「プロメア」も2019年公開の名作アニメの一つですよね。
この年はホントに劇場版アニメの名作が多すぎて困っちゃいます(嬉しい)。
というわけで僕的プロメア良かったポイントはこれです、はい!
予告編
声優陣、意外と(失礼!)頑張る
「プロメア」は松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人という実写でも大活躍しているお三方の声優起用ということでも話題だったと思います。
いずれも脚本を担当した中島かずきの舞台でもお馴染みの役者ですね。おそらく、中島かずきが自らの舞台で演じてもらって良かったので、起用に踏み切ったのではないでしょうか。
ただこれもねー、賛否両論喧しいですよね。いわゆる声優原理主義者の人たちが特にうるさい。もちろん否で。
確かに、普段ドラマとか出てる人が、例えばディスニーのアニメとかに大挙して出演して大不評を買いまくることはしばしばで、もはや恒例行事となってしまっていることは確かです。
しかしながら、普段実写出てる人が全部ダメかと言うと全然そんなことはない。むしろ、役によっては声優を凌駕する演技をする人も珍しくありません。
声優特有の、あのパキッとした張りのある声では逆に出せない風味というものはあって、そのわかりやすい成功例が「となりのトトロ」の糸井重里だと思います。
要は適材適所なんです。
また、そうでない場合でも実写の役者が良い声を当てることも多々あって、それには法則があります。それは舞台俳優であること。
元々、声優ってのは舞台役者だったんですね。普段テレビ出てる人だと顔のイメージがあるから、あまり顔が知られてない舞台役者を使おうってことがそもそもの始まりだったという話を聞いたことがあります。それもあって、基本的には声優の技術は舞台での声の出し方を流用しているらしいんです。
だから、舞台役者は声優をやっても違和感なく上手い。
というわけで今回、舞台出身の早乙女太一と堺雅人には何の不安もなく、むしろ期待しかなかったんですけど、心配していたのは松ケンです(^^;; モデル上がりで基本は映像で活躍していた人ですからね。大丈夫かなぁ、と思って。
そしたら良かったですねー! 主人公のガロの声にすごく合っていた。むしろ早乙女太一の方が若干物足りないくらいでしたもん(^^;;
ただ、そんな松山ケンイチも見得を切る時のセリフはやはりちょっと物足りなかったですかね。それを考えると、やはりここは中村勘九郎とか歌舞伎役者にやってもらった方が良かったかもしれないかなー、なんて思います。
でも、全編通して良かったですけどね、松ケン。声もバーンと出てたと思うし。
あと、堺雅人はもちろん安定の良さでしたが、いかんせん声に個性があるので、途中までは堺雅人の顔が出てきてしまいましたね(笑) 途中からはもうクレイ・フォーサイトとして楽しめましたが。
まぁ、こういったところも普段顔が有名な人たちを声優で起用することを反対する人が多いことの要因なのかもしれませんね。
主人公を始め、魅力的なキャラが大杉
ただ、見得を切る問題は些末なことで、全編最高に面白かったです。
敵と味方が逆転し、最後は共闘し、ラスボスさえも救ってみせると見得を切る主人公・ガロは中島かずき主人公の真骨頂。
これほど豪快で爽快な主人公は近年見られなかったです。
こんなロボットアニメをもっとたくさん観たい!
まさに近未来ディストピア歌舞伎アメコミロボットアニメとでも言うべき作品だと思います。
そもそも「火消し」というのが江戸社会のヒーローですからね。ガロがやたらと「型」にこだわるのも如何にも歌舞伎的日本的で面白い。
ただ、魅力的な登場人物が多すぎるので、これは TVシリーズでも観たかったかもしれませんねー。
どうでもいいけど、堺雅人演じるラスボスが、シーンを追う毎にどんどん体が大きくなっていくのは笑いました。
またこの役は堺雅人にしては珍しい悪役ですね。そういえば、以前観た新感線の舞台『蛮勇鬼』でも悪役でした。中島かずきのなかでは悪役でこそ堺雅人の真価が発揮されると考えているのかもしれませんね。
そして、 知性派のラスボスが喧嘩も強いというのは、なんだかキングピンを彷彿とさせます。ここらへんはアメコミ好きな中島かずきっぽいかな。
脚本家・中島かずき節&トリガー節大爆発
作画的には背景や道具がやたらと直線的にデフォルメされてて、初期ファミコンのドットの粗い感じのグラフィックを彷彿とさせて面白かったですね。
また、動きはトリガー特有の派手で動き回るアクションは観ていて非常に見辛かったんですけど(^^;;、でもやはりむちゃくちゃカッコ良かったです。
消防車なんかはまるでトラック野郎でした。とにかく派手! (笑)
また、グレンラガンもそうだったんですけど、どういうわけかロボットが自律的にどんどん変形したり大きくなったりするんです(笑)
まったく理屈はわからないんですが(笑)、勢いで持っていきましたねー。
その有無を言わせぬ、黙って観てろと言わんばかりの演出が豪快そのもので、「これぞトリガー」といった感じです。
そしてまた、世間に仇を成すと思われていたバーニッシュがむしろ被害者だったり、また彼らが被差別の対象となっているあたりは、非常にウルトラマンの影響を受けている中島かずきっぽいストーリーテリングだと思います。
とにかくこの作品は、キャラクター、ストーリー、台詞回しなどなど、中島節が大爆発していて、グレンラガン以来の最高にスケールでかく、最高に爽快な作品でした。