「MY GENERATION」という60年代のイギリス文化を総括したようなドキュメンタリーがありまして。やはり60年代が好きな自分としては当然観に行きました。
その当時の映像にその当時のカルチャーリーダーのインタビューを被せて、当時を振り返りつつ疑似体験させるような内容だったので、この映画もまたちょっとしたアトラクションみたいな映画でしたねぇ。
そういった意味で、60年代(ごめん、より正確に言うとビートルズ)大好きな自分としては非常に楽しく嬉しい映画でもありました。
やっぱりビートルズ!
60年代ということで、当然のようにポールもインタビューに答えています。
ビートルズのライヴ映像や当時のインタビュー、写真など結構尺を取られていましたね。「Strawberry Fields」と「Tomorrow Never Knows」も長いこと流してたし。まぁ「60年代のイギリスと言えばビートルズ」だから当たり前なんだけどw
それにしても、ポールもその当時かなりトンがってましたねぇ。薬物についてのインタビューではかなり挑戦的でした。まぁ、確かにインタビュアーが割と喧嘩売ってる感じだったのですが…。
また、クラシックについても「大したことない。ポップスと同じ」と仰られていて(^^;; しかし考えてみれば、これはアストリット・Kの家でクラシックにハマってレコード聴きまくってたポールならではのセリフですね。当時の若者としてはてらいなくクラシックにも楽しんでたなぁと。
あと、ジョンと二人で300曲くらい作ってたそう。もちろん、対抗意識バリバリだったらしいですw
また、ロックと言えば、ラジオでロックは規制されていたらしいんですよね、当時。だから、海に出て、船の上からラジオ放送してロックかけまくってたのは、「ロックンロール パイレーツ」で観た通りでしたね。そういやあの映画は史実を元にしてたんだよな、と思い出しまして。
このシーンで、案内役のマイケル・ケインが「規制された人間は抜け道を見つける」と言ってニヤリとしていたのが良かったですね。
錚々たる著名人!
ビートルズ意外にもですね、ストーンズ、ザ・フー、デビッド・ボウイなど錚々たる面々がインタビューに答えてたのですが、そういうロックのジャンル以外にも、ツイッギーなどのモデル、カメラマン、デザイナー、美術家などなど、様々な分野のアーティストの活躍とインタビューが紹介されていたました。いややっぱ60年代ロンドンすげえなぁ。
それしてもツイッギー可愛かった。
ま、ホントにねぇ、改めて見ると60年代の文化は最高で、その当時の世界はおろか、今に至るまでも影響を与え続けていると思うんですよ。大体今あるいわゆる「若者文化」の原型がここで作られたのかなと。
バンド(今はDJですか)やって、ライブやって騒いで、みたいなね。ファッションなんかも奇抜で、みたいな。
だから、この世代の上と下では世界的にもかなりの断絶があるんじゃないかなぁ。ビートルズとかで騒いでいた人たちとは、なんとなく分かり合えるし、今の、クラブで踊ってるような若い子たちの気持ちもわかる。だけど、更にその上の老人たちの気持ちは今一つわからないんですよね。ノリが違うというか、文化が根本から全然違っちゃってる。それはやっぱり、60年代のロンドンが決定的に変えてしまったのかな、と思うんです。
二つの闘争が文化を育てた
映画の中では上の世代は世界の半分を支配した大英帝国時代に固執してるんですけど、言ってみれば、ここで描かれる若い世代は文化で世界征服したんですよね。
これだけの後にまで続く文化を作れたのは、おそらく上からの締め付けや押さえつけが激しかったから、というのもあると思います。
イギリスはやはり権威主義の国なので、その階級的がんじがらめ感は結構映画でも描かれていました。またそれが伝統ともなっていたので、「権威を乗り越えようとする若い世代」に反発を覚えるんですね。反発が反発を生んだんです。
こうして、階級闘争と世代間闘争という、二つのベクトルの闘争が混ざり合うことで、若者はもう全てに反発しちゃって、自分たちが新しいものを作るんだ!って躍起になって、そのパワーが新しい文化を花開かせたんだと思います。
70年代、80年代、90年代と、後のそれぞれの時代のロンドンも魅力的だとは思うんですけど、やっぱりある意味60年代のロンドンこそが、ポップカルチャーのもっとも良い時代、地域であったように思うんですよねぇ。
旧態依然とし、形骸化した、納得のできない権威に異を唱え、また反戦を掲げ、差別や暴力と戦った。若者が純粋に正義を求めた時代でもあったように思うんです。羨ましいなぁと。そしてその中から、後の何十年にも渡る基盤となるような文化を生み出した。やはり文化は反発の中から生まれるのかもしれない、という思いを改めて強くしました。
でも、もちろん良い面ばかりじゃなくって、60年代文化の暗部、ドラッグにもこの映画では焦点を当てていました。これは逆に現代まで続く負の影響ですね。これは確かに文化と密接に繋がってもいたので、非常に皮肉ですよね。素晴らしい文化も作ったけど、とんでもない害悪なものまで、後の世代に引き継いでしまったという。
そしてそのドラッグが60年代の文化に幕を下ろし、映画もエンディングを迎えます。
とはいえ、今の方が便利だけど、60年代のロンドンの方が今よりも断然面白くて、輝いていて、楽しくて、活気があったのだとは思います。60年代のロンドンで20代を過ごした人たちは世界の歴史の勝ち組である、というと、ちょっと言い過ぎでしょうかね。