「鬼滅の刃」をですねー、買ってきましたよ!
ここまで売れるとね、そりゃ気になるってもんで。
アニメも気になるけど、やはりその元となった原作本を読みたい。やはりオリジナルを知りたいですからね。
それで、まぁせっかくだから、この機会に最近流行りの電子書籍の漫画を買うことにしました。
今回僕はebookjapanで買ったんですけど、クーポンとかでかなりお安く手に入れることができました。
そして、せっかくなので、一巻ずつ、全巻感想を言ってしまおうというマラソン企画を立ち上げることにしました。
絵ェ下手。しかし…!
先ず最初の印象は、絵ぇ下手だな、ってことでした(笑) まぁ、長期連載の一巻あるあるっちゃあそうなんですが、それにしても下手だな、と……。
ただ、ですね、その下手さ加減が悪くなくてですね、なんとなく、その作風が伝説的雑誌「ガロ」にでも連載していそうな、いわゆるガロ系ってやつですか、そういうのを彷彿とさせる感じで、悪くないですね。
それから、ところどころの描写が可愛い! 例えば、太陽の光が怖くてカゴの中に困った表情で隠れている禰豆子とか。
こういう演出って、最近の漫画ではあまりない印象。80年代の漫画とかには割と頻繁に出てきた表現だけど、こういう感じ、すごく好きです。
どうしても、殺伐とした内容ですからね、こういうのがあると、何かこう、読んでいて救いになるというか。
色々とあっさり
ただ、話としては色々あっさり、かなぁ、と……。
例えば、修行のシーンでも、割とあっさり師匠の難題をクリアしちゃう印象。もちろん、傷らだけになって帰ってきたりするんだけど、なんというか、時間が早いというか。
読んでて、この苦難がもう少し続くのかな、って思ったら、「あれ、もう?」っていう感じ。
テンポの早さを狙っているのでしょうか。個人的にはもう少し溜めて欲しいかも。
あと、セリフの感じがですね、紋切り型な印象は否めないですね。心で思ってることを全部セリフにしてしまっているというか。全部説明しちゃってる感じ。
ここもちょっと、余白というか、読者に想像させて欲しい気もします。
気になる点
あと、ちょっと引っかかったのは、第一話で鬼殺隊の人である冨岡義勇という人がですね、結構な強さの強要というか、弱者の権利も何も全否定するんですよ。
ここ読んだ時、ちょっと、うーん……、となってしまいまして。
これは、その後師匠ともなる鱗滝左近次という人も割とそんな感じなんですね。
まぁ、確かにその通りだし、そういう状況でもある。しかし、そう正面切って言われると反発もしたくなる。まぁ、ここら辺も紋切り型な印象を受けたところなのですが……。
世の中、弱い人ってのは絶対いますからね。それは色んな状況でそうなってしまって、そこから抜け出せない人も絶対的にいるし、い続けるんです。
そして、弱い人の方が、圧倒的に多い。
弱い奴には権利なし、っていうのは強者の理論なんですよね。
そりゃ、強いお前はそう言って気持ち良いんだろうけど、言われたこっちはたまったもんじゃねぇよ、と。
何か、ファッショなものも感じるし、資本主義的なものも感じるし、体育教師的なものも感じるし、校内カーストみたいなものも感じてしまいますね(笑)
あともう一つありましてですねー、鬼殺隊への入隊希望の面々がみんな子供なんですね。
ここもちょっと、引っかかってしまいまして。
何でそんなに子供を戦場へ行かせたがるのか、って感じですねー。
ジャンプ連載だからだよ!と言われればそれまでですが(笑)
なんか、日本人って、子供を戦場に向かわせるの好きですよね。そういう伝統って、なんかあるような気がする。
子供を大事にする一方、子供を「消耗品」と捉えているようなところが、どこかあるような気がするんですよね。
ハッとするシーンも
そうは言っても、色々とハッとするようなシーンもありまして。
炭治郎が岩を叩っ斬るシーンなんかは特にそうですね。
先ず、錆兎にようやく勝てた時の錆兎の、あの表情!
まだまだ一巻だから、さっきも言ったように絵は下手だと思います。でも、この表情はすごい! 泣きそうな、嬉しそうな、安心したような、というその笑顔の感じがですねー、ホントにそんな感じなんですよ。
ここねー、ここは、さっきと言うこと違いますが、全然説明していない、読者に感じさせるところですよねー。
錆兎も鱗滝さんと同じく、本心は岩を斬って欲しくなかったと思うんですよね。岩を斬ってしまえば、その先にあるものがわかるからです。
でも、岩斬りは炭治郎の念願でもある。そして、そんな炭治郎に期待する、ある種すがるような思いすらあったかもしれない。
そんな、なんとも言葉では表現できない感情を、あの「笑顔」で表現してるんですよね。
この表情の表現はすごかったですね。
そして、岩を叩き斬った時の演出ね。ここもすごい! ハッ!としましたもん。錆兎に勝った、と思ったら、それは岩だったという。
そういえば、この岩には注連縄がありましたもんね。最初、これ斬っちゃっていいのか? と思ったら、そういうことだったんですね。
売れる理由は作者の心意気!
そんな感じでですね、色々思うところもありつつも、さすがと思わせるところもあったんですけど、まだまだ一巻ということで、物語は序盤も序盤、といった雰囲気。
ただ、例えば「ワンピース」みたいに第一巻か捕まれて根こそぎ持っていかれて大ファンになっちゃう、っていう強さはないですね。多分、ここまで売れてなかったら、正直次巻買うかどうか迷いますもん。……買わないかな。
この一巻の段階で、後の大ヒットを予想した人はいなかったんじゃないかな?
しかし、ですね、この大ヒットには僕は理由があると思います。それは、作者である吾峠呼世晴の心意気です。
第一巻には「感謝の言葉」として自筆で綴られたメッセージが掲載されているのですが、漫画は生きていくために必要なものではない、と言い切ってるんですね。漫画は不要なものだ、ということがわかってるんですね。
漫画だけではありません。映画も、音楽も、絵画も、みんな生きていく上ではいらないものばかりです。
そこをわかってるのとわかってないのとでは全然違うと思います。
不要なものだけど、でも書く。書かずにはいられない、というか。
そして、買ってくれた人への感謝を忘れない。
その心意気が、大ヒットに繋がったのではないかと、僕は思います。
人が食われる話は高確率で売れる
この漫画のことはよく知らないで買ったのですが、基本的な世界観としては、人を食う鬼がいるんですね。まぁ、人が食われるということです。
最近、ここ十年くらいかな?人が食われる漫画が高確率で売れる気がするんです。
「進撃の巨人」「東京喰種」そして「鬼滅の刃」。
三つともメディア展開もして、それぞれメガヒットしてる。
人が食われる、ということが何か日本社会の病理を反映しているようにも感じます。
上級国民問題、全人口のわずか1%の富裕層、広がり続ける格差、世界的な右傾化などなど、思えば人が人を食っているとも言える社会が年々広がっていると思います。
読者はそのことに敏感に反応しているのかもしれない。