azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

坂本龍一8年ぶりのアルバム「async」はずーっと聴いていられる!!

 

教授8年ぶりのアルバム「async」を聴きました! なかなか良かったですねー(^^) この「なかなか良かった」というのは、一見上から目線的で、ややもすると「そこまで良くはないかなー」といった印象を与えてしまうかもしれない表現ではありますが、いやその感じがすごく良いのです。確かに派手だったりキャッチーだったりする曲は全くありません。しかし、ずーっと聴いてて飽きが来ない。延々と聴いていられる不思議なアルバムです。その感じを称する時、「なかなか良かった」と表現するのが、僕の中ではしっくりくるんですねー。

 

大抵の場合、CD聴く時って10曲あるとすると、大体3~4曲くらい好きな曲ができて、途中の曲はスキップして、その曲だけを聴くと思います。で、その後iPhoneとかにその数曲をコピーして外に持って行く、という感じだと思うんですけど、僕もこのアルバム通して聴いて、やっぱり何曲か特に好きな曲があって、いざそういう、ピックアップする作業をしようとするんですけど、結局一枚聴いちゃってるんですね。なんとなーく、流れで聴いてしまう。で、その感じがすごく気持ち良いんです。だから、特にスキップする必要はないかなーと。結局、それだけ完成度の高いアルバムだということだと思います。アルバム一枚を通してひとつの作品というか。

 

その理由の一つに非常にバラエティに富んだ曲が収録されている、ということがあると思います。ピアノ曲、ミニマルなシンセの曲、ストラヴィンスキーの『春の祭典』を思い起こさせるようなクラシカルな曲、複数の言語による台詞のコラージュ、環境音のコラージュ、静かなボーカル曲、三味線を使った時代劇のような曲…。ホントに様々な曲があります。そしてそれらがバラバラに入っているわけではなく、一本の糸で貫かれているような統一感があります。全体的な音の感じ、それから根底にあるテンポ感、のようなものが似ているから、かなー、と思います(勘で喋ってますが(^^;;)。とにかく、その雑多さと統一感という二律背反なものがひとつになっている点が、いつまでも聴いてしまう要素の一つかなー、と思います。

 

それから、「ビート感のある曲がない」というのも聴いてて気持ちの良い理由の一つかもしれません。よくよく考えたら、今の世の音楽はほぼ全てと言っていい程ビート感を効かせてます。もう、強迫観念のように(^^;; まぁ、確かにビート感のある曲はやっぱカッコいいですけど、これだけ溢れかえっているとたまに辟易としてしまいます。そんな中、アルバム一枚、ビートのほとんどない音楽を聴くのは逆に心地良いのかもしれません。まぁ、個人的には、って話ですけど。

 

あと、全体的に「音」そのものがいい、ってのがあると思います。ピアノの音、シンセの音。などなど。作り方、選び方もセンスいいなぁ、と思います。良い音だー、と思ってしまう。

 

メロディなんかも、一曲目のピアノ曲とか、少ない音数で、難しいことはやってないんだけど、すごく良いメロディだと思います。音の一つ一つを綺麗に出していて、なんというか丸みのあるくすんだ音色。ピアノという楽器の音、というものを考え抜いて出しているように思います。

 

それでいて、ピアノの音だけじゃなく、そこにミニマルに響く他の楽器や音を入れて「汚す」あたりが実に教授らしい。また、そこにこそ音楽の面白さがあると思います。綺麗に作りすぎる音は実はあまり面白くないと思うんですけど、それを尊ぶ人の方がやっぱり圧倒的に多いかな(^^;;

 

そういう、音やメロディ、音楽そのものと言ってもいいかもしれない、そういったものが、やっぱり良いから、ずーっと聴いてて気持ち良いのかもしれません。

 

あと、全体的な趣はディストピア映画のサントラ、といったような印象ですね。

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