良くて。賃貸アパートが主な舞台なんですけど、なかなかの優良物件でありつつお値段も良心的。その理由は朝六時半からの大家さんのもてなす住民一斉朝食会に出られること。そんな微妙なアットホームアパートねーだろー!っていうのがね、現実から半歩、いや、そのまた半歩ズレててナイスです。それでいて二十代後半男子の現実をリアルに描いていて、すごく等身大で、思い当たるフシだらけ。あまりにも等身大すぎて参ったなー。身に覚えのあることだらけでよじれてしまいます。で、その描き方がユーモア交えてて、尚且つ、何と言うか、愛がある感じというか。

 

あと、住人たちのキャラ設定も良くて、キャラが立っている一方で「こういう奴いるよなー」っていう感じもある。特に、大家さんの一人娘の中二女子・多恵ちゃんがね、また良くて。この子が準主役という感じなんだけど、主役の二十代後半男子の橋本くんに惚れてしまうという役どころ。そう書くと、ちょっと派手気味の女の子という感じがするけど、これがまたホンットに地味な子で。髪の毛も黒いし、スカートも短くない。でも、こういう子が年上過ぎる男を好きになってしまうってのも、ある意味リアル。で、この子にとってはそのアパートが自分の家になるわけで、住民同士も基本的には仲がいい。嫌な奴いないし、ある意味理想郷なんだけど、そこはやっぱり賃貸アパート。他の住人にとっては仮の住まいでしかない。ちょっと振り向いていただけの異邦人的な、変化し、流れていく現実を知っていって、でも受け入れていく感じがね、良くて。

 

場の設定がアパートだったり、やさしさがあったり、この漫画はどことなく「めそん一刻 」を思い出してしまうけれど、一刻館の場合はそこが住人の永住地みたいな雰囲気がある。でも、この漫画はアパートであるが故にいずれはみんな出て行くであろうことが結構大きなテーマになっていると思う。そういう「すれ違い」な感じが、この漫画には全般的にあって、気持ちが繋がることってほとんどない。でも、そんな中でふとしたやさしさに出くわす、気持ちが繋がる、繋がらないまでも掠ることがあって、そこがすごく泣けるんですよね。すれ違ってばかりいる中、ふと繋がる時、その尊さがわかるからなのかなー。

 

コーポ白百合はそんな感じで少々面倒くさいんだけど、この殺伐とした、すれ違いばかりの世の中にあって、お水控えめのオアシスのように感じる。この漫画は都市部で一人暮らしする人たちのエールに思えてならない。

 

でも、こんなにいい漫画なのに、今もうあんまり売ってない。特に二十代~三十代男子は買え!