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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「鬼滅の刃」第四巻ネタバレ有り感想。伊之助もキャラ立ってるが、この巻の主役はやっぱり善逸!


鬼滅の刃」全巻感想、今回は第四巻です! 全23巻なので、先はまだまだ長いです!

というわけで四巻読んでみたんですけど、今回は面白かったです!

ホント、「鬼滅の刃」は巻によって出入りが激しい。今のところ、偶数巻は面白くて、奇数巻はそれほどでもない、というパターン。次は五巻なので…。

今回はですねー、一冊を通して、ほぼ善逸の巻という感じでした。

なんというか、善逸の魅力爆発!という感じですかねー。個人的にはそう思います。

いやー、善逸いいなー。

もちろん、イノシシ男(こう書くと仮面ライダーの怪人みたいだな。コウモリ男とか)もね、キャラ立ちまくってて、良かったですねー。

そんな感じで、四巻は新キャラの強烈な魅力の巻であったかなー、と思います。

でも、この巻はイノシシ男よりも、善逸の方が主役、って感じだったかな。

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善逸のキャラがすごい

いや、もうホントね、この巻は善逸のキャラが爆発してましたね。なかなかこれだけ極端でフックがありまくりのキャラも珍しいのではないかと。

フックの多いキャラって、それまで色んな作品にも登場してきたと思うんですけど、善逸の場合はそのフックの多くが性格的な面である点で、珍しいかもしれないですね。

先ずねー、どこからいこうかなw フックが多すぎてw 先ずはあれですかねー、戦闘中、うるさいw

もうね、ホント、うるさいw 文句言いまくりの弱音吐きまくり。これだけ戦闘中に文句言ってるキャラは、かの名作「ダイ・ハード」のジョン・マクレーン刑事以来ではないでしょうか。マクレーンよりも「うるさい」という点では、ダイ・ハードを越えたかもしれません。

でもねー、この感じがいいんですよねー。カッコ良くキメないで、文句言いまくって弱音吐きまくる。この感じが何と言うんでしょうね、読者寄りというか。

スーパーヒーローみたいな完璧超人が敵をカッコ良く殲滅する。それはそれで醍醐味だとは思います。でも、一人くらい、ちょっと弱くて情けない奴がいないと、読んでいて感情移入しきれないかもしれません。

この「弱くて情けない」のは、取りも直さず、この作品読んでる読者自身なんですよね。で、そいういう読者と同じ「弱くて情けない」けど、主人公たちと一緒に敵と戦うわけです。読者と同じ要素を持っていながら、主人公と行動を共にする。謂わば、読者と作品世界を繋ぐ架け橋となっているわけです。

わかりやすい例で言うと、他には「ワンピース」のウソップなんかがそうだと思います。彼も弱くて情けない面がありますよね。でも、活躍する。そこが読んでて痛快で、しかも作品世界と繋がっていられる。

そういうのって、読者が置いてけぼりにされない、すごく重要な要素だと思います。読者目線で作品世界を見ることができる人物というか。この作品ではそれが善逸なんだと思います。

次は「やさしい」という点ですね。

惚れた女のためには騙されているとわかっていても借金をしてしまう。

お師匠さんに厳しくされても、期待をかけてくれていることがわかって、何とかその期待に応えようと、すごく嫌なんだけど頑張る(何度も逃げてるけど)。

炭治郎が鬼を連れていても、何か事情がある、と思って、禰豆子が入った箱に攻撃を仕掛けてくるイノシシ男から身を挺して守る。

炭治郎が、女の子である禰豆子を背負って危険な蜘蛛の山へ入っていったのに気付いて、すごく怖いんだけど助けに行く。しかも禰豆子が鬼で強いと知っていても、です。

加えて、鼻の利く炭治郎にも、その臭いで「優しいことはわかっていた」と称される。

とにかくこの人、実はすごく気遣いの人なんですね。基本的には自分が可愛くて仕方ないし、暴言も吐くし、女にだらしないし、割とどうしようもない人なんだけど、でも他人に気を遣ってしまうんですね。そういった意味では、普通の人が他人に気を遣うよりもずっと大変だと思うんです。逆に言うと、普通の人はそこまで他人に気を遣わないw

ダメな人なんだけど、他人に気を遣ってしまう。そこが魅力的ですよね。

あと、性格的に、何でしょう、それらを踏まえた上で、出入りが激しいというかw

とても優しいんだけど、割と乱暴な言葉を吐いてみたり、弱音を吐いているんだけど、敵を罵倒してみたり、よくわからんですw

あと、炭治郎が連れてる鬼が禰豆子で可愛いということがわかった途端に逆ギレして刀まで抜くという…w 善逸、禰豆子は炭治郎の妹だよ。

で、そこがまた、良いんですよねー。見てて面白いというか。

それと特殊能力を持ってるんですよね。この点も非常に強力なフックかな、と。

炭治郎は鼻がジミー大西ばりに良いですが、善逸は耳が超人的に良い。何でも、生命が発する音まで聞こえてしまい、その鳴り方で人が何を考えているかまでわかってしまうという。炭治郎の鼻と同じようなエスパー的能力も持っているのです。

この能力で鬼のいる場所を見分けたりと、非常に強力な能力です。

あとは、何と言っても、キャラデザの良さですかね。

実はよく見ると、善逸って結構可愛らしい顔してるんですよね。それに雷に打たれたせいで金髪(どういう理屈だ!)になってて。

大正時代に金髪の日本人の男の子、ってそれだけでもかなり目立つ容姿だと思います。加えて割とイケメンなので、女の子にもモテそうなもんなんですけど、やはり性格に難有り(笑)だからでしょうか。

イノシシ男のキャラもすごい

第三巻では敵か味方かカーボウイ的な役どころでしたが、四巻では早々に味方であることがわかりました。

名を嘴平伊之助というんですけど、この人もムチャクチャな人ですね。

先ず、育手なしで鬼殺隊の試験に受かってしまうという、とんでもないナチュラルな強さ。スタン・ハンセンか。

とにかく強い。育手がいない、つーか、育ての親もいない。どうも山の中で一人で生きてきたっぽい。だから一人で野性の中を生き抜いてきたからか、めちゃくちゃ強い。

だからめちゃめちゃマッチョなんだけど、猪の仮面(?)を取ると、まさかの美少女みたいな美少年でした、という超展開。

もう、何なんでしょうね、俄かには理解がおっつかない。ものすごいキャラを作ったものだなー。

めちゃくちゃ強くて、超美形で、でも山の中で一人育ったからモノを知らない。でも言語は話せる。そして字は書けない。自分の名前も書けない。しかし、フンドシには自分の名前が書いてあるという。フンドシって…。

もう、何なんでしょう?(笑) ただ、野性味、イケメン、パワー系の強さ、というところから、何となく響良牙を思い出してしまいます。

なんで猪の頭(多分剥製)を被ってるのかもわからないし、とにかく現段階ではまだまだ謎だらけです。

ただ、他の鬼殺隊の人たちは、人を守るために鬼を倒す、って感じだと思うんですけど、このイノシシ男の場合は、強そうな奴がいたら全員ブッ倒す、って感じなんですよね。鬼を倒すことそのものが目的というか。もっと言ってしまうと、倒す相手は鬼じゃなくても構わないみたい。

それが証拠にやたら炭治郎と張り合う。炭治郎が何かを発見すると、「俺の方が早くわかっていた」と嘘丸出しで強がり言うし。

ただ、そのやり取りがまた楽しいんですよね。炭治郎、善逸、伊之助、三人全くバラバラで、多分気も合わないと思うんだけど、妙なバランスの良さが早くも出てて、読んでて非常に楽しいです。

やっぱり人気が出る作品には魅力的なキャラは絶対的に必要な条件ですよね。ここまで極端なまでにキャラが立った登場人物が出てくる漫画はなかなかないんじゃないでしょうか。

蜘蛛山グロすぎ問題

で、四巻の後半は那田蜘蛛山編になるのですが、これがまたグロい。

もう、善逸の的なんて、まんま人面蜘蛛なので、そのキモさったらない。最初読んだ時、マジで気持ち悪くなったもん。

ただここでもですねー、善逸のキャラが救ってくれる感じですかね。善逸がキャーキャー文句言いまくってて、その感じが面白くて、それで一つ救われる感じ。

ちなみに、ここでの善逸の過去回想がなかなか良いんですよね。いかにして善逸が鬼殺隊に入ったかがわかるという。臆病な彼がなぜ鬼殺隊に入ったか。師匠との絆のためだったんですね。

ここでもまた、善逸に感情移入できるようになるというか。ホント、四巻は善逸大活躍です。実際、活躍しますし。

あとですねー、この山の蜘蛛、どうも家族らしいのですが、非常に家父長蜘蛛が母蜘蛛を殴る蹴るの暴行を加えて、そしてなんとまた、子供蜘蛛がそれ見て笑ってるという…。

まぁ、何とも色んな意味で胸クソの悪くなる今回の話なのですが、大正の時代に、蜘蛛鬼を使ってDV問題を扱おうとしているのでしょうか。

あと、このDVを受けてる母親蜘蛛なんですけど、どうも二巻で出てきた美人鬼女医の珠世さんが絡んでるのかもしれません。ここの描写も、後々気になりますね。

そんな感じで、那田蜘蛛山編、グロいんですけど、鬼殺隊隊員が敵の蜘蛛の糸で操られるシーンは、残酷なんですけど、人が操り人形のようになって、そこがまた、なんとも言えず、大正浪漫ホラーとでも言うべき描写で、耽美的なものも感じてしまいます。

何と言うか、蜘蛛というモチーフもそうですが、どことなく乱歩を感じてしまうというか。

鬼殺隊隊員は超能力が必須?

そしてどうも、鬼殺隊隊員には特殊な能力が必要みたいなのかな?と思ってしまいます。

炭治郎の嗅覚、善逸の聴覚、そして伊之助は触覚。空気の振動で鬼の居場所を見つけてしまいます。

この、臭いや音で、相手がどういう人かわかるという、ちょっとしたエスパー能力も発揮するのですが、ただ、そうやって相手の真意や人となりをすぐに把握できるのは、便利な反面、物語上はちょっとはしょりすぎ感がなくなはないです。

もうちょっと、相手との交流の中で、例えば炭治郎と善逸だったら、すれ違いの中で分かり合っていった方が、苦労を重ねた分、もっと感情移入できたような気もします。

そしてまた、相手の心がわかってしまうと、生きにくいような気もしますねー。事実、善逸はそれで相当苦労したことが忍ばれます。炭治郎もそういうことあったのでしょうか。

エスパー能力があると、なかなかに苦労しそう。

 

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「鬼滅の刃」第三巻ネタバレ有り感想。善逸は眠りの小五郎?トミーとマツ?!


鬼滅の刃」全23巻を一巻ずつ感想を言っていくというマラソン企画、今回は第三弾、つまり第三巻についての感想を述べようと思います!

ということなんですけどねー…、三巻は、ぶっちゃけた話、ちょっと停滞気味かな(^^;;

ま、前回、第二巻の感想で、急に面白くなってきた、と言ったばかりなんですけどね。「鬼滅の刃」は巻によって出入りが激しい感じですね。

変化といえば、様子のおかしい(笑)新キャラは出てきたんですけどね。

しかし、特にこれといった展開は見られず(まぁ、新キャラが出てきたこと自体が大きな展開とも言えるけど)、ま、ちょっとですね、一旦小休止というか、中だるみというか。

まぁ、そんな風に感じてしまいました。そんな第三巻。

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鬼舞辻登場編は面白い

ここは面白かったですね。前巻からの流れというか、その決着編ですかね。

まぁ、鬼舞辻率いる十二鬼月のうちの二人との戦いなんですけど、この二人がとにかく強い。というより、厄介。特に男の方が変な矢印攻撃仕掛けてきて、これがめんどくさい。

女の子の方はパワー系というか、手毬を超強力なドッジボールみたいにして投げ込んできたり、サッカーボールのように蹴っぱくったりって感じで、まさに悪魔の手毬唄ならぬ鬼のドッジボールという感じです。

ただでさえ強力な十二鬼月なのにそれが二人も! と思いきや禰豆子と御耽美二人組のおかげで分断成功。男の方が女の手毬に変化を加えてるのがめんどくさかったんですけど、女一人になるとストレートしか投げられなくなるので、そこがちょっと与しやすくなった感じですかね。

それと禰豆子の理由のわからない急激な成長が十二鬼月相手に善戦した最大の要因だったんですけど、この謎もね、後々明るみに出てくるという感じなんでしょう。

ただ、男の矢印攻撃に炭治郎は手を焼きます。なんとか勝つことができるんですけど、その代償は大きく、肋骨と脚を骨折してしまって、あと女が一人残ってるのにどうなるか!って思ったら、鬼の美人女医さんが血鬼術を使って自滅に追い込む、という展開。こういった頭脳戦は工夫を感じて、読んでて飽きないですよね。

そんな感じで勝利を収めるものの、実は今回の敵は十二鬼月ではなかったそうで、更に鬼の美人女医さんの口から、「弱すぎる」という衝撃の一言。じゃあ、本物の十二鬼月はどんだけ強いんだー! そしてそれを操る鬼舞辻はどんだけ化け物鬼なんだー!という感じで、早くも炭治郎の前に暗雲がたれこめるのでした。

どうやら敵鬼二人は鬼舞辻におだてられ、騙されていたようで、捨て駒として利用されただけだったみたいなんですね。

それだけでも、敵とはいえ暗澹たる気分になるのに、鬼舞辻の呪いに殺された手毬の女は、最後、子供のように手毬を欲しがります。この女も、子供の頃に鬼にされたのかもしれません。炭治郎が手毬を側に持って行ってやります。炭治郎も言うのですが、非常に救いがない。

鬼舞辻がどういう奴か、非常に浮き彫りになってくる感じですね。

様子のおかしいキャラ

とまぁ、鬼舞辻登場編はなかなか怒涛の展開で、暗澹たる気分になりつつも、一つ物語として急発進したかな、という感じなんですけど、ここからちょっと俺的には停滞感が…。

我妻善逸という新キャラが出てくるのですが、非常に様子がおかしいキャラで。

とにかく臆病でありながら、道行く女の子に結婚を申し込むという、よくわからない人で。そのどうしようもなさっぷりは炭治郎ですら呆れ果て、果ては小さな男の子からも説教を食らう始末です。

それでいて、眠ると人が変わったように強くなる、という「眠りの小五郎」のような側面もあるんですね。そういった、何かがきっかけで急に強くなる、というキャラ付けは古来からよくあって、「噂の刑事トミーとマツ」のトミーなんかはその典型ではないでしょうか。

そんな感じでフックがありまくりの新キャラなんですが、ただ今回のエピソードはそれだけではなく、謎の猪男まで出てきます。

まったく化け物の風体なんですけど、なぜか日輪刀を持っている(しかも、多分二本)。日輪刀を持ってるから鬼殺隊なの?と思いきや、何の躊躇もなく炭治郎に斬りかかる。かと思えば、鬼を一人殲滅する。

本当に、「敵か味方か」を地でいくようなキャラです。ちなみに、この三巻ではまだ名前もわからない。そういった意味では非常にエキセントリック少年ボウイのカーボウイを思い出した人も多いかと思います。

そんな感じで、今回の話は新キャラ登場のためのエピソード、という感じなんですけど、一人は鬼殺隊の試験の時からいたメンバー、もう一人は敵か味方かわからない謎の化け物、という、ちょっとした多重構造での新メンバー加入、という話で、そこはちょっと凝っていますよね。

ちょいちょい挟まれるギャグ

それで、善逸編に入ると、ちょっと肩の力が抜けるというか、割とギャグがちょいちょい挟まれるようになります。

善逸に対する炭治郎のリアクションが、それまでの彼のキャラにはない、割とSめのツッコミの効果があったり、炭治郎がやたら長男ネタをブッ込んできたり、鼓の鬼と戦っている時も、ちょっとコミカルな描写が挟まれたりと、結構入れてきます。

ここらへんは銀魂が好きという、吾峠呼世晴のパーソナリティが出てるのかもしれません。

ただ、その感じが…ちょっと、スベッてる感じが…(^^;;

まぁ、そこらへんは評価が分かれるところなんでしょうけど。

絵が雑

あとですねー、絵が再び雑になってきましたねー。いや、一巻の時よりも雑な感じがします。下手っつーか、雑。

まだ三巻なので、ひょっとしたらアシスタントさんとかついてないのかな、という懸念もなくはないですが、それにしても、他の漫画家さんの初期に比べても、割とな感じを受けるんですけど、どうでしょうか?

二巻で浅草来て、大正浪漫な耽美な絵になってきたなー、と思ったんですけどね。

この雑さが残念で、例えば、善逸が寝ると強くなる、っていうのはすごくこのエピソードのサプライズな見せ場だと思うんですけど、絵が雑で、そこに至る表現が効果が出ていない感じがするんです。

だから、善逸が急に異常な強さを見せつけても、なんかあっさり過ぎ去ってしまった感じなんですね。

もっと、描き込んで表現してくれれば、もっと「あ! 善逸ってすごいんだ!」って思えたと思うんですけど、それは頭で理解せねばならず、「強く感じる」っていう風ではなかったように思います。

他にも絵が雑なために、印象が低くなってしまう点が多々あったかもしれなく、逆に言うと、ちゃんと描き込んで表現できていれば、もっと印象も変わったかもしれず、三巻のこの絵の雑さは、ちょっと残念ですね。

ただ、そうは言っても、やはり「ここぞ」という時の微妙な表情は、さすがですね。

以前、手塚治虫の特番観てて、手塚治虫は自分の漫画の絵が嫌いだった、っていう話がありまして。漫画は誰にでもわかりやすく描かなくてはいけないので、そのためには「記号」にしなくてはいけない、というんです。

例えば、笑ったら口を上弦の月みたいにするとか、怒ったら眉毛をV字にするとか、そういう記号だ、っていうんですね。だから、自分の漫画の絵は記号だから、あんまり好きじゃない、というような話しだったと思います。

で、吾峠呼世晴も、もちろんそういうきらいはあるんですけど、ポイントポイントでは、そういう記号から外れた、言葉では言い表せない「感情」を絵にしている。そういう表情を描いている。

そういうのって、実はあんまりなかったように思うし、もちろんやってる人もいるけど、なかなか難しい技術だと思うんですね。

でも、吾峠呼世晴はそれが上手いような気がします。

グロすぎじゃね?

それから、やっぱこの漫画、グロいですね。

手毬の女が鬼舞辻の呪いで殺されるシーンや、鬼に喰われた人、もちろん、鬼がやられる場面など、絵が下手だからまだ若干マイルドにはなってるかもしれませんが、なかなかにグロい。

でもこれは鬼滅だけじゃなくて、最近の漫画全般に言えることかもしれません。特に少年誌に多い印象。割と残虐シーンが多くて、これはなんか、そういうムーブメントなんですかね? グロくしたもん勝ちっていうか。映画なんかもそうですよね。これはちょっと個人的にはいただけないですね。

鬼は現代人?!

あと、炭治郎って、最後、鬼を倒すとき、何か救いのようなものを差し伸べますよね。

これが一つ、それこそ作品全体の救いみたいなものにもなっていて。

炭治郎が倒していく鬼って、大体被害者ですよね。まぁ、鬼舞辻に鬼にされてるわけだからどうしてもそうなってしまうんですけど。

ただそれって、やっぱりどうしても現代の人、特にネット(ネットじゃなくてもいいけど)で誹謗中傷をばら撒いてる人を想起させてしまうんですね。

特に今回、鼓を持った鬼なんかはそうで、誰からも認められない人が鬼になってしまって、そこで元々は十二鬼月になったんですけど、それも人をたくさん喰いきれない(怖いな)からという理由で鬼舞辻に、その地位をはく奪されてしまうんですね。

鬼になってようやく認められたと思ったら、またダメになってしまう。そしてまた鬼舞辻に認められようと人を喰いまくる。なんだかすごいやるせなくて悲しい悪循環というか。

なんだかそれって、ネットで誹謗中傷垂れ流してる人物像と重なってしまうんです。認められなくて、誹謗中傷して、それに「いいね」いっぱいもらって、「いいね」が少なくなったら、また誰か攻撃する。その繰り返し。

それはネットじゃなくても、他人をやたら攻撃する人とか、特に何も行動を起こさなくても、腹に一物抱えてたりとか。

だから、炭治郎が鬼を殺す時、そういった人の「鬼」の部分をなくしてくれているようにも見えなくもなくて、だから炭治郎が鬼を倒す時、すごく悲しそうな表情してたり、一言声をかけたり。

多分、彼は鼻が鋭くて、その臭いで感情までがわかってしまう、ある種エスパー的な能力も持っているから、鬼の人生みたいなものも、わかってしまうのかもしれませんね。だから、悲しそうな表情したり、一声かけたりする。

だから、炭治郎が鬼舞辻を目指すということは、その鬼舞辻の被害に遭った元人である鬼を倒していくってことになるわけで、要は自分と同じ被害者と戦わなくてはいけないわけだから、ものすごく辛い戦いが、しかもこれから続いていくんだなぁ、ということを思うと、やはり、なんか、やるせないですね。いやぁ、吾峠呼世晴、性格悪いなぁ(^^;;

 

 

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「鬼滅の刃」第二巻ネタバレ有り感想。ズバット的展開かと思いきや、いきなりのマイケル登場?!


鬼滅の刃」全巻感想というマラソン企画、全23巻なので、まだまだ道のりは長いです。

今回はその第二弾ということですが、これが! 面白くなってきた!

いや前回の第一巻の時にですね、「売れてなかったら次買ってない」ということを言ったのですが、いやいきなり! 第二巻でドカーンと面白くなってきたのでびっくりしました。ここからが本域といったところでしょうか。

しかも……、俺好みの作風になってきた(主に絵)。

やっぱ、大正時代、いいッスね!

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丁寧な作り

第一巻ではですね、割と雑な作りだな、って正直思ったんです。台詞とかも紋切型だし、特訓のシーンも「もう終わっちゃうの?」ってくらい、ザッと描いていた感じだったし。

でも、二巻に入っていきなり様子が変わった感じですね。

それは二巻収録の最初の話。いきなり炭治郎が最初の難敵というべき巨大な鬼に勝つシーンから始まるんですけど、その鬼の過去、鬼になってしまった瞬間みたいなものを描いていたんですね。

その鬼は、多分飢餓感のあまり自分のお兄さんを喰ってしまったんです。それで、以来ずーっと一人きりで寂しくて不安で孤独だったんですね。何十年と。

それで、お兄さんを喰ってしまった後に、お兄さんのことを、ひいては人であった頃の記憶がなくなってしまうんです。鬼になってしまいましたから。

これは、すごく悲しいことだと思うんですよね。悔恨の思いすらなくなってしまう、というのは、そのお兄さんとの関係性すらもなくなってしまう、ということですからね。

後悔するっていうことは、その人との関係性が保たれてるってことだと思うんです。関係性がなければ、後悔そのものができません。だから、後悔するっていうことは、その人の中では、まだ関係性は切れていないとも言えると思うんです。

でも、それすらなくなってしまった。お兄さんの記憶をなくしてしまって、その最後の関係性すら断ち切られてしまった。これはつまりどういうことかというと、全くのひとりぼっちになってしまうわけなんです。

そして、自分が汚くなってしまった、蔑まれている、そういうことも、実はこの鬼はわかってるんですね。

でも、炭治郎はその鬼の悲しさがわかってしまうんです。彼は嗅覚が超人的に鋭くて、感情すらもわかってしまうんです。ある種のエスパー的なところがあるんだと思います。

そんな炭治郎は、自分が倒した鬼の手を取ってやるんですよね。

それが、その鬼にしてみれば、お兄さんの手のように感じて、何かこう、一つ救われるというか。

もう、いきなりこのシーンから始まるんですよ。これは、結構やられましたねー。グッと来るというか。

こういう、敵のキャラも掘り下げると、物語にグッと深みが増してきますよね。

また、和巳さんという、鬼に自分の、多分恋人、というか許嫁だと思うんですけど、その人を喰われてしまった人が登場するんですけど、この人が炭治郎の手を掴むシーンがあるんです。で、炭治郎の手に触れてみて、いかに炭治郎が厳しい特訓を積んできたか、わかるんですね。

第一巻では、特訓のシーンが割とあっさりだな、って思ったんですけど、こういう何気ないシーンでその凄まじさを表現している。こういう丁寧な描写が主人公の辿ってきた道を、登場人物にわからせているようで、実は読者に感じさせるというか。

とても丁寧な作りになってきたな、と思いました。

キャラ濃厚の登場人物

あと、二巻では新キャラがたくさん登場してくるのですが、みなさん、かなりキャラ濃いですね。

鬼殺隊試験に合格した子で、刀寄越せっつって試験官の女の子(男の子かもしれない)をブン殴る、首輪つけといた方がいいんじゃねぇか、って野郎が出てきます。

それから、日輪刀を打った鋼鐡塚さんは、齢三十七にして子供に相手に駄々をこねる人で、非常に大人げなくて可愛らしいですね。

あと何と言っても、珠世さんと愈史郎の二人。もう御二方とも非常に美しく、御耽美さんなんですけど、特に愈史郎ぼっちゃんが様子がおかしいw

もう、珠世さんにベッタベタに惚れていて、かなりの美少年キャラなのに頭の中はピンク色。この人はなかなか良いキャラですねぇ。

マイケル?

キャラと言えば、いきなり炭治郎の家族の仇である敵が登場したのには焦りました。この展開の早さ! 出し惜しみなしですね。

もちろん、これは「顔見世」ってやつで、まだまだこの仇敵との因縁は続くのでしょうが、物語の序盤も序盤で出すところが、非常にテンポの良さを感じさせます。

で、それはいいのですが、この鬼舞辻無惨(すごい名前だ)、モデルはマイケル・ジャクソンですかね? しかも「Smooth Criminal」のビデオの時(つまりは映画「Moonwalker」の時)の。

なんかすごく似てるんですけど。名前にも「舞」が入ってるし。

マイケルファンの俺としては、ちょっと嬉しい。

ところで、ちょっとマイ…鬼舞辻絡みで気になることがあります。

一巻では「傷口に鬼の血を浴び」ると鬼になり、基本的に「人喰い鬼はそうやって増える」そうだったんですけど、二巻に入ると、このマイ…、鬼舞辻しか鬼を増やすことはできない、ということになっています。

この二巻で、若干の設定変更があったのでしょうか。ちょっと謎です。

異形を連れる主人公

登場人物関係でもう御一方。炭治郎の妹君であらせられる禰豆子です。

第二巻からは遂に本格的に炭治郎を助け、鬼との戦いに参戦するわけですが、この感じがいいですよね。

人間である炭治郎が敵方と同じ鬼を連れている、ってのが矛盾した関係性でありつつ、何とも頼もしい。

この主人公が異形を連れてるってのが、ケレン味がありますよね。ウルトラセブンカプセル怪獣にも通ずるところあるというか。しかも、この異形が血を分けた妹というのもまた、哀しさを背負っている感じで、カタルシスがあります。

また、着物着て、太もも出して戦う姿は、どことなく「ドロロンえん魔くん」の雪子姫を彷彿とさせる感じで、個人的には非常にツボです。

で、この禰豆子を元の人間に戻すヒントは、他ならぬマイ…鬼舞辻なのですが、炭治郎が鬼を倒す時に、「鬼舞辻はどこだ?」って聞くんですけど、この感じがですねー、非常に「快傑ズバット」的で良かったですね。あ、そういう展開かな、と思ったらすぐに鬼舞辻を見つけてびっくりしたんですけど。

でも、復讐のために黒幕を追う、っていう展開はやっぱり似てるかな、と思います。

創意工夫のあるバトル

そしてやはり、二巻に入ってから本格的なバトル漫画になってきた感じですね。

鬼の能力や、それを相手にする炭治郎の戦い方も、一戦一戦それぞれ違っていて、目が離せないですね。特殊な能力に対して、主人公側が持ってる手札をどう使うか。ある種頭脳戦的な要素もあると思います。

なんとなく思い出すのは、やはり「ジョジョ」ですね。ジョジョのスタンド戦なんかも、そういった側面があると思います。

やはり創意工夫のあるバトル物は読んでいて、引き込まれてしまいますね。

ただ、炭治郎。鬼の口を黙らせる時、口を切るのは怖いし、グロすぎる。ジャンプの少年漫画って、たまに残酷すぎる描写が出てきますよね。しかも、主人公がそれをやるのは、ぶっちゃけ、ちょっと疑問ではあります。

大正浪漫は浅草から

そして何と言っても、浅草という都会に行ってからは、一気に大正浪漫味が強くなります。

これこれ! 大正を舞台にした漫画はこうでなくちゃ。

浅草という街の感じがね、やっぱいいですね。去年「いだてん」を見てたんで、それもちょっと思い出してしまいます(「いだてん」は僕の中では圧倒的歴代No.1大河ドラマです)。

特にその大正浪漫で御耽美な感じを強く醸し出しているのは、珠世さんと愈史郎の御二方ですね。珠世さんの「惑血 視覚夢幻の香」の花模様などは、もうホント御耽美。それを背景に佇む御二方は綺麗の一言ですね。

だからまぁ、なんというか、大正御耽美バトル漫画とでも言うべきもので、何と言うか、超俺好み!

 

 

 

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「鬼滅の刃」第一巻ネタバレ有り感想。大ヒットの裏には吾峠呼世晴の心意気があると見た!


鬼滅の刃」をですねー、買ってきましたよ!

ここまで売れるとね、そりゃ気になるってもんで。

アニメも気になるけど、やはりその元となった原作本を読みたい。やはりオリジナルを知りたいですからね。

それで、まぁせっかくだから、この機会に最近流行りの電子書籍の漫画を買うことにしました。

今回僕はebookjapanで買ったんですけど、クーポンとかでかなりお安く手に入れることができました。

そして、せっかくなので、一巻ずつ、全巻感想を言ってしまおうというマラソン企画を立ち上げることにしました。
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絵ェ下手。しかし…!

先ず最初の印象は、絵ぇ下手だな、ってことでした(笑) まぁ、長期連載の一巻あるあるっちゃあそうなんですが、それにしても下手だな、と……。

ただ、ですね、その下手さ加減が悪くなくてですね、なんとなく、その作風が伝説的雑誌「ガロ」にでも連載していそうな、いわゆるガロ系ってやつですか、そういうのを彷彿とさせる感じで、悪くないですね。

それから、ところどころの描写が可愛い! 例えば、太陽の光が怖くてカゴの中に困った表情で隠れている禰豆子とか。

こういう演出って、最近の漫画ではあまりない印象。80年代の漫画とかには割と頻繁に出てきた表現だけど、こういう感じ、すごく好きです。

どうしても、殺伐とした内容ですからね、こういうのがあると、何かこう、読んでいて救いになるというか。

色々とあっさり

ただ、話としては色々あっさり、かなぁ、と……。

例えば、修行のシーンでも、割とあっさり師匠の難題をクリアしちゃう印象。もちろん、傷らだけになって帰ってきたりするんだけど、なんというか、時間が早いというか。

読んでて、この苦難がもう少し続くのかな、って思ったら、「あれ、もう?」っていう感じ。

テンポの早さを狙っているのでしょうか。個人的にはもう少し溜めて欲しいかも。

あと、セリフの感じがですね、紋切り型な印象は否めないですね。心で思ってることを全部セリフにしてしまっているというか。全部説明しちゃってる感じ。

ここもちょっと、余白というか、読者に想像させて欲しい気もします。

気になる点

あと、ちょっと引っかかったのは、第一話で鬼殺隊の人である冨岡義勇という人がですね、結構な強さの強要というか、弱者の権利も何も全否定するんですよ。

ここ読んだ時、ちょっと、うーん……、となってしまいまして。

これは、その後師匠ともなる鱗滝左近次という人も割とそんな感じなんですね。

まぁ、確かにその通りだし、そういう状況でもある。しかし、そう正面切って言われると反発もしたくなる。まぁ、ここら辺も紋切り型な印象を受けたところなのですが……。

世の中、弱い人ってのは絶対いますからね。それは色んな状況でそうなってしまって、そこから抜け出せない人も絶対的にいるし、い続けるんです。

そして、弱い人の方が、圧倒的に多い。

弱い奴には権利なし、っていうのは強者の理論なんですよね。

そりゃ、強いお前はそう言って気持ち良いんだろうけど、言われたこっちはたまったもんじゃねぇよ、と。

何か、ファッショなものも感じるし、資本主義的なものも感じるし、体育教師的なものも感じるし、校内カーストみたいなものも感じてしまいますね(笑)

あともう一つありましてですねー、鬼殺隊への入隊希望の面々がみんな子供なんですね。

ここもちょっと、引っかかってしまいまして。

何でそんなに子供を戦場へ行かせたがるのか、って感じですねー。

ジャンプ連載だからだよ!と言われればそれまでですが(笑)

なんか、日本人って、子供を戦場に向かわせるの好きですよね。そういう伝統って、なんかあるような気がする。

子供を大事にする一方、子供を「消耗品」と捉えているようなところが、どこかあるような気がするんですよね。

ハッとするシーンも

そうは言っても、色々とハッとするようなシーンもありまして。

炭治郎が岩を叩っ斬るシーンなんかは特にそうですね。

先ず、錆兎にようやく勝てた時の錆兎の、あの表情!

まだまだ一巻だから、さっきも言ったように絵は下手だと思います。でも、この表情はすごい! 泣きそうな、嬉しそうな、安心したような、というその笑顔の感じがですねー、ホントにそんな感じなんですよ。

ここねー、ここは、さっきと言うこと違いますが、全然説明していない、読者に感じさせるところですよねー。

錆兎も鱗滝さんと同じく、本心は岩を斬って欲しくなかったと思うんですよね。岩を斬ってしまえば、その先にあるものがわかるからです。

でも、岩斬りは炭治郎の念願でもある。そして、そんな炭治郎に期待する、ある種すがるような思いすらあったかもしれない。

そんな、なんとも言葉では表現できない感情を、あの「笑顔」で表現してるんですよね。

この表情の表現はすごかったですね。

そして、岩を叩き斬った時の演出ね。ここもすごい! ハッ!としましたもん。錆兎に勝った、と思ったら、それは岩だったという。

そういえば、この岩には注連縄がありましたもんね。最初、これ斬っちゃっていいのか? と思ったら、そういうことだったんですね。

売れる理由は作者の心意気!

そんな感じでですね、色々思うところもありつつも、さすがと思わせるところもあったんですけど、まだまだ一巻ということで、物語は序盤も序盤、といった雰囲気。

ただ、例えば「ワンピース」みたいに第一巻か捕まれて根こそぎ持っていかれて大ファンになっちゃう、っていう強さはないですね。多分、ここまで売れてなかったら、正直次巻買うかどうか迷いますもん。……買わないかな。

この一巻の段階で、後の大ヒットを予想した人はいなかったんじゃないかな?

しかし、ですね、この大ヒットには僕は理由があると思います。それは、作者である吾峠呼世晴の心意気です。

第一巻には「感謝の言葉」として自筆で綴られたメッセージが掲載されているのですが、漫画は生きていくために必要なものではない、と言い切ってるんですね。漫画は不要なものだ、ということがわかってるんですね。

漫画だけではありません。映画も、音楽も、絵画も、みんな生きていく上ではいらないものばかりです。

そこをわかってるのとわかってないのとでは全然違うと思います。

不要なものだけど、でも書く。書かずにはいられない、というか。

そして、買ってくれた人への感謝を忘れない。

その心意気が、大ヒットに繋がったのではないかと、僕は思います。

人が食われる話は高確率で売れる

この漫画のことはよく知らないで買ったのですが、基本的な世界観としては、人を食う鬼がいるんですね。まぁ、人が食われるということです。

最近、ここ十年くらいかな?人が食われる漫画が高確率で売れる気がするんです。

進撃の巨人」「東京喰種」そして「鬼滅の刃」。

三つともメディア展開もして、それぞれメガヒットしてる。

人が食われる、ということが何か日本社会の病理を反映しているようにも感じます。

上級国民問題、全人口のわずか1%の富裕層、広がり続ける格差、世界的な右傾化などなど、思えば人が人を食っているとも言える社会が年々広がっていると思います。

読者はそのことに敏感に反応しているのかもしれない。

 

 

 

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「PSYCHO-PASS Sinners of the System Case.1 罪と罰」ネタバレ有り感想。俺は宜野座大好き、霜月大嫌い!

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霜月が主役ということで、観ようかどうしようか悩んだのですが(霜月が大嫌いなため)、やはりPsycho-Passということで観に行くことにしたのが「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰」です。

観てみたら、めちゃくちゃ面白かった! さすがはPsycho-Passですね。

脚本、作画、演出など、作品自体の質も非常に高かったし、モノレールが走る更生施設の描写など、近未来的な映像は今回もカッコ良かったです。

未来の日本の縮図

今までのPsycho-Passは「現代日本の縮図」っていう側面が強かったと思うんです。でも、今回はそればかりか、将来の日本の姿にまで踏み込んでいたと思います。相変わらずの攻めの姿勢を見せつけてくれましたねぇ。

この作品世界のおそらくは百年前、つまり現在の日本ですね、そこで行われた(行われる?)ずさんに投棄された核廃棄物の運搬、そしておそらく再利用(そこまでは描かれていなかった)という題材は、なんというか、日本の危険な未来予想図って感じがします。

また、核廃棄物運搬の隠れ蓑としての犯罪者の更生施設の管理は集団心理によって行われているんですね。その管理の仕方は、なんとなく現代日本国民の心理にも通じるような気がします。なんとなく、戦前の隣組とか、江戸時代の五人組とか、脈々と続く日本の管理制度というか。それは間違いなく現代にも残ってますもんね。

でまた、そこの施設がですねー、どことなく宗教的な雰囲気を醸し出していたのも印象的でしたねぇ。

宜野座かっけぇ!

やはりこの作品の見所は、何と言っても宜野座でしょう! 宜野座は一作ごとに成長してて、どんどん柾岡のとっつぁんに似てくるのが良いです。シリーズが進む毎に好きになってく!

今回、敵のすんげぇ強ぇ奴にボッコボコにされてしまうのですが(でも勝つ)、今後どんどん強く、たくましく、頼りあるキャラになっていくのでしょう。なんせとっつぁんの実の息子ですからね。そうなってもらわなくては困るし、そうなる資質もあるはずです。

また、明らかに狡噛のことを「親友」「正確に言うと腐れ縁」と、懐かしそうに語る場面も良かった。何かこう、「成長」とか、「吹っ切れた」とか、そんな印象を受けます。

そして! 自分を称して「年寄くさいかな」と言ってみたり、子供に「おじさん」と言われても普通に受け入れていたところが、なんか、ホントに成長したなぁ、と思わせます。昔は万年生理って言われてたのになぁオイ!

それと同時に、物語中の時間も随分経過しているのだなぁ、としみじみ思ってしまいます。

霜月いらねぇ!

霜月はですねぇ、それまでは「シビュラシステムの奴隷」だとばかり思っていたのですが、今回シビュラに対して非常に懐疑的であることがわかったり、人を捨て駒として使うことに怒りを覚えていたりと、若干のキャラ変はあった感じですかねぇ。

やはり曲がりなりにも、今回主役的な立ち位置ですからね(今作の本当の主役は宜野座だと個人的には思ってる)。まぁ、そうした主役属性も入れておかないと格好つかないですからね。まぁ、そういった意味では霜月には身に余る光栄を噛みしめて欲しいですね。

とはいえ、です。しょせんは霜月。

潜在犯は殺しても問題ない、と冒頭で語っているあたり、その精神性の根っこのところでは今回の「敵」と実は何ら変わりないのです。

また、簡単に「正義の味方」などと口走る人間は到底信用できん。

「正義」とは不寛容の象徴であり、そいつが振りかざす「正義」以外はどう扱っても良い、という思想に直結するし、「悪」の方から見れば自分たちの方が「正義」となってしまいます。

そんな、底の浅い「正義」感を振りかざし、自己陶酔的な俺様感も相変わらず。結局、しょせんは霜月、です。

今回の映画でも、霜月を無理矢理活躍させたり、あまつさえ特に痛い目に遭うこともなく、なぜスタッフがこのキャラをここまで大事に丁重に扱うのかは全くの謎ですね。それがこの作品一番のミステリーかも。

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