azzurriのショッピングレビュー

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僕が買ったもの、観に行った映画・ライヴなど、要は金を払ったものに対して言いたい放題感想を言わせてもらおうというブログです。オチとかはないです。※ネタバレありまくりなので、注意!

「夜明け」ネタバレ有り感想。湯たんぽって温かいよな。

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「夜明け」という映画があってですね、ま、言ってみれば「是枝裕和一派」の新人監督の作品なんですけど。主演は柳楽優弥で、小林薫が準主役。

正直ちょっとわからないところもあるんですけど、なんか寂しい作品で、心には残る、そんな作品で。

男という寂しい生物同士の、お互いに足りないところを埋めようとして埋めることができない、そんな話です。息子を求める男と、家族と人生に失望した若者の、すれ違いの話。

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是枝裕和一門、といった感じ

一気には説明せず、全体を通してジワジワと、しかも、かなり「わかりにくくわからせる」やり方は是枝裕和とやっぱり似てると思います。

でも、そのジワジワくる感じが、やけに生々しくリアリティがあるんですよ。それで見応えもある。終わってみれば、かなり丁寧な作りであったことがわかります。

あと、湯たんぽがね、非常に良い小道具でしたね。湯たんぽの暖かい感じや、主人公の柳楽優弥が、その湯たんぽを小林薫の布団の中に毎晩入れる感じが、二人の関係性の象徴のようにも思えて、すごく良かったですね。

また湯たんぽって、はじめ暖かいけど、冷めるんですよね。

冒頭のシーンが秀逸

最初のシーンがとても良かったですねぇ。

明け方、車のライトが走る遠景なんですけど、それがやがて実はフォーカスは橋の上の人物だったことに気付かせるんです。

それは花束を持った柳楽優弥。バックに流れる弦楽も良い感じ。ただ、これ以降音楽はほとんど流れません。それがまた良かった。

で、この花束がずっと謎だったんですけど、実はこれ「半ば放火した」ファミレスの店長を見舞った時のものだったんですね。

そしてなんで冒頭で自殺未遂たかっていうと、店長が既に死んでいたからだったんです。おそらく自責の念と、これまでの人生のつまらなさ、寂しさからだと思います。この点もずっと謎だったんですけど、これも観終わってからわかる感じでした。

なんとも言えない、「仮想父子」の微妙な距離感

小林薫が演じる男は息子を亡くしていて、主人公がたまたま名乗った偽名が息子の下の名前と同じだったんですね。後からわかるけど、風貌まで似ていたんです。それで主人公に息子を重ねてしまって。

そこからずーっと、息子を重ねていく様が全編を通して綴られていくんです。

主人公は主人公で家族とうまくいってなかったんですね。だから、彼の方でも家族を補完するようにこのおっさんの家に居候するんです。それが途中までは割と良い感じに進んでいくんです。

でも、柳楽優弥の方はだんだん、そんな小林薫の情がですねー、重荷になっていっちゃうんですよ。この感じがちょっと辛いというか切ないというか。

で、一回逃げちゃうんです。小林薫が失ったものを取り戻そうとする、そのいびつな願望を見て、これではいけないと思ったんですかね。で、一度は戻るものの、柳楽優弥小林薫の再婚式の最中、その再婚で柳楽優弥は義理の息子になる予定だったんですけど、自分が偽名を使っていたことをみんなの前で明かして、出て行っちゃうんです。

本当は「息子」は…(俺の個人的解釈)

一見、小林薫の再婚式、また小林薫の情を台無しにしたように見えるんですけど、よく考えたら、あのまま柳楽優弥がいたら、再婚相手と小林薫はうまくいかなかったと思うんですよね。小林薫もいつまでも解決できない夢の中のままです。だから、ひょっとしたら主人公は「あえて」ああいう行動に出たのかなぁ、って思うんです。

それが証拠に、再婚相手には連れ子がいるんですけど、その子は柳楽優弥が作った再婚式のプラカードをずっと触っていたし、小林薫はその子の様子をじっと見ていあした。

また、音だけだったけど、柳楽優弥が最後に向かった先は木工工場だと思われます。そこで、「息子を木工職人にする」っていう小林薫が見ていた夢を叶えに行ったのかもしれない。柳楽優弥はトラックの中で木工の参考書を読んでいたシーンもあったので、彼自身、やろうと思っていたのかもしれません。

父親と息子の関係性はやはり非常に難しく、すれ違いばかりで、寂しいものがあります。だからこそ、お互い干渉し、関わりを持とうとするのかもしれない。

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