2019年劇場アニメ当たり年の中で、最も「嬉しかった」となると、個人的にはこの作品です。
「コードギアス 復活のルルーシュ」!
いやぁー、TVシリーズはホントに大傑作で、一番好きなロボットもののTVシリーズだったかもわかりません。
毎回毎回の展開や戦術の面白さ、加えてルルーシュのカリスマ性など、どこから見ても面白い! そして最終回があまりにも見事過ぎました。
だからこそ、ここで終わって欲しくて、続編は大反対派だったんです。
でも、いざ復活しちゃったら…それはもう楽しみですよ、そりゃあ! ええ。
ただまぁ正直、楽しみ半分不安半分って感じだったんですけど、いやあ、楽しかったw
ホント、制作スタッフには「ありがとう」と言いたいです。
基本的には、TVシリーズを応援してくれたファンのために作った、という感じでしたね。それ故、やはり若干ヌルかったり、蛇足感は、まぁあったんですけど、それでもやはりクォリティは高かったと思います。さすがにあれだけのシリーズを作ったスタッフだなぁ、と思います。
予告編
ルル、いきなり登場!
先ず、いきなりの、というよりは早い段階でのルルーシュの登場に驚きました。もっと貯めて貯めて、貯めてからのドーン!って感じで出してくるのかと思ってたんですよ。だから、びっくりしちゃいました。出し惜しみなし!
復活の理由としては、やはり事前の予測であったようにギアス絡み、そしてC2の意志でした。まぁ、そこは予測通りで問題ないし、むしろ、奇をてらうよりは大方の予想通りの方がむしろ良かったように思います。
でも、ちょっと難しかったかな(^^;; 正直よくわからなかった…。
全体的にも難しい設定が多く、よくわからないところが散見されました。ただ、これはTVシリーズからそうだった点ではありますけどね。俺にもっと偏差値があればなぁ…。
さすがの設定
さすがコードギアス制作陣!と思わせる肝となるアイデアも素晴らしかったです。
先ずは相手のギアスの能力のアイデアがすごい。自らが死ぬことによって6時間前に戻り、「予言」と称してやり直していく。これではルルーシュがどんな戦略を練ろうが必ず失敗してしまいます。ルルーシュの頭の良さが通用しない能力を持ってきました。
また、ルルーシュが死を賭して作った平和な世界に風穴を開けたのは、武力が主な資産である国であった、というアイデアも、これしかない、と思わせるアイデアであったように思います。平和になってしまうと、武力を輸出できず、外貨が稼げず、これといった産業がない国にとっては死活問題ですからね。
そして今回の敵もまた魅力的で、戦わなくてはいけない切羽詰った事情が非常にしっかりとありました。特にギアスを持った女王の弟(王であるらしい)が重度の身体障害者である、という設定が踏み込んだ人物造形だと思います。
彼は国民の税金によって生かされている、という負い目があり、彼が戦う理由はそこに集約されている。そして、ナイトメアに乗った彼は最強レベルで、彼のその強さによって愛する姉と民に報いようとしていました。
ただ、そういった彼が背負わされた業をもっと細かく描いて欲しかったように思います。そうすれば、もっと深いドラマになったように思うのですが、二時間という制限のある映画の尺ではちょっと入りきらなかったのでしょう。
思えば、二期あったTVシリーズでも最後は駆け足だったですもんね。それだけ、中身の濃い奥行きの深い作品である、と言えると思います。
公式による壮大な二次創作
あと、TVシリーズの、癖のある敵味方の面々が今や入り乱れて仲良くやっている、ってのは二次創作的ではあるんだけど、その見せ方が良かったですね。
それは扇の結婚式のビデオっていう形なんですけど、多くのファンが楽しめるような仕掛けになっていると思うんです。スザクがルルにそのビデオを見せるんですよね。なんかいいでしょ?w
そんな感じで、TVシリーズにあった、真剣を向け合うような一触即発の雰囲気は影を潜め、それ故全体的にはヌルい雰囲気が覆っていたようにも思うんですけど、これもあのTVシリーズを通過してるからこそであり、制作陣のファンサービスであったように思います。そして実際、僕は楽しめました。
まさに復活のルルーシュ!
一方、ルルーシュの戦略が炸裂するシーンもかつてのファンが待ち望んだものだったでしょう。そのシーンがね、今回も切れ味鋭く甦っていました。
また、敵の女王がルルーシュを懐柔しようとした時にね、言い放つんですよ、ルルーシュが。「俺から傷を奪うな」って。この台詞がねー、良かったですねぇ。
過去の過ちや、付いた傷も含めて、今の自分が作られている。そして未来は明日の人たちのものであり、自分は今を生きる。だからルルーシュはあきらめないんですね。カッコいいよなぁ。
あと、思うんですけど、ルルーシュって確かにエゴが強いけど、人類愛のようなものもすごく持ってると思うんですよね。登場人物中、誰よりもそれが強い。そんな風に思います。
あと今回ね、ちょっと大人になって帰って来たようにも思えたんですけど、ただ、絶体絶命の時、一瞬大人を捨てたルルーシュの方がルルーシュっぽいなぁ、と正直思いました(笑) C2もそんなルルーシュの方が好きそうだったw そして、そんなルルーシュの方が頼りになった! やはり人間、あまり大人になり過ぎない方が良いのかもしれませんね。
一方、スザクはルルーシュに対しては相変わらず甘えていて、子供でした(^^;;
蛇足感は否めないながらの本作の必然性
ただ、やっぱりTVシリーズのラストが見事過ぎたので、蛇足感は、まぁ正直否めず、あのままTVシリーズのみで終わっていた方が美しかったとは思います。
でも、映画の最後のナナリーのシーンで、なぜこの作品が制作されたのか、わかったような気がしました。ナナリーのルルーシュへの誤解が解けていたことをルルーシュに知らせたかったのかもしれない。そこはファンとしてはとても嬉しかった。あのままじゃ、さすがに悲し過ぎましたから。
やはりこの作品の登場人物たちは製作者たちにとても愛された作品だったのだと思います。
しかし、しかしですよ、しかしまた、尚且つそれを踏まえた上で、あのままTVシリーズで終わった方が美しくはあった(笑) でも、今回の作品はファンとしては嬉しかったこともまた事実。ファンとしては矛盾した感情を持ってしまう困った作品でもあるんです。
所々、深いテーマを内包しつつも、それを前面には出さず、基本的にはファンのための、楽しさを随所に出した作品であったように思います。
そんでまた、あのラストは続編もありえそうで、期待半分、怖さ半分。