azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

長野まゆみ「となりの姉妹」は人との繋がり!!


こういうのまた読みたいッス


「となりの姉妹」を読みましたー。なかなか良かったですねー。それにしても最近の長野まゆみ はホント、以前と比べると何つーか、「変わり」ましたねー。特にごくごく初期の作品と比べると「変わった」感がかなり強いです。長野まゆみと言えば少年が主人公で、ある意味人工的な閉じられた世界が舞台、という印象ですが、最近の作品は大抵現代で、少年が主人公、ということもほとんどありません。つーか、ない? この作品も主人公はおそらく二十代でしかも女性。尚且つ舞台は思いっきり現代の日本。「普通」です。めっちゃ「普通」。少年は出てくるけど、保育園に通う主人公の甥っ子。少年というより「幼児」(^^;; それに「変わった」と言えば、女性の描き方はホント変わった。この作品に出てくる登場人物は実はほとんど女性なのですが、みんな、どことなく「可愛いらしさ」があります。特に、隣に住んでいる姉妹の姉、逸子さんは特に可愛らしさを感じる。年齢も多分三十を越えているし、ちょっと飄々としてて、変わり者の主人公の兄とも平気で渡り合えるし、何となく「不思議の世界」と繋がってるぽくもあって、捉えどころがないんだけど、どことなく可愛らしさがあるんですね。以前の長野まゆみの女性の登場人物はすごく嫌な描かれ方をしていましたからねぇ…(^^;; それが徐々に変わっていって、今では可愛らしさを感じてしまうくらいになりましたからね。何かあったんですかね。


でも、何か根っこの部分は変わっていないような気もします。何が変わってないか、と問われると、それはよくわからないんですけど、でも、読むと何となく「長野まゆみの作品」という印象があるし、変わってない感じはするんですよね。


てなわけで、この作品なんですけど、ページを開くと、うっすらと透かしのような模様が施してあります。こういった装丁にも凝るところは非常に長野まゆみっぽいですねー。で、舞台はさっきも言った通り現代の日本。でも、それでもどことなく不思議な世界と繋がってる感があって、やはり「長野まゆみの世界」に感じます。そういったところや、会話の部分がカギカッコになっていなかったり、大人の女性が主人公だったりというあたり、「箪笥のなか 」に似ていると思います。でも、「箪笥のなか」は現実世界と不思議の世界の境界が曖昧なのですが、この作品にはそういう曖昧さはあまり感じなかったです。多分、舞台が不思議の世界になることがあまりないからかなぁ。あっても夢だとわかる感じだし、人から聞いた話だったりしますからね。でも、そういう曖昧さはなくとも、どことなくそういう世界が近くにあるような感じがして、やはり「箪笥のなか」に似た世界観になっていると思います。あと、蛇が結構重要なキーワードになっているのですが、最近の作品には蛇がキーワードになるものが多いですね。


それから、甥っ子の描写が可愛いですね。長野まゆみの作品に出てくる男の子ってすごく綺麗だったりして現実離れしてる感はあるのですが、よくよくその行動を見てみると、実は現実の男の子をよく観察してる感があります。この甥っ子も長野まゆみの観察眼が生かされていて、子どもの可愛らしさがよく伝わってきます。お菓子のおすそ分けを親に強要されて嫌々ながらもあげるとき、ほんのちょっぴりだけあげる感じとかね。あーあーあーあー、子どもってそうだよねー、でもそこが可愛いんだよねーって感じで。よく観てやがんなーって思いますね(笑)


で、筋としては近所の小母さんが急逝して、その遺品の中で不可思議なものがあって、それを調べていくっていうある種謎解きのようなものが中心になっていきつつ、兄やとなりの姉妹の日常を主人公の目を通して淡々と描かれていくという感じなんですけど、謎解きをしていく中で、段々と人との繋がりが見えてくるという。その繋がりは兄や小母さん一家やとなりの姉妹、姉妹の家に間借りしている老人、と繋がっていって。ひとつひとつの関係が希薄なように思えていたものが、実はそれらが浅からぬ関係で繋がっていたっていう。もちろん、長野まゆみが人との繋がりという判で押したような教訓めいたことを言おうとしたわけではないとも思うけど、でもこの作品での繋がりは、何か、ちょっと、いいなって思えてしまうんです。