「ジュラシック・ワールド/炎の王国」がですね、世間的には非常に人気があるみたいなんですけど、僕すごく嫌いでw
前作がひどかったので、観に行く時も全然期待していなかったんですけど、今回は前作以上に変な方向へ進んでいたと思います。
期待すらしてなかったんなら、観に行かなきゃいいじゃん、と思われるかもしれませんが、そこはそれ、恐竜好きとしては行かなきゃいけないのがジュラシックパークシリーズなのです。
良かったところは、少しあった
良い点としては、冒頭がすごく良かった。これぞジュラシックパークという感じ。そういった意味ではすごく期待させたんですけどね。
あとは、暗闇にいる恐竜を徐々に出していく感じはすごく上手かったと思います。何よりカッコ良かったし。こういったところは、さすがハリウッド映画という感じですかね。しかし、そこまででしたねー(^^;;
恐竜を愛玩動物にすんじゃねぇ
全体としては、まぁやっぱりダメで、やはりシリーズ物はどんどんダメになっていく宿命にあるのかなぁ、と思わざるを得ません。
まぁ、今シリーズはマイクル・クライトン原作じゃないですからね、仕方がない面もあると思います。やっぱりマイクル・クライトンはすごかったのです。
じゃあ、今シリーズの何が嫌かって、恐竜をペットに貶めてるところです。今作も前作同様でした。
全体を流れていたのは「恐竜可愛い」という非常に軟弱なコンセプトだったんです。
違っげーんだよ! そーじゃねーんだよ恐竜は!
あのな、デカくて強くて怖くて、それでカッコいいのが恐竜だろ?! 可愛さの欠片もないし、そんなもん、あっちゃいけねーんだよ! うらあ!
恐竜ってのはな、音楽で言うとメタルなんだよ!
もう、全然わかってねぇ。
そんな感じで、少し取り乱してしまいましたけどもね、恐竜を愛玩動物にしようという意図が明らかでした。
その一方、パニック映画としても描かなくてはならないので、その両方で引き裂かれているような感じでしたね。
今作の動物愛護は違う気がする
そんな「可愛い」恐竜ですから、動物愛護的な視点で物語が進行してしまっているんです。
動物愛護、いいですよ。僕だって、ペットを捨てたり、虐待したりするニュースを聞く度に、ホントに気分悪くなるくらい怒りが湧き出るし、絶滅危惧種の話を聞くと暗澹たる気分になってしまいます。
でも、今作の恐竜に関してはそれは全然違うんです。
なぜなら、ジュラシックパークの恐竜は人間が遺伝子操作で強引に生み出してしまったものだからです。謂わば、特定外来種を自ら生み出してしまった感じ。つまり、人間の過ちなんです。だから本来なら駆除しなくてはいけないのに、あたかも良いことをしたかのように保護している。
まぁ、これもね、人間の都合で生み出された生物を人間の都合で排除するってどーよ?的な視点もあり、だからこそ大事にしなくちゃー、みたいな論も成り立ちはすると思います。
でも、僕はそうは思えなかった。
本来存在するはずのないものを生み出したのなら、やはり駆除しなくてはいけないし、そうして駆除してしまった罪を永遠に背負って、二度とそんなことをしないようにしなくちゃいけない、と思います。
また、その点に対して、主役側の登場人物がえらい無自覚無反省なんですよね。そこにすげえ苛立ちを覚えてしまいます。
ただ、数学者であるイアン・マルコムが人間の所業について警鐘を鳴らしているのは、製作者側のせめてもの良識を見せた感じでしょうか。
テーマ拡がりすぎ
物語はその後、遺伝子操作で生まれた人間の子供まで登場させてしまうんですね。もう、これ完全な迷走でしょう。
遺伝子操作で作った恐竜ってのは、この物語の根幹を成すテーマ、究極の科学は進化か暴走か、ってのがあると思うのですが、それを人間にまで拡げちゃダメでしょ。
テーマが拡がりすぎちゃって、なんかボヤけるし、何より主役であるはずの恐竜までボヤけてしまいます。だって、恐竜を復活させるのならまだしも、人間を遺伝子で作っちゃうってなったら、恐竜よりも大問題でしょ! そっちで映画一本取れるわ。
しかもですね、その子が遺伝子操作で生まれたっていうことの分かり方も、なんか唐突なんですよね。決してドラマティックではなかったんです。いや、一大事でしょ!
で、更に、ラストにその子が恐竜を野に放ってしまうんですね。おいおいおい!と。何してくれてんだ!と。
映画では「優しさ」の象徴のような演出が成されていたんですけど、冷静に考えてみれば、これ悪の所業でしょ。ここも納得がいかなかったですねー。
もうこれ、恐竜映画じゃねーよ
あと、新恐竜なんですけどね、もう恐竜じゃなくて、単なるホラー映画のクリーチャーですよ、アレ。なんか、カッコ良さよりも不気味さが勝っちゃってるし。こういったところは、西洋人のモンスター観が出てる感じですよね。
モンスターとは人間が対峙すべき対象であるから、不気味であったり、気持ち悪くなければならない。
逆に日本人にとって、怪獣とは畏怖すべき対象なので、神々しかったり、カッコ良くなければならない。
ここらへんの違いですよね。
そんな感じで恐竜がメインのはずの映画なのに恐竜を描けていない、というパラドックスに陥ってしまっていた、まぁ、駄作ですね。