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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

長野まゆみ「あめふらし」ネタバレ有り読書感想。耽美な京極夏彦?!


「雨更紗」に似てる?

 

長野まゆみの「あめふらし」を読んだんですけど、なかなか面白かったです。えー、感じとしては前回の「箪笥のなか」のスタイルを踏襲しつつ、京極夏彦っぽい感じもあるかな~といった感じです。「箪笥のなか」は軽くエッセイ風でしたが、今回は、まぁ、創作というか、えー、小説と、いった感じですね。今回のは特に時間を色々と移動するので、僕はタイムスリップものが好きなので、かなり好きな話でした。しかも、長野まゆみのタイムスリップものと言えば昭和初期(というイメージ)です。そんなわけで非常にワタクシのツボを抑えた内容となっております(笑)

 

今までの長野まゆみ作品もそうなのですが、今回もある意味わかりにくい内容となっております。会話の書き方も「箪笥のなか」同様地の文に組み込まれていたり、内容的には登場人物が何者なのか、生きてるのか死んでるのか、蛇なのか人間なのか、現実なのか夢なのか、よくわからない、わからせない内容になっていて、まぁ、かなり、色んな意味で境界が曖昧な感じになっていて、そういった意味では長野まゆみ節炸裂といった感じだと思います。そういう全てを説明しない美学というか、そういうところが作品に妙な現実感を与えているような、作品の「世界」を独自に作り上げているような感じがします。だから登場人物が過去にタイムスリップするという設定も結構突然なんだけど、すんなり受け入れられるところがあります。全てを説明しないと、突然の出来事が起こっても読者に「何かあるんだろうな」と思わせることができるからでしょうか。

 

内容的には人のたましいが主なキーワードになっていたりして、あと妖怪変化の類と思われるものたちが出てきたりとか、舞台が昭和初期とか昔の東京であるエピソードもあったりとか、そういうところが雰囲気的には京極夏彦小野不由美の「東亰異聞」に似てるように思いました。耽美な京極夏彦というか(^^;; 

 

あと、ちょっと思ったのは魅力的な女性が多く登場するところですね。以前の長野まゆみ作品に出てくる女性はホントにひどいものでしたから。女性に何か恨みでもあるのか?っていうくらい嫌な女性が出てきてましたからね(^^;; 最近の作品は結構魅力的な女性が出てきてたんですけど、この作品は魅力的な女性がいつになく多く登場しているように思います。どういう心境の変化があったのでしょうか(^^;;

 

まぁ、そんな感じでですね、この本は長野まゆみ作品の中でもかなり好きな作品ですね。