azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「ムタフカズ」ネタバレ有り感想。スタジオ4℃の世界観最高!!

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スタジオ4℃というアニメ制作会社が大好きなんですけど、去年はね、「海獣の子供」という大傑作が非常に話題をかっさらった感じだったですが、一昨年にも一本作ってまして。それが「ムタスカズ」という作品でした。

その時はスタジオ4℃の久々の映画ということで期待大だったんですけども、期待通りの作品と言えたと思います。

スタジオ4℃と言えば、街並み!

この作品の陰の主役というかもう一つの主役は街、そして世界観であると思います。そこはスタジオ4℃の大きな魅力の一つ。

基本的にはアメリカが舞台なんですけど、非常にヒスパニックな雰囲気ですね。そしてサイバーパンク的。汚くて不潔で雑然としてて、混沌としてるんだけど、全体としてお洒落でセンスが良くてカッコいい街、という感じです。

アメリカが舞台なんだけど、これをフランス人と日本人が作ったというのはちょっと面白いですね。部外者だからこそ描ける無責任な感じというか。ベイマックスでもね、日本が舞台だったんですけども、作ったのはアメリカ人という。そうやって、他国の人がその国を舞台にして作ると、また違った感じがして新しいものやカッコいいものが生まれるという感じでしょうか。

視点ってのが一つ、重要な要素かもしれませんね。その視点っていうのは、ネイティブじゃない故のものの見え方というか、ある意味、まっさらな、先入観なしの見え方と言いますか。どうしてもね、そこで生まれ育ってると、色眼鏡というと言い方悪いですが、先入観ってのは外せませんからね。

またですね、主人公のリノが途中、宇宙人に捕まっちゃうんですけども、その施設がですね、非常にスチームパンク的でカッコ良かったです。スチームパンク大好きなんですよ、僕。サイバーパンクとはまた違った、そうはならなかった未来文化のもう一つの可能性というか。そのまた、同じ作品で世界がクルッと変わる感じがね、しかも描いてるのがスタジオ4℃だし、ファンにとっては一粒で二つ美味しい感じでした。

キャスティングが絶妙

そんな感じで、先ず街並みのカッコ良さに惹かれたんだけですけど、主役のリノの声がですね、なんか変なんですよ(^^; もちろん、普通の声優じゃないなぁ、とはすぐわかったけど、妙に下手。でもなんか良い。

誰かと思ったら、そういや草彅剛が声を充ててたなぁ、と思い出しまして。こういうところは非常に草彅剛らしいよね。基本的には、ま、言っちゃ悪いけど、演技とか下手なんだけど、ものすごく存在感がある。

やる気なく無気力な感じで、それでいてどこかザラザラした声質は非常にこのキャラに合っていたと思うし、うまく演じてると思います。

他のキャラクターも基本的には非声優系の人たちが多かったんですけど、悪役のボス的なキャラには専門の声優を使ったりして、脇を固めるというか、締めているあたり、非常にキャスティングが上手い印象です。

ヴィンスの柄本時生も良かったですけど、特に良かったのはウィリー役の満島真之介ですね。特徴的な声は最後のテロップを見るまで満島真之介だとは思わなかったくらいです。そして何より、本編終盤、そしてエンドロールのウィリーのラップが素晴らしかった! まさか満島真之介だと思わなかったからびっくりしました。

後々調べたら、ラップの場面は即興で歌ったらしくて、それが好評でエンディングでも歌うことになったという。演技もラップも素晴らしかったですね。いやあ、満島真之介、素晴らしい役者だと思います。

面白かったけど、最後は俺的にはちょっと…

物語の方はというと、謎の多いディストピア的な宇宙人陰謀論で、SFサスペンスという感じで面白かったです。

でも、全体的にはグロすぎましたかねぇー(^^; これは人を殺すとはどういうことか、暴力とはどういうことか、を描いているようにも感じはしましたが…。だとしたら、その思想は北野武と共通するもので、基本的にはこの作品がヨーロッパ映画であることを思うと、たけしの影響はあるかもしれないですね。たけしの映画はヨーロッパでは絶大な人気があるから。

また、主役のリノは宇宙人と地球人の間の子供、ということで外見的に普通の人間と違うのはわかったんですけど(序盤、不思議だった)、ガイコツ頭のヴィンスやコウモリのウィリーは一体どういう経緯で人間社会にいるのか、この二人は謎の人物のままで、結局最後まで語られず、そこはハッキリわかりたかったですね。

で、ラストなんですけどね、一番盛り上がるクライマックスのところ、ちょっと自分的には締まらなかったように思ってしまいました。

レスラー軍団とリノたちが共闘するのかー、と思ったらそうではなく、最後リノのピンチを救うのは街のカラーギャングで、そして、特にリノとは関係ない。たまたま、という感じ。

しかし思うに、よくよく考えたら、プロレス軍団は宇宙人と敵対しているわけで、だとするとリノも半分宇宙人だから、彼らの敵なわけです。そうなると、宇宙人の弱点である、雪を降らせてしまったら、リノの生命も危ないことはわかっちゃって、そういう作戦を立てるのは難しく、おそらくその手は使えずに、話は進まない。

リノと全く関係のないカラーギャングに命を救われるのも、そういう偶然性で物語が終演へと向かうのはヨーロッパ映画には割とよくある印象です。

人生とは個人の力の及ばない不条理なもので流されるまま、という思想が根底にありそうなヨーロッパ映画らしいと言えば、そうかなぁと一定納得はできます。そこがストーリーありき、構造ありきのハリウッド映画とは根本から違うところだから、まぁ、らしいと言えばらしいのでしょうか。

ま、とにかくですね、そんな感じでわからないところもありつつも、スタジオ4℃の絵や世界観を堪能できたので、なかなか良かったと思います。

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