azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「ひるね姫~知らないワタシの物語~」ネタバレ有り感想。食べるの下手だけど、漫画映画と写実アニメが同居。

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以前ノイタミナで放送していた「東のエデン」が大好きで、それ以来、神山健治にも注目するようになりました。

で、その神山健治の監督作ということで、「ひるね姫~知らないワタシの物語~」を観ました。

モロ俺好みの作品でしたねぇ。やはり神山健治の作風は肌に合うというか。

基本、テーマ的にはそこまで大きくはないと思います。

ただ、そうは言いつつも、「東のエデン」から脈々と続く、団塊の世代に対する憤り、ひいては日本の社会システムに対する憤りみたいなものは作品の根底にある感じ。

ちなみに、団塊の世代、日本の社会システムについては、個人的にはよくわかりません。

一粒で二つ美味しい

ココネの夢では宮崎駿から受け継いだような漫画映画、現実世界では超近い未来の日本をリアルに描くアニメ映画、という感じですね。

僕的には両方とも大好きな描写なので、まさに一粒で二度美味しい映画と言っていいでしょう。

しかも両方ともクォリティが高い!

言ってみればデフォルメされた世界と、写実的に描く世界というのは、両極端なアニメの魅力なんだと思います。

漫画映画は、アニメならではの、アニメでしかできない動きを描くことができ、これはわかりやすくアニメの強みだと思います。

一方、リアルで写実的な描写は、絵でリアルに描けば描くほど、現実とは違う、現実の中に潜む、もう一つの現実をあぶり出してるような印象を与えます。同じだけど同じじゃない。

これも実写ではできない、もう一つのアニメならではの強みだと思います。

個人的には、この二つは「異世界を体感する」という点で同義だと思うのです。

ひるね姫」は、そんな「アニメならでは」の魅力をきっちり二つとも描いていたと思います。こういう作品は少ないと思います。その点では、なかなか希少な作品と言えるのではないでしょうか。

食事シーンは残念

ただ、やはり残念なのは食事の食べさせ方ですねー。新海誠もそうなんですけど、食事の食べさせ方が下手。

映画やドラマで、よく出てくるのが食事シーン。やたらと出てきます。

これはどんな作品観ても同じだと思うのですが、とにかく映画やドラマにおいて、食事シーンは必須なのか?というくらい食事シーンが出てきます。

これ、必須なんです(多分)。

なぜなら、映画やドラマは所詮作り物です。役者が演じてはいますが、フィクションであるならば、その登場人物は存在していません。

なので、その現実には生きていない人物を「生き物」にするためには、食事を摂らせる必要があるのです。生きるものは栄養を摂取しないといけません。栄養の摂取、それは取りも直さず食事です。

ものを食わせりゃ生きてるように見えるだろ、ということで映画やドラマ、あるいは小説やマンガなどでも、登場人物に食事をさせるのです。

実際に生きている役者を使っている実写映画やドラマですらそうなのですから、ましてや絵を動かすアニメでは食事シーンは必須中の必須。生きている感じのしないキャラクターには感情移入できません。

しかし、残念ながら、特に最近のアニメ作家は、その食事のシーンが下手な人が多い。だから、もうひとつ「生きない」んですね。

ここらへんの描写は、やっぱりジブリ系の人がうまいと思います。

例えばカリ城ジブリの親玉・宮崎駿!)では、ルパンが『マルちゃん赤いきつね』を食べますが、麺ではなく、いきなり揚げを食うんですね。

普通はうどんを食うとなると、先ず麺を啜らせるところから始まると思うのですが、いきなり揚げです。この、定型とは違う感じの動き。いきなり一工夫ありますよね。

そしてこの「いきなり揚げを食う」ところに、ルパンの性格的なものをも、表しているようにも思います。

こういった癖のようなものを描くことで、そのキャラのアウトラインを観客に感じさせることもできるのです。

そして、その揚げを食う時、ルパンは熱がるんですね。そりゃそうです。熱湯で作ったばっかりなんですから。

これはアニメで、ルパンは絵なのですから、温度なんか感じません。でも、こうして熱がらせることで「生きてる」感を演出するのです。しかも、「ちょっとだけ」熱がるんです。この「ちょっと」が気が利いてますよね。

こういった、一見無駄な動きを丁寧に描くと、キャラが「生き始める」んです。

こういうところが、最近のアニメ作家にはないような気がするんですよね。ここらへんは今回残念だったかな。

全体的にはやっぱり良かった

しかし、夢と現実の合わせ方は非常にうまくいってると思うし、男親の確執を埋めたのは女の子だったのも良かったと思います。

声優もすごく良かったですね。特に主演の高畑充希はホント素晴らしかった。女の子自体も魅力的なキャラだったと思います。お父さんもカッコ良かったですねぇ。

最後の主題歌「デイドリームビリーバー」は映画を観終わった後、特にグッときますね。お父さんのお母さんへの思いが凝縮されてる感じ。それをココネちゃんが歌うのがまた良いんですよねぇ。

しかし高畑充希は演技も良かったけど、歌も上手い。この主題歌を持ってきたり、キャストの選び方など、神山健治はホントセンスが良いと思います。

ただ、ラストの夢のクライマックスは現実で何が起きてるか、ちょっと意味不明でしたかね。でもまぁ、個人的には、なかなかの傑作だったと思います。
 

 

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